躍進が期待される日本代表のために書き下ろされたのが、B'zの『兵、走る』。リポビタンD・ラグビー日本代表応援ソングとしてCM等で耳にする機会が多い。
近年凄まじい人気を誇るラグビー。その熱い試合の世界観を演出するこの楽曲は、どのような意味を持つのだろうか。
勝敗を重ねてつなぐ志
----------------まさに、ラグビーの試合会場の熱気そのものだ。
泥の風と汗の煙
走るあなたが見える
その姿に希望を託し
僕らは思わず叫んでいた
そして気がつく
皆限界まで挑む権利がある
≪兵、走る 歌詞より抜粋≫
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一心不乱に仲間と駆け回る選手。
彼らに期待を寄せ、勝利を願い見守る人々。
その両方を表している。
「限界まで挑む権利」とはどういうことだろうか。
----------------花吹雪は、日本代表のユニフォームに描かれた桜のエンブレムを彷彿させる。
花吹雪乱れ散る中
浮かれる者などいない
たとえ己が倒れようと
志だけはつないでゆく
勝敗をまたひとつ
噛み砕いてツワモノは走る
≪兵、走る 歌詞より抜粋≫
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試合終了のその時まで、油断することは決して許されない。
例え自分が倒れたとしても、その志は仲間達が繋いでいく。
「つわもの」という言葉を「強者」ではなく「兵」と表した理由はここにあるのではないだろうか。
個々の実力だけで戦っているのではない。
すべての仲間と共に、その志を繋いでいくチームプレーだ。
一丸となって挑み続けるその姿は、まさに「兵」。
何があろうとも、最後のその時まで同じ志を持って戦う。
その気持ちを持てることこそが「限界まで挑む権利」なのだろう。
「TRY」しなければ近づけない明日
----------------例え勝利しても、その次の戦いが待っている。
ゴールはここじゃない
安住の地などない
泣けど続く人生
アナタは先の方
ずっと先の方
手を触れたいなら今は TRY
≪兵、走る 歌詞より抜粋≫
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「限界まで挑む権利」を持つ者は、コートに立ち続けるのだ。
憧れる誰かに追いつくために、皆で夢見た勝利を掴むために、彼らは走り続ける。
必ずその手に掴めると確信させてくれるような、稲葉浩志の「TRY」のシャウトが非常に心地よい。
----------------そして、これはきっとコートの中に居る者だけに向けた歌ではない。
ゴールはここじゃない
まだ終わりじゃない
止むことのない歓声
今日を生きるため
明日を迎えるため
誇り高きスピードで TRY
≪兵、走る 歌詞より抜粋≫
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生きている間、人は何かに「TRY」し続けているのだ。
今日を生き抜き、明日を迎える。
この楽曲は、泥の風と汗の煙にまみれながら生きる、すべての人へ向けた応援歌と言えるのではないだろうか。
何かに挑み、それと真摯に向き合い戦う人の姿というのは、とにかくカッコいい。
それを身をもって示してくれる日本代表選手達。
それを讃え、さらに鼓舞する歌詞であることが分かる。
さて、私がこれを執筆しているのは、第三戦となる日本vsサモアの前夜だ。
日本代表がここからどんな展開を見せてくれるのか、この曲と共に見守りたい。
TEXT 島田たま子