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「#6」に見た、AA=の狂気なる理

上田剛士を知ると神とは何なのかと思える。ただそれは神などはおらず、人間こそ万物の最高なのだという考えとも違う。神がいて、人間がいて、ほんの近くに上田剛士が存在する。“身近な絶対的他者”上田剛士を検証する。

公開日:2019年10月11日 更新日:2019年10月11日


この記事の目次 []
  1. ・花と人 死生観の美「THE FLOWER」
  2. ・虚構から実態ある勝利へ「UNDER PRESSURE」
  3. ・おびただしいまでの“雑”の炸裂「AD SONG」
  4. ・音 その終わりなき逃避と進行「POSER」
  5. ・上田剛士の多重なる純粋な声「SAW」

花と人 死生観の美「THE FLOWER」


この音は何なのか。細胞分裂化した爆発。

破壊力を持ちながら、何かを作り上げようとする実直な建設的営みがそこに在る。

人間を超え、すべての生きるものの頭の上ほんのすこし浮き上がった場所に浮く告知のような静謐な叫び。

このまま一方向に導かれるのかと思うとギターの炸裂により、鉱物だった蕾は突如開花する。

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理、聴こえますか?
情景は親愛なる忘却と華
我、生きるとて誓いあう、馴れ合いの末は花と風
≪THE FLOWER 歌詞より抜粋≫
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開花は同時に死を意味する。人間であることの猶予への焦り、花となることへの安らぎ。

一瞬体内から抜け出そうと試みる己の脳の動きが心地よい。

虚構から実態ある勝利へ「UNDER PRESSURE」


白川貴善のラウドはなぜここまで重くたわんでいるのか。

大股で平和な日常を破壊するというより、むしろ虚構の街を自分の色で塗り込めようとする建設的な姿が見える。

その後の激しいリズムは、すべての活動に対する巨大な待機を呼び、世界を停止させる。

そして、
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WOO
DON'T GIVE A SHIT
GIVE A SHIT, GIVE A SHIT, GIVE A SHIT
≪UNDER PRESSURE 歌詞より抜粋≫
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この咆哮は、地下に張り巡らされたインフラ、この世界の暗部までも優しく温存しながら、美しい泉となって空高く湧き出す。

事実の連結ではなく、音のみのストーリー性が無駄なく運搬されていく傑作である。

おびただしいまでの“雑”の炸裂「AD SONG」


一番好きな曲だ。

こんなに弾むリズムでありながら、こんなに楽しいのに、ダンサブルとは真逆の、身体が硬直してしまうほどの息苦しさ、不自由さ。

金子ノブアキの本能的スキルが鈍く光る。

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OVER AND OVER AGAIN
OVER AND OVER AGAIN
≪AD SONG 歌詞より抜粋≫
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突如来るギターの炸裂。

この音は確かに綺麗な素ではない。しかし確かに集いあってきたおびただしい数の“綺麗なものの他者たち”による衝突は、崇高な瞬きを放ち続けるのだ。

現象化した結果としての音の群衆が、二進法の一音一音を飲み込んでいく画を傍観できる喜びがそこにある。

決着なき闘争 その隙間にある光

音 その終わりなき逃避と進行「POSER」


音速の歩行が迷路を縫っていく。

コーナーには番人が立っているが、それを殴り殺すこともなく、ある程度の敬意を祓い、ある意味軽蔑し、距離感を保ったまま逃げるように、光りなきゴール目指して進行する。

その動きは、理性と品格をもった害虫のようだ。

だからこそ、物体の衝突の単なる繰り返しによって構築されたノイズの城が、形を崩すことなく液体となって流れ落ちる清々しさも感じることができるのだ。

上田剛士の脳内は繊細で美しい。

上田剛士の多重なる純粋な声「SAW」


このドラムは崇高な祈りだ。

救いのための破壊、矛盾を諭す告知となって、この狂った世界の勝者のみを振動させる。

なぜ上田剛士の声は1つであって1つでないのか。

この世に生まれてから今まで変わらないであろうあまりにも純粋な声。

しかしその中には、悔しさ、悲しみ、喜びが、ビッグデータの如く、整然と間違いなく貯蔵されているのだ。

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IT MAY BE A POWER FOR GOOD OR A POWER FOR EVEL
WE KNOW WHERE WE GO
そのまま行こうぜ、オレらの言葉
オレたちの闘争はまだ続く
オレたちの喧騒は果てしなく
オレたちの闘争はまだ続く
オレたちの幻想は
≪SAW 歌詞より抜粋≫
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白川貴善の声は上田剛士の声とは、別の惑星の別問題を語るかのように無関係なまでに遠い。

しかし、彼の声がしだいに丸くなった鉛筆のようにかすれながらも、確かな太い線を描く時、白川貴善は全身全霊で、上田剛士のちぎれて、もがれて、ドアが飛び散った心の穴に、優しくバンドエイドを貼っているのだ。


かつて音楽は人々から離れた場所で貴重なものとして展示された。

その後、人間は音を操るようになり、音楽は人間の欲望や主義を単に投影するツールとなった。

そして、上田剛士は音たち1つ1つに権利と義務を与え、彼らは自分の意思で動くようになり、悩み、喜び、時には人間に攻撃を与えるまでに発展したのだ。

上田剛士の音楽は、狂気を訂正し、愛を完遂するまで永遠に戦い続ける。

TEXT 平田悦子

世界に名を轟かせたモンスターバンド "THE MAD CAPSULE MARKETS”の中心人物、上田剛士のソロプロジェクトとして、2008年"AA="を始動。常に進化したサウンドで独自の音を作り続けるイノベーター。アーティスト名はジョージ・オーウェルの小説「動物農場」に登場する言葉“All Animals Are Equal”に由···

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