「go!go!vanillas」って?
go!go!vanillas、通称バニラズは、ボーカルの牧 達弥、ベースの長谷川プリティ敬祐、ドラムのジェットセイヤ、ギターの柳沢 進太郎の4人からなるロックバンドである。
また、go!go!vanillasはロックバンドでありながら、カントリーの要素も取り入れるなど、楽曲によって様々なカラーを放つバンドだ。
また、バニラズの楽曲は一貫して「明るい」イメージのものが多い。しかし、ただ「明るい」だけではなく、バニラズの楽曲は「明るい」けれど、心に染みて自然と涙が溢れてしまうのだ。
バニラズの"世界"とは
バニラズのライブパフォーマンスは、他のロックバンドと一線を画すほどエネルギッシュで、その強烈なグルーヴがバニラズの魅力でもある。ライブでは、コールアンドレスポンスなどのパフォーマンスもさることながら、メンバーそれぞれが、異次元のパワフルさを持つプレイを見せてくれる。
しかし、バニラズのライブは、ただ楽しい・明るいというわけではない。底ぬけに明るいパフォーマンスの中に、聴いた者の心の芯に訴えかけるような力を持っている。
バニラズの楽曲には、いわゆる「泣けるバラード」は少ない。
では、バニラズはそういった楽曲を全面に押し出すバンドではないのに、どうしてgo!go!vanillasの生の音楽は、聴いた者の心を掴んで離さないのだろうか?
そのヒントが、先日リリースされた4thアルバム『THE WORLD』のリード曲である『パラノーマルワンダーワールド』(作詞:Tatsuya Maki、作曲:Tatsuya Maki)に隠されている。
『THE WORLD』に至るまで、バニラズは多くのCDをリリースしてきた。それぞれの作品にリード曲が存在する。そのリード曲たちのなかで、今作『パラノーマルワンダーワールド』は少々異質な存在だ。
バニラズらしさ、ともいえるカントリー調のエッセンスという点では共通するが、他のリード曲が持つ『弾けるような明るさ』とは少し異なる曲だ。
なぜバニラズは、今この『パラノーマルワンダーワールド』という曲を選んだのか?そんな『パラノーマルワンダーワールド』の"世界"を、歌詞から紐解いていく。
"あなた"に贈る応援歌
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あぁいたずらに過ぎてく毎日を恨む ほどではないけど
さぁ
宙ぶらりまったり これじゃお話のタネにもならないよ
つまるところ僕ら魂を燃やせ
ロマンチックに生きるのなら
それは恋だ 舵も取れずに 過去の例もない 未知のsea
感情が渦巻く 魔の三角バミューダ
そして愛だ 一生かけて消えることのない 魔法の火
裏目に出るくらいがちょうどいいよ
笑って 泣いて 人間讃歌さ このまま行こう
ライトマイファイア
≪パラノーマルワンダーワールド 歌詞より抜粋≫
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「私は世界一幸せ者だ!」と言えるような毎日でもなければ、凪いだ日々に辟易するわけでもない、ただ淡々と一日一日を繰り返して生きていく。そんな日々を過ごす人が大半だろう。
この曲は、「満足しているわけでもなければ、取り立てて不満があるわけでもない、そんな日々にただ一つ、あなたが愛せるものがあるのなら、盲目に愛を捧げてもいいのでは?」という、バニラズから、懸命に日々を生きるあなたへの応援歌だ。
盲目に愛を捧げる対象は、仕事かもしれないし趣味かもしれないし、愛する人かもしれない。バニラズにとっては、その対象が「ロック」なのだろう。
道無き道を、音楽と共に進んでいく不安を「バミューダトライアングル」と例え、それでも「愛する」ものがあるから、このまま進み続けられる。彼らが音楽を鳴らし続ける意味、といったメッセージも込められているのだろう。
愛すべき"日常" "非日常"へ送る曲
