力強いメッセージをパワフルな歌声に載せる、というLiSAの方程式を構築した本作について、歌詞を中心に紐解いていく。
LiSAらしさの原点とは
LiSAは、2010年春より放送されたTV アニメ「Angel Beats!」の劇中バンド「Girls Dead Monster(通称:ガルデモ)」2 代目ボーカル・ユイ役の歌い手に抜擢され、以降多くのヒットソングを世に放ってきた。
LiSAの楽曲の力強いメッセージ性とパワフルな歌声は、今や「LiSAといえば」という枠を超えて、「アニソンといえば」という要素の一つと言っても過言ではないだろう。
2014年に放送されたTVアニメ「魔法科高校の劣等生」のOPテーマとして起用された『Rising Hope』も、そんなイメージに帰依する一曲だ。
LiSAの自身初の武道館ライブである「LiVE is Smile Always~今日もいい日だっ~」を経て書かれた本作は、そんな「LiSAらしさ」の原点となった楽曲だ。その『Rising Hope』の歌詞を紐解き、彼女の持つ力強さを今一度感じていきたい。
急かさせる日々の中で懸命に生きる人へ
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握ったメッセージ that's rising hope
揺るがない世界 非情な現状
続く壁は何重層?
イメージ通りなんかじゃない
静かに騒ぎだした本能
≪Rising Hope 歌詞より抜粋≫
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どんなに辛いことがあったとしても、万人に平等に時間は過ぎていく。
急かされるように過ごす毎日に、自分の居場所もわからなくなってしまう。こんな思いに当てられたことのある人は少なからずいるだろう。
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迷路みたい 行き止まりなんだ
もう思考はディストーション
容赦ないね いつの間に
見失ったルート、暴れ出す
pay attention! Hey what is it?
watch your step now!
常識なんか要らない
are you serious!? no no no. don't worry 1,2,3
吹き返す 心臓のリズム
視界まだ眩んでる それでも行かなくちゃ
キミが信じてる僕を裏切るわけにいかない
強くクラクションが鳴る
≪Rising Hope 歌詞より抜粋≫
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『Rising Hope』は未来に向けて努力を続け、希望を握る手に血が滲んでいても、それでも命を燃やして生きる人の背中を強く押す。
そんな力強いメッセージを孕んでいることには、大きな理由がある。LiSAの自身初の武道館ライブを経て書かれたこの歌詞は、その武道館ライブでの経験に基づいたものなのだ。
ライブ後にLiSAが自身のインタビューで、「思い通りに動いてくれない自分の体と、それによってずっと思い描いていた理想が崩れていくのを感じた」と、当時のことを振り返った。
ペース配分であったり緊張であったり、その要因は様々だろう。その意味で“苦い”思い出であるライブであったが、その葛藤の中でもLiSAを信じて歓声を送り続けた観客の存在が彼女の背中を押した。
「泣きそうでも悔しくても止まっていられない」
この歌詞は、孤独でないと気付いた彼女だからこそ歌えた“強さ”だ。
その経験がなければ『Rising Hope』は生まれなかったそうだ。その生の体験が楽曲に確かな説得力を持たせているのではないか。
孤独じゃないから強くいられる
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握ったメッセージ that's rising hope
デモ・ケドnonstopでガンガン迫るhardway
where's the solution!?
打ちのめされも
get up! come on! and hurry up! come on!
そんな損な時間ならすぐさまゴミ箱
後悔なんて塵埃同然 さあ 2step OK
Shouting OK 欲張りあそばせ
可否も賛否も全部僕のもの 飛ばせ
≪Rising Hope 歌詞より抜粋≫
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“急かされるような毎日でも、キミがいれば強くいられる”
そんなメッセージを込めて紡がれる言葉は、楽曲がクライマックスに近づくほどその強さを増していく。
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心臓のアルゴリズム
ほら守りたいんだって
僕の声が伝播した
異論反論は許すけど
この想いは不用意に科学できないでしょう?
聞いてよ 辿り着いた正解 言わなくちゃ
キミがくれる想いの全部を 信じていける
≪Rising Hope 歌詞より抜粋≫
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孤独ではないと気付くことが出来れば、人は強くなれる。そんな真っ直ぐすぎるメッセージも、LiSAの歌声に乗せれば臆せずに信じることができる。LiSAの武器ともいえるパワフルなボイスが、どんな未来でも自分の足で歩いていけると、日々を懸命に生きる人を鼓舞してくれる。
“キミがいるから今を追い越せる強さを手にできた。だから今度はキミと一緒に未来を作る”
思い通りにいかないことも、急かすように過ぎていく時間も、それらに疲れて歩みを止めてしまいそうなとき、この曲は必ず聴いた者に力を与えてくれる。
それはきっと、葛藤の中にいたあの日の彼女もそうであったからだろう。
TEXT DĀ