"正夢"を、信じたい
あなたは正夢を信じますか?
夢で見たことが、現実で起こると言われる正夢。宝くじが当たる夢を見て本当に当選したり、近い未来を予知できるという半信半疑の現象である。
夢は夢、と割り切ってしまう場合が多いが意外と無視できないのが正夢のスゴイところ。無意識に予測したことが夢になって出てきているので、意識して予想するより的中した時の驚きが大きいのだ。
スピッツの通算29枚目のシングル『正夢』は、そんな夢を信じる楽曲だ。
ダブルタイアップ曲でもあり、2004年に放送されたミムラ主演のTVドラマ「めだか」、そして富士フイルム企業CMで使用されている。特にCMでは元ヤクルトの古田敦也、そして最年長現役サッカー選手、三浦知良が出演し、
「きのうの瞬間は、あしたに続いている」
をキャッチコピーに、夢が現実に続いている楽曲にぴったりな内容となっている。見ることで記憶の整理をしているという夢。幸せな夢だったら、きっと正夢も悪くない。
正夢
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ハネた髪のままとび出した 今朝の夢の残り抱いて
冷たい風 身体に受けて どんどん商店街を駆けぬけていく
『届くはずない』とか つぶやいても また
予想外の時を探してる
≪正夢 歌詞より抜粋≫
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正夢の特徴は、夢とは思えないリアルさにある。はっきりした臨場感を伴うので、現実と区別がつかないことも珍しくないんだとか。
この楽曲では、最初にある「今朝の夢の残り抱いて」のように正夢の特徴を抑えた描写が所々に散りばめられている。たとえタイトルがわからなくても、正夢を連想する構成になっているのだ。
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どうか正夢 君と会えたら 何から話そう 笑ってほしい
小さな幸せ つなぎあわせよう 浅いプールで じゃれるような
ずっと まともじゃないって わかってる
≪正夢 歌詞より抜粋≫
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正夢であれば、いつか同じことが現実で起こる。しかし近い将来とはいえ、いつ起こるかわからないのが正夢である。
その夢が自分にとって幸せなこと…例えば未来の恋人を見たとしたら、それが頭から離れずに妄想してもおかしくはない。ただし、妄想も過ぎれば危ない人でしかない。
そこは、「ずっとまともじゃない」という辺り自覚はあるようだが、暴走したら止まらないのが愛なので注意が必要だ。
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いつか正夢 君と会えたら 打ち明けてみたい 裏側まで
愛は必ず 最後に勝つだろう そうゆうことにして 生きてゆける
あの キラキラの方へ登っていく
≪正夢 歌詞より抜粋≫
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開き直っている感が否めないが、人にしたら危ない部分もさらりと入れてしまえるのはスピッツだからこそ。
この楽曲を聴いて「高校時代に戻りたい!」と思う人もいるようだ。未来で好きな人が待っている、と本気で思っていた頃を思い出すからかもしれない。
信じていれば、いつかきっと
正夢は、キラキラと明るい道を示してくれる。
科学的根拠はないが、信じていればいつか夢と現実が繋がる日が来るだろう。そう考えれば、妄想も悪くない。
今日も力いっぱい妄想しようではないか。
●正夢 / MV
TEXT:空屋まひろ