星野源が絶対に言わないこと
歌を歌うときは
----------------
歌を歌うときは 背筋を伸ばすのよ
人を殴るときは 素手で殴るのよ
≪歌を歌うときは 歌詞より抜粋≫
----------------
「DOME TOUR 2019 POP VIRUS」5大ドームツアーを3月10日に終えた星野源だが、そのツアーの際に1曲目に歌っていた『歌を歌うときは』に注目して頂きたい。5大ドームツアーを成し遂げたのは、男性ソロアーティストとして星野源は5人目である。
「こんばんわー星野源でーす」と元気な挨拶から彼の歌は始まる。2017年に行われたライブツアー「continues」のときも、愛して止まないマリンバを軽快に叩きながらステージに現れたのだ。
しかしこの度目に写ったのは、真っ暗なステージにわずかな明かり、ギター一本を持ち、この歌詞のように背筋を伸ばした星野源であった。
----------------
さよならするときは 目を見て言うのよ
好きだと言うときは 笑顔で言うのよ
≪歌を歌うときは 歌詞より抜粋≫
----------------
星野源の人気が冷めやらないのは、音楽性はもちろんのこと、彼の温かい人間らしさにもよるのだろう。
以前ラジオ番組で、自分自身で絶対に言わないように気をつけていることがあるらしく、「『Family Song』(10枚目シングル)よりも『肌』(10枚目シングルB面)の方が好きだ」というような対比してしまう好きを言わないようにしているらしいのだ。
自分が好きだと選ばなかったものも、他の誰かの1番好きであるはずで、それを否定してはいけないと。自分の好きな物を素直に好きと言うこと。簡単なようで実はとても勇気のいる事かもしれない。
人間は多数派である事を選びがちで、その他少数派である事をひどく恐れるから。皆んなが星野源のように、自分の好きを笑顔で言えたらどんなに素敵だろうか。
星野源は今日も歌う
----------------
想い伝えるには 真面目にやるのよ
真面目にやるのよ
≪歌を歌うときは 歌詞より抜粋≫
----------------
彼は初のドームツアーを前にして、自身の先輩達に不安な気持ちを相談をしたらしい。
しかし返ってきた言葉は、「客席が遠いよ、寂しいよ、気持ちはなかなか伝わりずらいよ」という、期待とは反対の言葉たち。果たして本当にそうなのだろうかと。
この『歌を歌うときは』は、2010年に初ワンマンライブが行われた、その時の為に書き下ろした曲なのだ。沢山の人に想いを伝えたいと思い始めたその日から。自分なりの自分にしか出来ない伝え方で、星野源は今日も歌うのだろう。
「寂しい気持ちなど決してなかった」と彼は言った。どんなに離れていても、難しくても、自分の気持ちに真面目であれば、きっと想いは伝わると私達に教えてくれた。
TEXT 紺 うめこ