四星球ってどんなバンド?
四星球のライブを一度でも観たことがあるなら、まずそのコミカルさに驚くだろう。コスチュームは目に鮮やかなハッピにブリーフ。
お笑い芸人さながらのMCは一曲一曲をしっかりと盛り上げ、曲中にも挟まれる寸劇にはついつい見入ってしまう。
さらに、ライブに登場する小道具も欠かせない。
曲にちなんだものから時事ネタに絡めたものまで、ギターと小道具担当のまさやんが作ったものだ。
フロアとステージの垣根を壊すような煽りも楽しい。
ただライブを観ているだけでは帰さないぞとでもいうように、メンバーがフロアに降り立ち、観客と一緒にライブ会場を走り回ることもざらにある。
「面白さ」に目線がいきがちな四星球だが、実は魅力はそれだけではない。
「日本一泣けるコミックバンド」をキャッチフレーズに掲げるだけあり、そのライブはなぜか観るものの胸を打つ。
そんな四星球の中でも歌詞が光る「チャーミング」と「Mr.Cosmo」にフォーカスしてみた。
全ての女子に捧ぐ「チャーミング」
----------------こんな歌詞から始まるのは「チャーミング」。
世界は女子で回ってるんだ 止めることさえも出来るんだ
そもそも女子から産まれてきたし この星の名は女星
≪チャーミング 歌詞より抜粋≫
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このフレーズだけでも分かるように、ひたすら「女子」に対する想いが綴られた曲だ。
小3女子からはじまり、レンタルビデオ屋に部屋着で向かう女子、おばあちゃんに至るまで、全ての女子に向けて「チャーミング」と歌い上げるのだ。
さらに四星球の魅力が詰まっているな、と感じさせるのがこのフレーズ。
----------------言わずもがな「べっぴんさん べっぴんさん べっぴんさん 1つ飛ばしてべっぴんさん」というボケをもじったものだ。
べっぴんさん べっぴんさん べっぴんさん 1つ飛ばさずにべっぴん
さん
≪チャーミング 歌詞より抜粋≫
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主にお笑いなどで「客いじり」の一環としてよく使われるこのフレーズだが、それすらも四星球は愛に溢れたフレーズへと変えてみせる。
1人飛ばしたりしない、四星球のフロアにいるお客さんは皆べっぴんさんだと言わんばかりの暖かさが伝わってくる歌詞だ。
変わり者への愛情がにじむ歌詞
さらに四星球のライブでは定番の「Mr.Cosmo」。
ライブの最中にUFOを降臨させる寸劇も行われ、盛り上がりに盛り上がる曲だ。
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おっさんは言い張った 「ワシは宇宙と交信できる」と
おっさんは言い張った 「ワシはNASAで働いとった」と
おっさんは言い張った 「NASAは給料よかったんじゃ」と
≪Mr. Cosmo 歌詞より抜粋≫
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そんなMr.Cosmoの歌詞に登場するのは「僕」とMr.Cosmoこと「おっさん」。
おっさんは、端的に言ってしまえば近所にいる変わり者のおじさんだ。
NASAで働いていたとか、宇宙と交信できるとか、大人になってみればすぐに嘘だと分かるような言葉を並べるおっさんに語りかけるように、サビはこう続く。
----------------この「ウソでもええから」と歌い上げるところに、見るからに嘘だと分かる言葉を、馬鹿にするわけでも笑うわけでもなく、愛おしむような眼差しを感じる。
ウソでもええからワクワクさせてよ ウソでもええからワクワクさせて
よ
UFOでもLOVEでも USOでもAからWAKUWAKUさせてよ
≪Mr. Cosmo 歌詞より抜粋≫
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世間から見れば「変わり者」や「はみ出し者」と呼ばれるような人々に対する、大きな愛情がそこにある。
誰も傷つけない四星球の世界
「日本一泣けるコミックバンド」といっても、四星球はお涙頂戴なバンドというわけではない。
初めに言ったように、むしろ少しでも笑いを取ろうというような姿勢が貪欲なほどだ。
しかし、四星球のライブを終えると、不思議と涙が浮かんでいることがある。
それは言葉ではなかなか言い尽くせないが、MCや歌詞から愛情を感じるからだろう。
「コミックバンド」を名乗り、ハッピにブリーフという出で立ちでバンドを行う彼らだが、決して過激なパフォーマンスや他人を傷つけるような歌詞を歌うことはない。
ファンや観客、ひいては「Mr.Cosmo」に登場するような世間的には変わり者とみられるような人間や「チャーミング」に登場するような普通の女子にも愛情を向ける。
だからこそ、爆笑ばかりのライブなのにほろっと泣けてくるのだ。
笑えて、不思議と泣ける四星球が本領発揮するのはやはりライブ。
もし機会があれば、ぜひライブで彼らの魅力を味わってみてほしい。
TEXT つちだ四郎