夢を見ることは簡単だが、叶えることは難しい
冒頭の「"翼仰げば"って人は云う」という歌詞は言い換えると、「夢に向かって頑張れ」という励ましになるが、タイトルが『ワタリドリ』なので、聴き手が鳥の様にも置き換えて考えられるよう、敢えてこういった言い回しをしている。
では“夢”とは一体何なのだろうか?
今でこそ多くの世代から人気のあるロックバンドになった[Alexandros]だが、売れない時期もあった。しかし、いつか名の知れ渡るようなビッグなバンドになる日を彼らは夢見ていたのだ。
「その向こうにあるは無情 飛べる者落ちる者」の歌詞から読み取れることは、バンド活動を続ける最中での苦悩。小さなライブ会場に観客がほぼいない、道で歌っていても足を止めてくれる人がいない、などまだ無名のバンドにとっては仕方がない事ではあるが、辛く感じる。
そして、存在するバンドの多くが成功しているかといったら、そうではない。
売れることを夢見て、バンド活動を続ける者もいれば、夢半ばでバンドが解散してしまうこともあるのだ。
伝えたいことがバンドの活力に
自分の思いを人に伝える時にあなたならどうしますか?ある人は言葉で述べ、ある人は紙に書いて伝える方法を取るかもしれない。
[Alexandros]は、思いを歌に乗せて多くの人に届けたかったのだ。
ワタリドリ
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誰も見てない
気にも留めない
それでも飛び続けた
傷ついた言葉乗せ
運びたいから
≪ワタリドリ 歌詞より抜粋≫
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誰も自分達の歌を聴いてくれる人がいなくても、“歌い続けていればきっと誰かの心に響くはず”。強い思いを持って、彼らはバンド活動を続けた。
音楽で人は救われる
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傷ついた あなたを
笑わせたいから
追い風 届けるよ
僕等 一心に 羽ばたいて
遠い過去を 背負ってた
あなたを未来へ運ぶよ
≪ワタリドリ 歌詞より抜粋≫
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辛い、苦しい、悲しい、寂しい。
生きていく中で、誰でも一度は経験することのある感情だ。そんな感情を払拭するような音楽を聴き手に届け、バンドが創り上げたその音楽によって救われる人もいるのだ。
音楽から一歩踏み出す勇気を貰えたり、前向きな捉え方をできるようになったりと音楽が人に与えるものは他に代えがたい。
『ワタリドリ』が示すものとは?
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ワタリドリの様に今 群れをなして
大それた四重奏を 奏で終える日まで
≪ワタリドリ 歌詞より抜粋≫
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『ワタリドリ』は[Alexandro]のことであることがこの歌詞にから読み取れる。
バンドは様々な場所でライブを行い、多くの人に出逢う。
渡り鳥は、食糧や環境、繁殖といった事情に応じて、定期的に長い距離を移動する鳥であることと、バンド活動にかけて、タイトルを『ワタリドリ』としたのだろう。
バンドは永久的に続けたいと思っても、自分達の意志だけで続けていけるものではない。しかし、音楽をやれている今を大切にしようという気持ちが伝わってくる。
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ワタリドリの様に いつか舞い戻るよ
ありもしないストーリーを
いつかまた会う日まで
≪ワタリドリ 歌詞より抜粋≫
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最後の歌詞は、自分達の曲を聴いてくれる人に向けたメッセージになっている。
[Alexandros]はこれからも、私達に楽曲を通して様々な世界を見せてくれるに違いない。
TEXT 蓮実 あこ
[Alexandros]ー東日本ではアレキ、西日本ではドロス。 まるでマクドとマック論争のようにファンの間で愛称が二分される。 2010年インディーズレーベルRX-RECORDSから1stアルバム「Where‘s My Potato?」でデビュー。 リリース後はロックシーンやメディアに大きな衝撃を与え、瞬く間にその名···