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大人気ボカロPの印象が覆る、名異色曲!?
ダークな歌詞と強烈なギターロックで鏡音リン・レンを使ったボカロ曲を作る事で有名なボカロP、Neru。しかし、2016年6月にその印象が覆される異作が投稿されました。
その名も『脱法ロック』。
はたして、どのような曲調でこれまでのNeruの印象を覆しにきたのか、楽曲に込められたNeruの新たな音楽の魅力をご紹介します!
Neru 7曲目のミリオン楽曲。コーラスはボカロ界で有名なあの人達が!
『脱法ロック』は2016年6月19日に公開された、鏡音レン歌唱のボカロ楽曲です。
ボカロP Neruの23作品目の投稿楽曲であり、7曲目のミリオン達成楽曲でもあります。再生回数はニコニコ動画で400万回を超え、YouTubeにおいては890万回超えと、900万回まで残すところ10万回となっています。
さらにコーラスを担当するのは『東京非リアフィルハーモニー』です。この団体は、ボカロ好きなら一度はその名を見かけた事があるはずの有名人で構成されたコーラス団体で、カゲロウデイズシリーズ制作者『じん(自然の敵P)』、人気バンド・ヒトリエのドラム『ゆーまお』など、ボカロ界の歴史に名を残して来た総勢7名の有名人達による豪華なコーラスとなっています。
Neruの楽曲では、初となるコーラスの使用。ですが実は、この楽曲そのものが今までのNeruとは異なる作風の楽曲だったりするのです。
そもそもNeruとは、一体どんな楽曲を制作しているボカロPなのでしょうか。
『脱法ロック』の魅力を語る前に、Neruの魅力について紹介します。
ギターロックな鏡音リン・レンの使い手、Neru
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2009年から活動を開始したボカロP、Neru。
「押入れで眠っていた鏡音リン・レンを使ってみました」と本人が発言した事から『押入れP』という別名もあり、他にも『z'5』という名前で楽曲のアレンジも行っていたりします。
作風は、ボーカロイド鏡音リン・レンを使用した「ボカロック」で、疾走感溢れるギターロックに、鏡音リン・レンの高音を容赦なく使い歌いあげられたダークな歌詞で多くのリスナーの心を突き刺し続けています。
2019年現在では13曲もの投稿楽曲がミリオンを達成。2018年には3枚目となるメジャーアルバムもリリースされており、活動開始から10年経った今も人気を誇示し続けるボカロPなのです!
一個人の心境から社会風刺へ。新たなNeruの境地
『脱法ロック』は、これまでのNeruの楽曲とは雰囲気が異なる作品です。
今までのNeruは、疾走感のあるギターがメインのロックに、人間の持つ心の闇を歌ったようなダークな歌詞の楽曲を多く制作してきましたが、この楽曲はそれらとはまた違った路線にシフトチェンジされているのです。
『脱法ロック』のメインはギターロック、その上お世辞にも明るいとは言えない歌詞であることは変わりありません。しかし、その中身はこれまでのNeruの楽曲達とはまったく違った観点で制作がされています。
特に歌詞はこれまでのものと大きく変わっています。
これまでは一個人の内面を歌ったようなダークでストレートな歌詞でしたが、『脱法ロック』ではそれが大きく一転。まるで社会風刺をするような言葉選びがされ、個人といった枠組みから、社会や世界といった広域にむけての歌詞が綴られているのです。
曲名につけられた『脱法』も、"法律に触れないような方法で禁じられてる事を行う"という意味を持つ単語です。「法律」という社会そのものに値する言葉に関わる単語をつけているところが、この楽曲が一個人の内面ではなく、社会そのものへ向けた楽曲であることが推測できるのではないでしょうか。
さらに『脱法ロック』の最大の特徴であるMV。このMVがまた、これまでのNeruの楽曲との差をさらに強調してきている内容となっているのです。
まるでチャンネルがくるくると変わるテレビを見せられているようなMVは、その情報過多な世界観にみているだけで目が回りそうです。実際、リスナー達からも「カオス過ぎる!」といった評価が口々にされています。
制作者である『りゅうせー』は、これまでにもNeruと組んでMV制作を行ってきた映像制作者です。元から独特な画風のMV制作がされていましたが、ここまで「カオス」としか言えないMVは『脱法ロック』が初めてです。
絵柄も今までのものとは全く違う風に描かれ、そのセンスの奇抜さにはNeruからも「りゅうせーさんの発想は凄い」と称賛されている程です。
そのりゅうせーいわく、実は今MVは一昔前に流行った「Flash」と呼ばれる動画作品のジャンルを見本にして制作したという裏話もあるのですが、そうとは言ってもあまりにも逸脱した内容のMVにはやはり、常識に囚われた者では思いつかないセンスを感じる他ありません。
それこそ、常識から『脱法』しなくては思いもつかない内容でしょう。
今までと観点を変えた歌詞に、今までの楽曲ではありえなかったMV。Neruの音楽が、今までの枠組みを超えて何か新しい領域に足を踏み入れようとしている。そんな予感がひしひしと伝わってくる変貌の一曲です!
止まらないNeruの進化。新曲、FUZI×Neru『0verf1ow』
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3rdアルバムのリリースに、z'5としての活動にと、近年のNeruはとても精力的な活動を行っているようです。
そのなかでこの夏、Neruに関わる新曲が公開されました。それがクリエイター『FUZI』と共に製作された楽曲『0verf1ow』です。
ストーリー制作からアニメーション制作までマルチに行う「オルタナティブクリエイター」のFUZIが制作した映像と音楽を組み合わせた楽曲で、プロジェクト『the Missing 8』に提供されました。Neruは作曲担当としてその制作に参加しています。
ボーカルと作詞には、歌い手の『ルシュカ』と『ぱなまん』が参加をしており、ボカロ界、歌い手界の有名なクリエイター達の手によって新たな物語の制作がされています。
メロディーはギターロックではなく、エロクトロニカルで電子的な音楽に仕上がっていますが、Neruいわく「物語を見せてもらったときに自分にはできないけど絶対こういうのがやりたいっていうイメージが鮮明に浮かんで、結果新しいことを滅茶苦茶やる羽目になって」とのことで、また新たなNeruの音楽を聴ける楽曲となっています。
未だ止まらないボカロP Neruの進化。現時点で、その極地にいるこの楽曲をぜひ聴いてみてください!
TEXT 勝哉エイミカ