絶望に眠る意味
未来で叶えたい夢、理想を持つことは、今を生きる上で欠かせないものだ。その思いが、今の自分に生きる意味を与えて成長のキッカケをくれる。そして、過去の経験もまた、未来へ進むための布石になる時もある。
しかしその過去に、手痛い失敗の経験やトラウマが纏わりついている時、絶望と恐怖が未来に向かおうとする心を縛り上げ、動けなくさせてしまう。
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泥だらけの走馬灯に酔う こわばる心
震える手は掴みたいものがある それだけさ
≪紅蓮華 歌詞より抜粋≫
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泥のように記憶に纏わりついた悲しみ、不安、恐怖が、走馬灯のように頭の中を巡る。
巡り廻る記憶に揺さぶられ酔い、進もうとする心が停滞させられてしまう。
動けなくなった心は、容易に絶望の淵に突き落とされてしまうのだ。だが、その絶望の裏には、必ず“意味”がある。
過去の悲しみや不安に流されるだけなら、それ以上は何も感じずに事なきを得るだろう。しかし、前に向かおうとする意志が僅かでも働くからこそ、流されることなく、その場で立ち止まれるのだ。
そこで絶望を感じるのは、未来に向かいたい想い、どうしても手放せないものが確かにあるからなのである。
絶望の中には、必ず希望に繋がる“意味”が眠っているのだ。
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夜の匂いに空睨んでも
変わっていけるのは自分自身だけ それだけさ
強くなれる理由を知った 僕を連れて進め
≪紅蓮華 歌詞より抜粋≫
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絶望の淵で、自分の不幸を呪い、天を睨んでも、動けない今が変わることは無い。
そこから這い上がることを決意し、その為に努力を重ねられるのは自分だけである。どれだけ外部からの影響を受けようとも、自分自身を変えられるのは自分だけなのだ。
絶望の意味を知れるのも、自分を強く変えられる理由に気づけるのも自分だけなのだ。
そこに気づけば、未来に近づく一歩をまた踏み込むことができる。
全ては無駄にならない
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イナビカリの雑音が耳を刺す 戸惑う心
優しいだけじゃ守れないものがある? わかってるけど
水面下で絡まる善悪 透けて見える偽善に天罰
Tell me why, Tell me why, Tell me why......
≪紅蓮華 歌詞より抜粋≫
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平穏な日常を切り裂くように鳴る稲妻のような不幸。その力でどうしても乱される心。
優しさだけが正義ではない。表面的な優しさを見せれば却って悪い結果を招き、守りたいものを守れない時がある。
戸惑い乱れた心の時こそ、その善悪の見極めが大事なのである。
努力や挫折を知らないで辿り着いた成功の華よりもそうやって考え続けて、折れない心で幾重も挑戦し、ようやく到達した一輪の方が素晴らしいのだ。
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I don't need you
逸材の花より 挑み続け咲いた一輪が美しい
乱暴に敷き詰められた トゲだらけの道も
本気の僕だけに現れるから 乗り越えてみせるよ
≪紅蓮華 歌詞より抜粋≫
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人生に本気で挑もうとするからこそ、様々な困難が訪れる。その困難のトゲに刺され、身も心も傷だらけになるかもしれない。またその結果、夢の一つを手放さなければいけない瞬間が来るかもしれない。
しかし、そこで片付けられてしまった夢は決して無駄になることはない。未来に向かって生き続けようとする心の源へ根を張り、己の血肉となって、明日へ進むエネルギーに変わっていく。
困難で得た傷跡と敗れた夢の意味は、自分をより強くしてくれるのだ。
紅蓮の心で運命を
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簡単に片付けられた 守れなかった夢も
紅蓮の心臓に根を生やし この血に宿ってる
人知れず儚い 散りゆく結末
無情に破れた 悲鳴の風吹く
≪紅蓮華 歌詞より抜粋≫
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人の世は千差万別。
簡単に望むものが手に入り、笑顔の絶えない人生を歩む者もいれば、どれほどの努力と研鑽を積んでも届かない夢の前に膝をつき、自分の力ではどうすることも出来ず、誰の目に触れないまま二度と立ち上がれなかった者もいる。
人間は、一つとして同じものが無い人生を歩む。しかし、人は誰しも必ず同じ感情を持っている。それは、自らと、親しき者たちの幸福を望む想いである。
その願いが、人を強くしてきた。夢を見る理由を与えてきたのだ。
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誰かの笑う影 誰かの泣き声
誰もが幸せを願ってる
どうしたって!
消せない夢も 止まれない今も
≪紅蓮華 歌詞より抜粋≫
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何度打ちのめされても、何度絶望を味わおうとも、絶対に捨てられない夢と今がある。
その想いがある限り、何度でも立ち上がることができる。
望む未来へ進む力を与えてくれるのだ。
そして悲しみと対峙した時、自分が本当に守りたい者も見えてくる。誰かを守りたい想いは人に、より強固な意志と強い力を与えるだろう。
その力は、悲しみに眠る希望に繋がる“意味”を見出す力に、すぐ変えられるはずだ。
だからこそ、絶望の到来を悲観だけで終わらせずに、全てを“ありがとう”と受け入れる姿勢で進むべきなのである。
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誰かのために強くなれるなら
ありがとう 悲しみよ
≪紅蓮華 歌詞より抜粋≫
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叶えられなかった夢、届かなかった理想、身動きが取れないほどの悲しみと絶望。全てに訪れてしまった理由と意味がある。そしてそれらに気づいたとき、全ては心臓に根を張り、血肉となって、全身に勢いよく流れ出す。
その流れによって生み出されたエネルギーは、望む未来へ身体を運ぶための一歩を踏み込ませてくれる。
そして、紅蓮の心に根を生やした絶望から得た“意味”は、やがて同じ色をした大輪の華を咲かせてくれる。美しいその華は、自ら思い描く未来へ必ず導いてくれるはずだ。
その為に、自らが信じる夢を枯らさずに、生き続けよう。
TEXT 京極亮友
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