国内に収まらないL'Arc~en~Cielの魅力
デビューから25年、いまだ色あせる事無く日本の音楽シーンでトップを走り続ける彼らですが、2004年以降は海外ツアーも積極的に行い、2012年にはなんとアメリカ・ニューヨーク、エンターテインメントの殿堂ディソン・スクエア・ガーデンにて日本人アーティスト初の単独公演を行う偉業を成し遂げました。楽曲クオリティの高さもさることながら、それを再現するヴォーカルhydeの妖艶な歌声や誰もが目を奪われる端正なルックス、ギターkenのジャンルに捕らわれない多彩なサウンドアプローチやコードワーク、ベースtetsuyaの華麗なコーラスや時にはギターのような表情もみせるメロディアスなベースライン、ドラムyukihiroの正確かつ細やかなドラミングや曲そのものを彩るデジタルプログラマーとしての一面、それら全てをもって挑む圧巻のライブパフォーマンス等、彼らの魅力を挙げれば際限なく出てきます。
そんな素敵な楽曲に触れて、是非皆さんもL'Arc~en~Cielワールドをご体感下さい!
L'Arc~en~Cielといえばこれ!押さえておきたい代表曲
Blurry Eyes
L'Arc~en~Cielメジャーデビュー1stシングルとして発売された楽曲ですが、今なおライブ定番曲の1つとして披露されています。
青空を感じさせるようなギターのイントロと軽快なリズムで始まりますが、歌詞の世界観と楽曲のアレンジが見事に噛み合っており、曲を通して聴くとどこか物憂げな感じもする名曲。
歌詞の考察としては、近くにいるのに遠く感じる愛しい存在、一方通行になってしまった恋人への愛情や、別れの予感を歌っている歌詞のように思えます。
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遠くの風を 身にまとう
貴方には 届かない
言葉並べてみても
また視線は何処か
窓の向こう
≪Blurry Eyes 歌詞より抜粋≫
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声もかけれる、視線も確認出来る距離にいるのに心が繋がらない。そんな歌い出しから始まります。
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めぐり来る季節に
約束を奪われそう
この両手差しのべても
心は離れて
めぐり来る季節に
大切な人はもう…
振り向いたその瞳に
小さな溜息
≪Blurry Eyes 歌詞より抜粋≫
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その後も伝わらない想いと別れの予感を感じさせる様が綴られていきますが、最後のサビの部分では2人に残された時間は少なく、別れの予感が確信へと変わっていくような切ない感情が表現されています。
誰もが一度は経験するであろう、望まない別れに対する切ないストーリーを物語ったような憂いのある曲ですね。
余談ではありますが、デビュー当時のhydeはその小柄で端麗なルックスに加え、今よりもフェミニンなメイク、衣装で世間から注目を集めておりました。
L'Arc~en~Ciel - Blurry Eyes
虹
メンバー脱退、活動休止をへて復活直後に発表された楽曲で、バンド名の語源である「虹」の名を冠した壮大なバラード。この楽曲のみhyde,ken,tetsuyaによるメンバー3人編成での発表となっており、発売されたタイミングやタイトルからメンバーの思い入れは相当なものに思えます。
壮大で切ない雰囲気の楽曲とメロディーラインが、叙情的なメロディーを包み込むように表現されていますが、その悲痛ともいえる”想い”や”願い”のこもった歌詞にも注目です。
実際歌詞を見て頂くと「本当はとても心はもろく誰もがひびわれている」や「少年は人の影に歪んだ憎しみを見た」等、人に対する弱さやネガティブな感情も多く表現されており、当時のメンバー達の苦悩が表れているようです。
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それでも想う
貴方のことを
季節が流れていても・・・
≪虹 歌詞より抜粋≫
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そしてここで使われる「貴方」が指しているのは、脱退してしまったメンバー?活動休止中に会えなかったファン?と色々想像できてしまいますが、”少なくとも何か大事なものを忘れたくはない”という想いは伝わってきますね。
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時は奏でて
想いはあふれる
途切れそうなほど
透明な声に
歩きだした その瞳へ
果てしない
未来が続いてる
≪虹 歌詞より抜粋≫
