君の名は希望は乃木坂46にしか歌えない楽曲
フレアスカートに白いソックス、白い肌とサラサラの髪…乃木坂46の輝きをまともに見つめたらあぶない。
間違いなく恋に落ちてしまう。
『君の名は希望』は、乃木坂46の清楚な魅力が存分に活かされた、乃木坂46にしか歌えない楽曲だ。
退屈な現実から目を背けうつむいていた「僕」の世界が、乃木坂46に出会って色づき輝き始める。歌詞からはそんなストーリーが読み取れる。
自身も乃木坂46を愛するひとりとして、乃木坂46に出会えた喜びをかみしめながら解釈していく。
世界を変えたのは「僕」自身
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僕が君を初めて意識したのは
去年の6月 夏の服に着替えた頃
転がって来たボールを無視してたら
僕が拾うまで
こっちを見て待っていた
透明人間 そう呼ばれてた
僕の存在 気づいてくれたんだ
≪君の名は希望 歌詞より抜粋≫
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「転がってきたボール」を、乃木坂46が発信した楽曲あるいは存在そのものを指すと考えてみよう。
「透明人間」…そう呼ばれていることを自覚するほど、何もない自分に不意に投げかけられたボール。
自分のテリトリーへと転がってきた「それ」を、手にとるか否かは自分次第だ。
彼は手にとってみた。
とらずにはいられないほど、“自分だけに向けられた"ボールだと錯覚してしまうほど、乃木坂46の強い引力にひかれた。
そうして、世界が変わり始めたのだ。
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透明人間 そう呼ばれてた
僕の存在 気づいてくれたんだ
厚い雲の隙間に光が射して
グラウンドの上 僕にちゃんと影ができた
≪君の名は希望 歌詞より抜粋≫
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愛する存在…推しに出会うと、嘘のように世界の色が変わってみえる。
カラフルにきらめき、「推しが生きているこの世界」すべてが美しく見える。
推しがいる人には、わかるであろうこの感覚。
彼の世界に光が差した瞬間がありありと伝わる。
「ちゃんと影ができた」。
彼は生きている実感と意思をもった。ひとりの人間になったのだ。
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こんなに誰かを恋しくなる
自分がいたなんて
想像もできなかったこと
未来はいつだって
新たなときめきと出会いの場
君の名前は“希望”と今 知った
≪君の名は希望 歌詞より抜粋≫
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自分のなかにあった、はじめての感情に驚いていることがわかる。
「未来」「ときめき」「出会い」という、透明人間だったころの彼からは想像もできない希望の言葉。
そう、彼は今「希望」を知ったのだ。
生きる意味は「君」が教えてくれた
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わざと遠い場所から君を眺めた
だけど時々 その姿を見失った
24時間 心が空っぽで
僕は一人では
生きられなくなったんだ
≪君の名は希望 歌詞より抜粋≫
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2番こそ、推し(以下「君」とする)を愛するファン心そのものだ。
大切すぎるから近づけない。
遠くから姿を見ているだけで胸がいっぱいで、それだけで満たされる。
24時間、いつも心に「君」がいる。
「君」に出会うまでの自分を思い出せないほど「君」なしでは生きられない。
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人の群れに逃げ込み紛れてても
人生の意味を誰も教えてくれないだろう
悲しみの雨 打たれて足下を見た
土のその上に
そう確かに僕はいた
≪君の名は希望 歌詞より抜粋≫
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生きる意味は「君」が教えてくれた。
「君」を思う気持ちが、自分という人間を成り立たせている。
落ち込んで泣きたいときも「君」がいる、ただそれだけで元気になる。
生きていけると感じる。
それはいつだって「君」だけがくれる希望だ。
「君」がいるこの世界は美しい
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いつの日からか孤独に慣れていたけど
僕が拒否してた
この世界は美しい
≪君の名は希望 歌詞より抜粋≫
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この楽曲でもっとも印象的な歌詞。
あの日顔をあげなければ、ボールを手に取らなければ、この世界がきらめきに満ちているだなんて気付かなかった。
あの日「君」に出会ってから、世界がまるで違って見えた。
すべてを変えてくれたのは、推しという名の「君」。
『君の名は希望』、それは乃木坂46という希望に出会えた「僕」の歌だ。
TEXT シンアキコ