目を背けたい現実を突きつけられる
人間の深層心理やニュースで取り上げられている事件を聴き手が鮮明に思い描くことのでき、多くの人が共感できる歌詞。
素晴らしき日常
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それはそうと詳細なことまでは知らないけど 真面目で頑張り屋なように見えていたあの人が
お金と愛情と覚醒剤をハキ違えて あげ足とりたがりの人々を喜ばせた
僕らが生まれたことに理由なんてあってもなくてもいい
なんにしたって呼吸し脈打ってる あそこの人もこの人も同じこのときを
≪素晴らしき日常 歌詞より抜粋≫
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有名人で真面目そうな人が犯罪に手を染めた時に騒ぎ立てるマスコミや、そのニュースを基にしてあることないこと憶測を立て盛り上がる人々を冷静かつ客観的に見ていて、一見皮肉のようにも聞こえる。
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「別にいじめたくていじめていたわけじゃないけど、やらなきゃ今度は僕がやられる気がしたんだ」と
泣きながら語る少年に全てを擦り付け あげ足とりたがりのチャンネルが正義を語る
きっと僕らに悪意があるわけじゃないと思う
どうしたらいいのか分かんないだけ 模索しながら傷付いて傷付ける
≪素晴らしき日常 歌詞より抜粋≫
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社会問題にもなっているいじめに対して、加害者である少年の気持ちが表されているが、この気持ちに対して共感した人は少なくないはずだ。
誰しもが加害者にも被害者にもなり得るいじめという問題に斬り込み人間の心理を暴いているのと同時に、1人の少年が全て悪いかのように報道されることへの疑問も読み取れる。
本当のことは当人たちにしか分からないのに、脚色された報道とその報道を見聞きした周りの勝手な憶測。人は代わり映えのない日常生活の中で非日常なことを欲しているから、このような事象が起きるのは仕方のない事かもしれない。
そう分かってはいても、どこか矛盾を感じる世の中に釈然としない高橋優自身の思いが反映されている。
生きづらさを感じた時に聴いてほしい
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間違いだらけでいいじゃないか 街が腐りきってていいじゃないか
そこから覗いてる景色は天国にも地獄にも変えられるよ
まだ笑うことはできるかい? まだ歩くことはできるかい?
その通じ合っているような気がする人を連れて
愛し合う人の間から生まれてきた
僕らの明日が待ってる きっと世界は素晴らしい
≪素晴らしき日常 歌詞より抜粋≫
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日常生活を送る中で、世の中や人間関係に矛盾を感じることは多く、辛くやるせない気持ちになることもある。置かれている環境や他人を変えることに比べれば、自分の見方や意思は変えようと思えば変えられる。
「まだ笑うことはできるかい?まだ歩くことはできるかい?」は励ましにも似た優しさだ。
生きることが億劫になって、歩みを止めてしまいたくなる時にこの曲を聴くと“辛いのは自分だけじゃない。”と思えて明日へ踏み出す勇気が湧いてくる。
高橋優が訴えるこの歌は、きっと多くの人の心に刺さるはずだ。
TEXT 蓮実 あこ