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かなり長い歌詞ですが、その中でも最後のサビ部分のメッセージ性がかなり強く“困難に負けず前を向いて進んでいく”そんなL'Arc~en~Cielとしての強い想いが詰まっているように思えます。
L'Arc~en~Cielの楽曲は特徴的で耳に残るギターのイントロフレーズが多いですが、この曲もそれに漏れず、大変美しいギターフレーズから始まります。そういった普段はあまり意識しないところに耳を傾けてみるのも、また違った曲の表情を見つけれるかもしれません。
L'Arc〜en〜Ciel 【虹】live
winter fall
こちらは新メンバーyukihiroがドラムとして加入した後、現在のメンバー構成としては初のシングルとなっており、オリコンシングルチャートで1位を初獲得した楽曲でもあります。冒頭から耳に残る美しいサビのメロディーをハモリで聴かせ、タイトル通り雪の季節が似合う曲となっており、冬のドライブをしている時に流れてくると、つい口ずさんでしまうそんな名曲です。
曲のタイトルを直訳すると「冬の訪れ」となりますが、この曲の場合はhydeが「冬の終わり」と解釈して作詞したようでやはりどこか物悲しい雰囲気のある仕上がりになっています。
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雪原の大地に
二人きりの吐息が舞う
つないだ指先に
大切な気持ちをおぼえたよ
≪Winter fall 歌詞より抜粋≫
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この二人というのは恋人同士か、もしくはこれからそうなるであろう関係で、その二人が雪原の中無邪気に過ごしつつも、いかに自分にとって大切な相手なのかを知っていく。そんなシーンが想像出来ますね。
しかしそのまま順調に二人が結ばれていく訳ではなく、「過ちは突然目の前をふさいであざ笑う」というような二人の関係が壊れるようなトラブルを感じさせる歌詞や、「遅すぎた言葉はもう届かないね」といった、すでに彼女の心は離れてしまったように取れる歌詞が続きます。
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真白な時に
君は さらわれて
穏やかな日差しの中で
僕は失くした面影を
探してしまうけど
春の訪れを待ってる
≪Winter fall 歌詞より抜粋≫
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そして最後にこのサビの歌詞が出てきます。冬の終わりと共に二人の関係も終わってしまったんですね、それでも次の季節はやってきてそしてまた冬が来る、そのたびに彼女の事を思い出す彼の様が目に浮かびます。
因みに作曲者であるギターのkenは、夏をイメージして作ったそうですがhydeが曲を聴いて冬をイメージした為、このような形になったそうです。
READY STEADY GO
メンバーが個人活動期間に入り実質活動休止と言われていた後のシングルで、こちらはアニメ「鋼の錬金術師」のオープニングテーマとなっています。一度は耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。画像引用元 (Amazon)
徐々に加速していくようなイントロから始まり、そのまま全速力で駆け抜けるような勢いのある楽曲です。パンク色が強く、シンプルに「カッコいい!」と感じれる曲をギター、ベース、ドラムの秀逸なアレンジやコーラス、疾走感のあるボーカルメロディーによってより素晴らしい物となっています。
そんな曲の歌詞はというと、タイトルの『READY STEADY GO』を直訳した 「位置についてよーい、ドン」からまさにスタートして、そのまま走り抜けて行くような内容となっています。
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吹き飛んでゆく風景 転がるように前へ
苦し紛れでも 標的は もう見逃さない
あてにならない地図 焼いてしまえば良いさ
埋もれた真実 この掌でつかみ取ろう
夢中で (早く) 駆け抜けて来た
うるさいくらいに張り裂けそうな鼓動の高鳴り
響いて (呼んで) いる君の声
ここで立ち止まるような時間は無いさ READY STEADY GO
≪READY STEADY GO 歌詞より抜粋≫
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このように1番の歌詞だけで既に、目標に向かって全力で走り続けるような勢いが伝わってきます。
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数えきれない傷 抱え込んでいても
ちょっとや そっとじゃ 魂までは奪わせない
≪READY STEADY GO 歌詞より抜粋≫
