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ヨルシカ「心に穴が空いた」で描かれる悲しみはどんなものなのか?

文学的な歌詞と、澄んだ歌声が魅力的なヨルシカ。帝京平成大学のテレビCMにも起用された『心に穴が空いた』で描かれているものと何なのだろうか?

“僕”が音楽を続けられた理由



元々音楽好きだった“僕”は、ある時“君”と出逢い、“君”も音楽が好きだったということが分かる。“君”と音楽をやる中で、口には出さないが“僕”は“君”に惹かれていったのだろう。

“君”に直接言えないような思いを、歌詞の中に描き、“君”が好きなメロディを付けたりもした。

“君”という存在があるから、“僕”は音楽を続けられていたのだと思う。

“君”を失った後の喪失感


ある時、“君”は音楽を辞めてしまう。音楽で繋がれていた“君”と“僕”の距離は途端に遠くなってしまったことが分かる。

歌詞中の「これから僕だけ年老いて」は、年を取るのは“僕”だけで、“君”は年を取らないと言い換えることができる。一緒に音楽をやっていたから分かっていた“君”の様子が、分からなくなってしまったという表現なのだろう。

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小さな穴が空いた
この胸の中心に一つ
夕陽の街を塗った
夜紛いの夕暮れ

忘れたいのだ
忘れたいのだ
忘れたい脳裏を埋め切った青空に君を描き出すだけ
≪心に穴が空いた 歌詞より抜粋≫
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“君”がいなくなり、悲しみに暮れた“僕”の心情が表現された歌詞の冒頭。

悲しみから抜け出せず、何も手に付かない現状から抜け出すためにも“君”という存在を忘れようと試みてるが、月日がどれだけ経っても忘れることができないでいるのだろう。

“君”という存在が“僕”の中でとてつもなく大きな存在だったように思える。

“君”を失ってから気づく後悔


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だから心に穴が空いた
埋めるように鼓動が鳴った
君への言葉も
口を開けば大体言い訳だった
≪心に穴が空いた 歌詞より抜粋≫
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心にぽっかりと穴が空いてしまったかのような、喪失感に日々駆られ続ける“僕”。

“君”と音楽をやっていた時には、こんな日が来ることは思いもよらなかったのだろう。

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君の心に穴を開けた
音楽が何だって言うんだ
ただ口を開け
黙ったままなんて一生報われないよ
≪心に穴が空いた 歌詞より抜粋≫
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2人で音楽をやっていくのは、いつも楽しい事ばかりではなかった。

お互いの思いがぶつかり、反発しあって、“僕”が“君”の考えを否定して、“君”の心を傷つけてしまうこともあったのだろう。

“君”がいなくなってしまってから、“あの時こう言っていればよかった”というような後悔の念に苛まれる“僕”の心情が歌詞に表現されているように思う。

“僕”の心境の変化


長い間、“君”を失った喪失感と後悔で、音楽を作ることもしなくなっていた“僕”の心境が徐々に変化し始める。

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君の人生になりたい僕の、人生を書きたい
君の残した詩のせいだ
全部音楽のせいだ
≪心に穴が空いた 歌詞より抜粋≫
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“僕”が“君”の分も音楽を好きでいようというような袈裟なことは言えないけれど、“君”が作っていく筈だった音楽を、“僕”は1人であろうと作っていく覚悟をしたことが伺える。

「君の残した詩」とは、“君”が書いていた詩のことではなく、“君”が“僕”にくれたもののことを指しているのだろう。

“君“がいたから、毎日が楽しかった。
“君”がいたから、音楽を続けることができた。
“君”がいたから、“僕”が存在できていた。

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僕の心に穴が開いた
君の言葉で穴が開いた
今ならわかるよ
「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー
≪心に穴が空いた 歌詞より抜粋≫
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エイミーとは、“僕”が作る音楽の中に登場する“君”の詞中での名前だと推測する。

“君”と一緒に音楽をやれていた日々のことを想像し、その想いを音楽で表現する“僕”。

この楽曲は、大切な人と音楽という好きなことをやれなくなるという悲しみだけではなく、悲しみを乗り越えてどう生きていくかという、一種の人生観が歌われているのだ。

▲ヨルシカ「心に穴が空いた」MV

TEXT 蓮実 あこ

<n-buna(ヨルシカ) profile> 2012年から活動を開始したサウンドクリエイター。 「透明エレジー」「ウミユリ海底譚」「夜明けと蛍」「メリュー」「アイラ」「白ゆき」と多数のミリオンヒット曲を投稿し、2015年「花と水飴、最終電車」、2016年「月を歩いてる」の2枚のボーカロイドオリジ···

この特集へのレビュー

女性

ヨルシカ大好き

2019/07/19 00:29

尊い尊い……

男性

ヨルシカ聞く人

2019/06/28 20:40

1stフルアルバムを聞いてみてください。この歌の意味がもっとわかるはずです。1曲だけで出来上がっている曲ではないはずです。

せっかく考察してくれている記事を見つけたのに、これでは残念です。

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