ネプチューンが歌う『イッショウケンメイ。』
『イッショウケンメイ。』は、当時大人気だった青春応援バラエティ「力の限りゴーゴゴー!!」内の人気企画「ハモネプ!」のテーマソングだ。終始ハイテンションで勢いのある当番組には、青春を楽しむ若者たちの輝きと、若きネプチューンの汗と涙が詰まっていた。
『イッショウケンメイ。』はまさに、遠い青春の日々を思い起こさせる名曲だ。
まっすぐな歌詞とまっすぐな歌声
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イッショウケンメイ
君が好きだ
片想いでも構わないさ
今日まで過ごした関係を
僕は こわせないよ
≪イッショウケンメイ。 歌詞より抜粋≫
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歌詞は秋元康による。きわめてストレートで、深読みの必要はない。歌詞のとおりに想いを馳せれば、心がチクリと痛くなる。そんな曲だ。
ネプチューンの歌唱がまた良い。主にボーカルをとっているのは名倉潤なのだが、彼の優しい声が楽曲に非常にマッチしている。歌唱力も高い。
…とはいえ名倉潤はプロの芸人であってプロの歌手でなく、複雑なテクニックを用いているわけではない。
ただただ心を込めてまっすぐに歌っている。それがまた良い。
名倉潤の歌声がなんとも心に響くのだ。
きっと誰もが経験した恋
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遠くから見ている恋なら
あきらめられる
問題は 僕のすぐそばに
君がいること
何気ない言葉やしぐさが
ふいに切なく
愛しさを
伝えられないまま
友達でいた
≪イッショウケンメイ。 歌詞より抜粋≫
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想いを寄せる相手は、いつもそばにいる友達。日常の些細なやりとりに胸をときめかせては、想いが募る。細かな描写が切なさを増す。
歌詞のとおり、見ているだけの恋ならばいつか忘れられるのかもしれない。近すぎる距離が、嬉しくて切ない。あきらめようがない。しかし…
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君の手が 僕に触れたのは
ただの偶然
僕たちは 近くにいるのに
やっぱり遠い
≪イッショウケンメイ。 歌詞より抜粋≫
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君の心のうちを、好きな人までをも分かってしまう関係。「もしかしたら」がない恋の切なさを思い出す。
どれほど仲が良くても、いつもそばにいても、心は同じじゃない。恋と友情はまるで違う。そばにいればいればいるほど、心の距離を実感してしまうこともある。
学生時代、世界は半径50mで完結していた。もし今まで通りの関係じゃなくなれば、永遠に失ってしまうと本気で思っていた。そんな青い気持ちを思い出す。
ひとつの愛の形
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君までも
巻き込んでしまえば
いつもの2人じゃない
≪イッショウケンメイ。 歌詞より抜粋≫
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イッショウケンメイ
君のために
昨日と同じ僕でいよう
いつかは目が覚める
夢よりも
何も始まらずに…
≪イッショウケンメイ。 歌詞より抜粋≫
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イッショウケンメイ君を好きな僕は、決して意気地なしじゃない。君を失うことよりも、君を困らせたくないと思う。だからこのままでいいと決めた。
その強さ、優しさが『イッショウケンメイ。』には溢れている。
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イッショウケンメイ
君が好きだ だから
僕はこのままでいい
これも きっと ひとつの
愛なんだって思う
ずっと 変わらずに…
イッショウケンメイ
君が好きだ
片想いでも構わないさ
今日まで過ごした関係を
僕は こわせないよ
≪イッショウケンメイ。 歌詞より抜粋≫
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まっすぐな歌声を心で聞いて欲しい
君を想うからこそ変わらずにいることを決めた僕の、愛の形。まさに“ひとつの愛”の形だ。ひとりよがりに想うのが恋ならば、相手のことを想うのが愛だろう。『イッショウケンメイ。』の歌詞には、幼さのなかにたしかな強さがある。
募る想いに苦しみながらも「このままでいい」という自分なりのこたえを導き出す。少年が「愛」を知る心の成長が秀逸に描かれている。
ぜひ、ネプチューンのまっすぐな歌声で聴いてほしい。きっと誰もが、若き日の淡い恋心を思い出す。
そして胸の奥の奥が、なつかしく痛むだろう。
TEXT シンアキコ