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「めぐる時は今だけのもの…」優河が魔法の声で表現する父への家族愛

父は石橋凌、母は原田美枝子、妹は石橋静河。そんな芸能一家で生まれ育ったシンガーソングライターの優河の歌声は、癒しを与えてくれる「魔法の声」と称されます。『めぐる』は、映画『長いお別れ』の主題歌として書き下ろされた曲。その歌詞に迫ります。

父の石橋凌はロックバンドARBのボーカリスト

優河の母親は女優の原田美枝子です。

そして妹も女優の石橋静河。

さらに、父親も俳優の石橋凌です。

優河だけが音楽の道に進んだのかというと、実はそうではありません。

父・石橋凌は、若い頃に「ARB」というロックバンドに所属し、ボーカルを担当しておりました。

そして、「ARB」の楽曲の歌詞はほとんどが石橋凌の作詞なのです。

優河が書く詞には、もしかすると父親譲りのセンスが少なからずとも受け継がれているのかもしれません。

いずれにせよ、優河の歌声は「魔法の声」と称され、その言葉の通り聴くものに癒しを与えてくれます。

「めぐる」は映画「長いお別れ」の登場人物の気持ちを表現

優河は、認知症を題材にした映画『長いお別れ』の主題歌を担当しました。



その曲が今回ご紹介するこの、『めぐる』です。

優河によると、「めぐる」というキーワードがひらめき、その言葉から『長いお別れ』の登場人物らの気持ちが見えたのだそうです。

つまり『めぐる』は、映画に登場する人たちの視点で歌われている曲といえます。

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通り過ぎてく
季節に手を振り
風に揺れる明日を
見つめている
≪めぐる 歌詞より抜粋≫
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認知症…。



家族の顔を見て「あなたは誰?」と問いかけたり、突如遠い過去の記憶が蘇えったりすることもあります。

しかし、自分の中では、自分なりの意思を持っているのです。

そう、自分の中では物語が存在しており、それはしっかりと筋書きのあるストーリーとなっています。

映画での中で認知症を発症しているお父さん…。

他の人たちと同じように、今の季節を肌で感じながら風が運ぶ時の流れに乗り、その時を楽しんでいます。

ここは、そんな父親のことを見つめる家族の優しい気持ちが表現されている部分です。

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どこか遠く 旅をして
思い出す言葉は
あなたの声で
響くでしょう
≪めぐる 歌詞より抜粋≫
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そんな父を家族みんなが見守っています。

そこには「絶望」などという言葉は一切ありません。

父に対する愛情だけを持ち、楽しく前向きに生きているのです。

"思い出した過去の記憶は、お父さん、あなただけのもの。いっぱい話を聞かせてね。"

そんな心温まる家族とのふれあいを歌っている部分なのでしょう。

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めぐりめぐる
時のなかで
すべてが始まるなら
いまがつづいていく
≪めぐる 歌詞より抜粋≫
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時というものは常に過ぎ去り、そして、瞬時に再び始まります。

時は「めぐる」ものなのです。

今が続いているということは、すべてのものが新たに始まるということ。

そう、今しか無いということは、健康な人でも、認知症の人でも、すべての人たちに対し、平等に与えられていることなのです。

そんな優河の思いが歌われているのでしょう。

そして2番へ~優雅の「魔法の声」は再び聴く人たちを惹きつける

そして曲はまるで時の流れに乗るかの如く、優河の「魔法の声」で2番に入ります。

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胸の奥で
涙は空に消え
頬に触れる明日を
抱きしめて
≪めぐる 歌詞より抜粋≫
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父の胸の中にあるさまざまな思い出…。

楽しかった日々の思い出から辛く悲しい思い出まで、さまざまなものが詰まっています。

しかし、父は認知症…。

その思い出に浸ったとしても、次の瞬間には忘れてしまっているかもしれません。

“いいよ、おとうさん。その頬を濡らす涙の代わりに、これから始まる明日のことを考えようよ。”

そんな家族のやさしい気持ちを歌っているのでしょう。

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なつかしい この道で
思い出す言葉は
あなたの夢で
輝くでしょう
≪めぐる 歌詞より抜粋≫
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おそらくここは、家族みんなで過去の思い出の場所を巡っているシーンなのでしょう。

“お父さん、懐かしいこの道で、何を思い出す?”
思い出にめぐる父の気持ちは、もしかすると過去にタイムスリップしているのかもしれません。

夢多き若かりし日々の自分…。



そう、結婚前に母とデートをしているときの、ときめいている気持ち…。

今をめぐるこの時に、そんな父の輝いている夢を歌っている部分です。

曲はゆっくりとエンディングへ流れる

メインキーワードともいうべき「めぐりめぐる」が繰り返されます。

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めぐりめぐる
めぐりめぐる
めぐりめぐる
めぐりめぐる
≪めぐる 歌詞より抜粋≫
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そこにある「時」は常にめぐりめぐっています。

「今」しかないのは人間みんな同じなのです。

「時」がめぐるシーンを「めぐりめぐる」の言葉の繰り返しで表現しています。

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通り過ぎてく
季節に手を振り
風に揺れる明日を
見つめていく
≪めぐる 歌詞より抜粋≫
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そして、すべての時と情景が再びめぐるかのごとく、冒頭の歌詞が繰り返されます。

その後、曲は静かにエンディングを迎えるのです。

「めぐる」は映画「長いお別れ」を観た後にじっくり聴いて欲しい曲

冒頭にも記述した通り、今回紹介した優河が歌う『めぐる』は、映画『長いお別れ』の主題歌です。

もし、これから映画をご覧になる方は、本編を観た後にぜひこの曲を今一度じっくりと聴いていただけたらと願っています。

TEXT 猫あられ

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