“君”と“僕”の関係性とは
歌詞中には“君”と“僕”、2人の人物が登場する。「少しでも僕に近づいて欲しくて」「恋人のように寄り添って欲しくて」などの歌詞で、“僕”の願望が描かれていることから、2人は恋人同士ではなく、“僕”が“君”に片思いしていると考察できる。
しかし、この片思いは実る可能性のない恋ではなく、“君”と“僕”の歌詞中に描かれている距離間から想像しても、“もしかしたら近い内に恋人同士になるかも”と思える。
自分の好きなものを好きな人に知って欲しい
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少し寂しそうな君に
こんな歌を聴かせよう
手を叩く合図
雑なサプライズ
僕なりの精一杯
埃まみれドーナツ盤には
あの日の夢が踊る
真面目に針を落とす
息を止めすぎたぜ
さあ腰を下ろしてよ
≪君はロックを聴かない 歌詞より抜粋≫
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思いを寄せている“君”が落ち込んでいる時、元気づける為の方法をとして、歌を聴かせようとする“僕”。
ドーナツ盤はレコードのことを指すので、“僕”が青春時代に聴いていたレコードの曲を聴かせる様子が読み取れる。
「息を止めすぎたぜ」からは、レコードからどんな曲が流れてくるのか、少しの緊張と期待が高まっている“君”の様子が伝わってくる。
“君”を元気づける為に、曲を聴かせる意図もあるが、自分が好きだった音楽を“君”に知って欲しい、あわよくば僕が好きな音楽を好きになって欲しいという意図もあるように思える。
“僕”が“君”に教えたいロックの良さとは?
タイトルの『君はロックを聴かない』からも分かるように、“君”はロックと程遠いタイプの女性なのだろう。
ロックと一口に言っても様々な音楽があるが、一般的にロックと聴くと、激しくてうるさいイメージを持つ人も多い。
しかし、“僕”が“君”に知って欲しいのは、ロックの奥深さだ。
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君はロックなんか聴かないと思いながら
少しでも僕に近づいてほしくて
ロックなんか聴かないと思うけれども
僕はこんな歌であんな歌で
恋を乗り越えてきた
≪君はロックを聴かない 歌詞より抜粋≫
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“僕”が今まで恋愛で悩んだ時にも、ロックを聴いて助けられたのだ。
激しい曲調やどこまでも前向きな歌詞が背中を押してくれたり、1人の女性を大切にすることの大切さを教えてくれたり。ロックは“僕”の恋愛において、今まで生きてきた人生においてなくてはならないものだったのだ。
タイトルに込められたメッセージ
『君はロックを聴かない』と断定しているタイトルなのはなぜだろうか?
“僕”が“君”にロックを聴かせたことで、もしかすると“君”がロックを好きになってくれる可能性もあるかもしれないのに。
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僕の心臓のBPMは
190になったぞ
君は気づくのかい?
なぜ今笑うんだい?
嘘みたいに泳ぐ目
≪君はロックを聴かない 歌詞より抜粋≫
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この歌詞からは、好きなロックを“君”と聴いた“僕”は、心拍数が上がって気持ちが高揚していることが分かるが、“君”の方は聴きなれない音楽に戸惑っている。
歌詞の最初から最後まで見ても、“君”がロックを聴くようになった描写はなく、“僕”がロックを聴かせたいという思いが大半だ。すなわち、“君”がロックを聴くようになるかどうかは、私達聴き手の想像に任せるといったことだろう。
ロックが繋げてくれる2人の未来は一体どんなものなのだろうか?
TEXT 蓮実 あこ
★熱い夏にぴったり!!雰囲気がたまらない名曲!