主人公と阿部真央のイメージが重なる
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同曲は、女優の多部未華子さん主演ドラマ『これは経費で落ちません』のために書き下ろされたものです。
ドラマの内容を簡単に説明すると、石鹸会社で働く経理部の森若沙名子(多部未華子)が、会社の領収書から見える人間関係や、それに伴う社内の歪んだ出来事や情報と向き合っていくという内容なのです。
自分のものさしで図ってきた正しいことも、まわりから見れば正しくはなかったり、またその逆もしかり色々と気づかされますよね。
間違っていることを素直に相手に指摘できる主人公の森若さん。
間違った事がゆるせず、周りから取っつきにくく感じられるその姿ですが、上司や同僚と共に考え一緒に悩んでいく熱い心や、恋に臆病でありながら、それでも自分の気持ちに素直になろうとし涙する姿。
この姿が、どこか阿部真央と通ずるところがあるように見えてしまいます。
彼女たちのように、芯があって自分で道を開拓してゆける強い姿。
そんな姿には、誰だって憧れちゃいます。
でも、甘えるのが苦手って結構辛いと思うんです。
次の章では、歌詞を引用しつつ解説をすすめていきます!
自分に厳しく甘えるのが苦手?
----------------一般的に、女の子は基本的にはか弱く、誰かに守ってもらいたいと願っていますよね。
「良い自分」で居たいと思うほど 苦しい
こうあるべきだと ずっと信じてきた
大人になる度 間違えられなくて
甘えることなど もう忘れていた
≪どうしますか、あなたなら 歌詞より抜粋≫
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しかし、中には自分から甘えに行くことを苦手とし、自分の手だけで道を切り開こうとする不器用な生き方を選んでしまう女の子もいる。
『いい自分でいたい』とは周りに迷惑をかけず、どんな時でもイエスが言える自分を目指してしているのでしょう。
そのあとに、『大人になる度間違えられなくて』と歌詞が続きます。
大人になる=年齢を重ねていくということ。若いときは「知らなかった」で済んだ事が大人になると済まされませんよね。
そして、年齢が増えるほど、簡単に人にも聞けなくなります。
なぜなら、人に聞くのは自ら無知を晒す事になる。そして、これはもう周りが求める【いい自分】ではないですよね。
そんな姿を【いい自分】を目指そうとするから甘えていけなくなる。悪循環ですね。
ただ、この曲で描かれる【いい自分】とは、本当にそうでしょうか?
阿部真央が曲に込め描いた【いい自分】はどういう姿だったのでしょうか。
阿部真央が目指してきたもの
----------------ここで気になるのは今までの阿部真央が目指してきたものは何だったのだろうか。
綺麗な丸をもらえても それ本当に欲しいのか?
私が目指してきたものは 果たして正しかったのか?
違うかも
≪どうしますか、あなたなら 歌詞より抜粋≫
----------------
過去の代表作を振り返ってみます。
2014年にリリースされた『Believe in yourself』。
この曲の歌詞の中に、『君にしか分からなくたって楽な道は選ぶな最後に報われるのは逃げずに居た君自身だから』というフレーズがあります。
この歌詞でも、やはり隙がなく強い自分像を描いていましたね。
誰でも承認欲求があるので、自分が努力している事に気付いてほしいですし、頑張ったねと褒めてもらえると嬉しくなる。
けれども現実はなかなかそうはいかないし、自分で自分を誉めてあげる事の方が多くなります。
ただ、阿部真央の歌を聞くと、そんな自分に気付いてもらえた気がして、もう少しだけ頑張れるかもと思えるのです。
まるで、『綺麗な丸』を与えてくれるようで、また彼女自身も同じ様に『綺麗な丸』手に入れたいと思っているのかもしれませんね。
だだ、そんな彼女が今は少し立ち停まりました。
“私が目指してきたものは果たして正しかったの”かと問うように…。
完璧な自分を諦める勇気
----------------“頑張れ”という言葉は相手を励ます優しさからくるものだが、時にはその言葉がプレッシャーになることもあります。
完璧な自分を諦める勇気を
ダメな自分も愛せる生き方を
それなりの昨日が連れてくる明日は
きっと これまでのどの私とも違う顔
道はすでに開いてる
時は来た さぁ今
踏み出さねば分からないよ
どうしますか、あなたなら
≪どうしますか、あなたなら 歌詞より抜粋≫
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阿部真央は『完璧な自分を諦める勇気を』の歌詞に注目して聞いて欲しいと語っています。
彼女自身も、社会の歯車の中で生き、家庭では育児を経験し、毎日をもがきながら生きている女性です。
この曲が最も心地いいのは、“頑張れ”というフレーズが一切使われていないのに、なぜか背中を押されたような気持ちになるところ。
『諦める』という言葉の意味には、“仕方がないと思い切る”と書かれてもいます。
しかし、決してマイナスな言葉ではないと私は思うのです。
『踏み出さねばわからないよ』勢いよく踏み出すためには、思い切りの助走が必要。
何かを手放す事で、そのスタートダッシュも軽やかになるのかもしれません。
そんなメッセージを阿部真央はこの曲をとおして伝えたかったように思えてならないのです。
TEXT 紺 うめこ