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2番に入っても歌詞の勢いが衰える事はありませんが、”このように走り続ける事は容易い事ではなく、信じた道を突き進むには自分を信じて心を強く持たないといけない”というようなメッセージも感じ取れます。
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心は (走る) あの空の下
空回りする気持ちが叫び出すのを止められない
君まで (届け) きっと後少し
熱く日差しが照らす この道の向こう READY STEADY GO
PLEASE TRUST ME
≪READY STEADY GO 歌詞より抜粋≫
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そして最後のサビでは、”今走っているこの道の更に向こうに進んでいこう ”という意気込みを感じれる言葉の後に「PLEASE TRUST ME」の”どうか僕を信じて”という歌詞が出てきますが、もしかするとこの曲中に出てくる「君」=「ファン」でこれからも走り続けるL'Arc~en~Cielを、信じてついて来て欲しいというメッセージが込められている曲なのかもしれません。
ライブで演奏される際はCDよりもかなり早いテンポで演奏され、会場を盛り上げる起爆剤のような存在になっています。
Ready Steady Go L'Arc~en~Ciel
Don't be Afraid
こちらは『バイオハザード:ザ・ファイナル』の日本語吹き替え版主題歌として起用されている楽曲で、Don't be Afraid –Biohazard × L'Arc-en-Ciel on PlayStation VR-と題してゲームとL'Arc~en~Cielのコラボレーションという斬新な企画も行われました。画像引用元 (Amazon)
L'Arc~en~Cielの持つダークで退廃的な一面と、メロディアスでキャッチーな一面、その正反対な部分を上手く融合させた楽曲で、それこそがL'Arc~en~Cielっぽいと感じ取れるような仕上がりとなっております。
歌詞はバイオハザードの世界観にリンクした内容で、”恐れずに立ち向かい未来を切り開け”と恐怖に打ち負かされそうな自分を鼓舞するような内容となっています。
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目醒めたいなら迷わずアイツへ
銃弾を撃ち放て
夢から夢へ墜落した僕は殻を閉ざし
直視できない現実から深くベッドへと沈んでく
Stay? 延命存続?
Fall? 伸るか反るか?
Fly? 恐れに支配された
心が天を仰いだ
≪Don’t be Afraid 歌詞より抜粋≫
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このように鋭い言葉やダークな印象を持つ歌詞が多く出てきますが、それが見事にタイアップ作品とマッチしていますね。
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雲の隙間に光が見えても 近づく羽根は無い
暗闇の向こう Don't be afraid, believe yourself
運命を掴み取れ
≪Don’t be Afraid 歌詞より抜粋≫
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そして恐怖を煽るだけでなく、”勇気を持って立ち向かえ!自分を信じろ!”という部分もしっかりと表現されています。歌詞全体を通して直接的な言い回しをするよりも、敢えて比喩的な表現を多く使う事によってダークな曲の雰囲気が倍増していますね。
PVでは黒い衣装に身を包んだメンバーが武器を持ち、敵に立ち向かう映像が織り込まれており、視覚的なカッコよさも味わえますので是非ご覧ください。
今後も進化を続けるL'Arc~en~Cielを見逃すな!
今回ご紹介させて頂いた5曲は、L'Arc~en~Cielの魅力のごくごく一部に過ぎません。
楽曲の素晴らしさは勿論ですが、メンバーも個々の魅力に溢れていますので今回L'Arc~en~Cielの存在が気になった方は是非リサーチしてみてください。
シングルやアルバムを多数発売している人気バンドなので、代表曲といえる楽曲も沢山ありますが、ファンやメンバーの方からすればそのどれもが「かけがえのない宝物」ですよね。
そんな素敵な宝物をいつも私たちにプレゼントしてくれるL'Arc~en~Ciel。今の立ち位置に甘んじることなく、常に新しい企画や挑戦をやめない彼らの今後にも大注目です!
TEXT 岡 栄一
1991年tetsuyaを中心に大阪で結成。 1993年アルバム「DUNE」がインディーズ チャート1位を獲得。 1994年ビデオシングル「眠りによせて」(Ki/oon Records)にてメジャー デビュー。 1996年アルバム「True」で初のミリオンセラーを達成。 1997年12月に行われた東京ドーム(キャパシティ:5万人)のコ···