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理想のセレモニー 積み重ねて ready go
大丈夫 君は 太陽と月の子 どこまでも行けるのさ
愛を歌え 恋に狂え それが全てを越えていく
飛べない壁 こんな深手 それでも今日に 恥を捨て
勇敢に巡る 命懸けのデイトリッパー
そうさ夢だ 一生かけて消えることのない 最後の火
裏目に出るくらいがちょうどいいよ
パラノーマルワンダーワールド 愛しい日々
ライトマイファイア
≪パラノーマルワンダーワールド 歌詞より抜粋≫
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懸命に日々を生きる人は、きっとその生活の中で様々な出来事に一喜一憂し、その度に舞い上がるほど喜んだり、精神をすり減らすような悲しみに身を投じたりするだろう。でも、その両方を知っているあなたには、愛すべき「非日常」があるから、誰よりも強く生きていける。
『パラノーマルワンダーワールド』では、「裏目に出るくらいがちょうどいいよ」というフレーズが、繰り返し登場する。頑張っても頑張っても、その努力に比例して結果がついてくる、なんてことはごく稀だ。だからこそ、「いたずらに過ぎてく毎日」ではない日が輝いて見えてしまう。
この曲は、「淡々と過ごす日常」と「我を忘れて楽しむ非日常」は、表裏一体であることを教えてくれる。その上で、そのどちらもが愛おしいと、両方抱きしめて愛し、讃えてくれる曲だ。
「愛しい日々」への人間讃歌
▲「パラノーマルワンダーワールド」 Music Video
バニラズは、いわゆる「泣けるバラード」を全面に押し出すバンドではないのに、どうしてgo!go!vanillasの生の音楽は聴いた者の心を掴んで離さないのだろうか?という疑問をはじめに投げかけたが、その答えが『パラノーマルワンダーワールド』には詰まっている。
ただ底抜けに明るいだけではない、人間らしい「泥臭さ」を持つからこそ、バニラズの曲は説得力を持って人々にそのメッセージを訴えかける。
我々聴衆は、ステージで輝くヒーローのような姿に、彼らの「日常」を想像してしまいがちだが、そんな彼らもステージを降りると「懸命に日常を生きる一人」だということを、『パラノーマルワンダーワールド』が伝えてくれる。
弾けるようにエネルギッシュなライブは、あくまで「非日常」だ。「非日常」に身を委ねることは心地よいけれど、「非日常」は「日常」が存在してこそ輝くものだろう。そんな「日常」がどんなに苦しくて退屈でも、バニラズの全ての楽曲が「讃歌」なのだ。
アルバム『THE WORLD』のリード曲に、この『パラノーマルワンダーワールド』が位置するのは、日常を描くこの曲が他の全てのバニラズの楽曲を輝かせる意味を持つだろう。
幾多の困難に阻まれても、音楽を鳴らし続けることを選択したバニラズが「あなた」に歌う応援歌『パラノーマルワンダーワールド』。
心強いことこの上ないグルーヴで、荒波を越えていくgo!go!vanillasを、我々はきっとこの先も見つめて、「非日常」に心を躍らせてしまうのだ。
TEXT DĀ
牧 達弥(vo/g)、長谷川プリティ敬祐(ba)、ジェットセイヤ(dr)、柳沢 進太郎(g)の4人からなる新世代ロックンロール・バンド。
さまざまなジャンルを呑み込んだオリジナリティ豊かな楽曲で聴く人を魅了し、ライヴでは強烈なグルーヴを生み出す。
2013年1月、7inchシングル「人間讃歌 / アクロス···
牧 達弥(vo/g)、長谷川プリティ敬祐(ba)、ジェットセイヤ(dr)、柳沢 進太郎(g)の4人からなる新世代ロックンロール・バンド。 さまざまなジャンルを呑み込んだオリジナリティ豊かな楽曲で聴く人を魅了し、ライヴでは強烈なグルーヴを生み出す。 2013年1月、7inchシングル「人間讃歌 / アクロス···