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サカナクションがマイノリティと表した「モス」の正体とは

「あれ?なんか自分、周りと違うぞ」と気がついたときの、謎の疎外感と劣等感。サカナクション「モス」の歌詞は、シンプルな言葉でそれを表現している。
一度聴くとつい口ずさんでしまう中毒性を持つ、サカナクションの『モス』。

2019年の夏ドラマ『ルパンの娘』の主題歌としても話題を集めた楽曲だ。

聞き慣れないタイトルの持つ意味とは、そしてその歌詞が何を表しているのか。真相を探っていく。

閉じ籠ったココロ


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君のこと
(ソウゾウデキズニ)
知らなくていいや
(ソウイウフンイキ)
僕はまだ
(ソウゾウデキズニ)
探してたいんだ
(ソウイウコトバガ)
≪モス 歌詞より抜粋≫
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まず前置きとして、このコラムには私の内面的な部分、俗に言う「陰キャ」な一面が少々影響することをお伝えしておこう。

人が誰かとコミュニケーションをとる際、自分のことを話すだけでなく、相手にも興味を持ち、その話に耳を傾けなくてはならない。

しかし、心を閉ざし閉じ籠っている彼は、それが出来ないのだと言う。

相手に興味が無いわけではないが、“別に知らなくて良いや”という虚勢で誤魔化している状態。

“自分のことを他者へ発信したい、理解されたい”という欲求を押さえつけて、“自分を表現する言葉を模索する”という最もらしい理由で考えを巡らせているだけの日々。

相手に話してもどうせ理解されないし、理解させるための言葉はまだ見つけられていないのだ。

そうして、彼は自分の世界に閉じ籠る。自分だけの世界で孤独に過ごす閉塞感が表現されているのではないか。

シンプルな歌詞ながらも非常に秀逸な表現力である。私も書きながら少し悲しくなってくるほど、共感できる。

そもそも、「モス」とは何か


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繭割って蛾になる マイノリティ
揺れてる心ずっと 三つ目の眼
≪モス 歌詞より抜粋≫
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ここで一度、タイトルである「モス」の意味を考えたい。

様々な意味を持つ言葉だが、今回の「モス」はおそらく「moth」、つまり「蛾」のことである。

閉ざされた繭を自ら割り、蛾となり世へ出たマイノリティ。まさに前項で記したような者達が社会へと解き放たれる瞬間ではないだろうか。

マイノリティが「蛾」であるならば、マジョリティはおそらく「蝶」。蝶の方が見た目も美しく、人々から嫌遠されることも少ない。

それでもあえて、蛾として生きることを選んだ。人と異なる、ありのままの自分を包み隠さず、社会へ飛び込む決意を固めた。

とんでもない勇気と精神力の必要な決断であることが分かる。 


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抱えても
叶えられなくても
比べても
一人でうずくまっても
つまづいても
誰かが指差しても
次の場所を
行けるとわかってたんだろう
≪モス 歌詞より抜粋≫
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閉じ籠っていた方が楽だったかもしれない。しかし、次なる未来へと旅立てば、必ず新たな道も開ける。

それを確信したからこそ、彼は繭を破ることができたのだろう。

マイノリティだって、良いじゃない


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飛び交う蛾になる マイノリティ
雨に打たれ羽が折りたたまれても

繭割って蛾になる マイノリティ
揺れてる心ずっと 三つ目の眼

連れてく蛾になる マイノリティ
君はまた僕を思い出せるなら
≪モス 歌詞より抜粋≫
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今回、私の主観で書き連ねてしまったが、「モス」は決してごく一部の内向的な者だけを表しているわけではない。

世の中にはたくさんの、色々な人がいる。能力や性格、人種、言葉、趣味嗜好、考え方、生き方。

どれを取っても、どんな場面でも、必ず多数派と少数派はいるものだ。

例え自分が繭に閉じ籠った「モス」だと感じていても、それは別に何も不思議ではないし、何も悪いことではない。

しかし、自分が繭を割って外の世界で生きていくことにより、誰かが繭を破るための勇気を与えられるかもしれない。

共に飛び回る仲間を得られるかもしれない。

そんな、個々の生き方を後押ししてくれる。タイトルの持つイメージと軽快なサウンドとは裏腹に、非常に優しい、自信を持って前に踏み出すきっかけを与えてくれる楽曲なのである。

TEXT 島田たま子

2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。 日本の文学性を巧みに内包させる歌詞やフォーキーなメロディ、ロックバンドフォーマットからクラブミュージックアプローチまでこなす変容性。 様々な表現方法を持つ5人組のバンド。全国ツアーは常にチケットソールドアウト、出演するほとん···

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