あの時の純粋な気持ちはもう戻らないのだろうか?
大人になって、ふと思うことがある。
小さい頃、もっと素直な心を持っていたハズ。気持ちもまっすぐでストレートにぶつけていた頃があった。
そんな風に、思った事はないだろうか?
流れる時の中で、年齢を重ね様々な経験を積み構築されて出来た心と引き換えに、大切な何かを失ってしまったように感じる。
きっと同じ様に感じてる人も居るはずだ。
そんな忘れかけた幼き頃の純粋な気持ちを蘇らせ、改めて向き合わせてくれる10-FEETの名曲『蜃気楼』を今回は紹介したい。
7th AL「thread」に収録
『蜃気楼』は7枚目のアルバム『thread』に収録されている楽曲だ。この曲を聞けば、我々大人が幼き頃にもっていたあの純粋な気持ちは消え去ってしまったのかだろうか?
何もかもが新鮮だったあの頃には戻れないのか?
そんな疑問に対しての答えが、歌詞を辿ることで見えてくる。彼ら10-FEETが示してくれたその答えを一緒に感じてほしい。
幼少期の無邪気な気持ち
----------------幼少期は自分の身の周りで起こることすべてが新鮮で、物事を純粋に楽しむことが出来ただろう。
笑ってみても (笑ってみても) 泣いてみても (泣いてみても)
あの頃の様な高揚も弱さも無くて
孤独ささえも肯定して強くなっちゃって
カッコつけた背中は滑稽に言い訳こぼした
≪蜃気楼 歌詞より抜粋≫
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しかし、大人になり忙しい日々に追われ、なんとなく仕事をこなし、ただ過ぎ去るだけの日が増えてしまう。
そんな毎日の中で手に入れた、忍耐力や物事をうまく乗り越えるずる賢さ…。
大人に必要なスキルかもしれない。しかし、それらと引き換えに子どもの頃の大切な純粋さな心を失ってしまったともいえる。
なんだかんだで言い訳をいい、やらない理由を作ってしまいがち。
でも、あの頃の純粋な気持ちを取り戻したい。人はそんな自問自答を繰り返すのかもしれない。
ふとした場面で我に返ることも
----------------しかし、自らの根底にはあの頃の純粋な気持ちは残っていて、その気持ちを取り戻したいという気持ちも大きいハズだ。
優しそうな (優しそうな) 少し困った (少し困った)
母親にしがみついて泣いてた少年を
見てこぼした笑みは少し堅くて
僕はまた無邪気さを無くした気がしたんだ
≪蜃気楼 歌詞より抜粋≫
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だが、純粋な子どもと対峙した時に、やはり自分自身の純粋さや無邪気な心がなくなったことを再認識するのである。
やはり自分は変わってしまったのか…無くしてしまった?
葛藤に時間が割かれ、無情にも時だけが過ぎてしまいがち…。そんな大人はたくさん居るだろう。
悲しみを乗り越えることで導かれるもの
----------------確かに我々は純粋な気持ちを忘れてしまったかもしれない。
悲しみは (悲しみは) 幸せの (幸せの)
原石だけれど乗り越えなきゃ
ただの石ころだって淋しそうな顔で
紅茶を残してまた出かけた
≪蜃気楼 歌詞より抜粋≫
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しかし、それと引き換えに数多くの経験を積みながら“成長”を続けてきたのである。
その中には当然、辛いことや悲しいことも多くあったハズ。
もちろん誰しもが避けて通りたいものではあるが、その経験一つ一つが自らの幸せの道筋となっている。
暗がりを照らすような松明のように、幸せへ続く道を示してくれる。
悲しいことは、多くの場合「悪者」にされがち。だが、悲しみは幸せを見つける原石だと捉えてみてほしい。
そして、どんな道筋も悲観しているだけではなにも前には進まない。人は辛いことや悲しいことを乗り越えてこそ成長できるのである。
この事柄は、まさに10-FEETがライブや楽曲を通して、いつもファンへ向けて送っているメッセージのようにも感じ取れる。
10-FEETが伝えたかったこととは
----------------結局、自分を動かすエネルギーになるもの、活力になっているものというのは経験や純粋な感情だ。
あなたが私に (私に) 残した言葉は (言葉は)
今も事ある度 僕を歩かせ
孤独も幸せも少し増えた
懐かしさよ 今だけ温もりくれないか
≪蜃気楼 歌詞より抜粋≫
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過ぎ去ったあの頃は戻らないけれども、あの頃の純粋な気持ちと改めて向き合い、これからも前に進んでいく。
それが大事だと10-FEETは歌を奏でている。
10-FEETは、どんな時でも弱い者の味方で、弱っている時や元気が出ないときには、いつも1番欲しい掛け声を的確に掛け、いつだって手を差し伸べてくれる。
そんな純粋でまっすぐで、でもどこか不器用な10-FEETも言葉から力をもらい前に進めた人も多くいるはずだ。
そして、いつもと同じ様に10-FEETはこの曲を通して、いや歌詞を通して、道を示してくれている。
特に、この「蜃気楼」の歌詞は、10-FEETの根底にある“やさしさ”や“あたたかさ”を形にして届けてくれているようにさえ感じられる。
人は幼き頃の純粋な気持ちを大切にしなくちゃいけない。その上で、悲しみを乗り越えさらに成功を重ね前に進んでいく。
「蜃気楼」に力をもらった人のそばには、きっと10-FEETの存在があるはずだ。
TEXT みなみかわ