静かにやってくる1年の終わり。
心地よい風に冬の匂いがしてくれば、1年の終盤戦の合図。
春には始まりを感じ、夏には暑さに必死に立ち向かって、秋はほっと一息できる季節。
冬の始まりは感じる冷たさにピシっと気が引き締まりますが、同時に1年の早さを痛感するものだ。
一体この季節になるまで何をしていたただろう、と。
スガシカオの珍しいナンバー『春夏秋冬』
▲春夏秋冬 / スガシカオ
スガシカオの『春夏秋冬』も、そんな風に四季と共に自分を思い返す楽曲だ。日本テレビ系報道番組「NEWS ZERO」のEDテーマでもあるが、シングルとして発売されることがなかった珍しいナンバーでもある。
しかし、後にベストアルバム『ALL SINGLES BEST』にスペシャルトラックとして収録され、アルバム発売の翌日には番組最後に生出演・生演奏が披露され素敵なエンディングを飾っている。
PVではブリキの船が、川を下りながら四季をめぐる。川沿いでは、生活する人々がいて楽曲と共にのんびりとした時間を過ごしている。クルージングを楽しむつもりで見てみてはどうだろう?
春夏秋冬
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春の空はたぶん 思ったよりもずっと青く広い
夏の思い出は 夕焼け色した あなたの笑顔
ぼくは夢を描いて 破りすてては描いて
今日の勇気と昨日のイタミを
同じだけ抱きしめたら
あなたの明日に ぼくができること
ひとつくらい みつかるかな…
≪春夏秋冬 歌詞より抜粋≫
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春夏秋冬1つずつ感じたことが出てくるこの楽曲。自分ではない“ぼく”視点で歌われる四季折々の景色は、同じ季節を体感しているのに新しく感じられるものだ。
秋にしても、ただ落ち葉が落ちてくるのではなく「さよならの歌をうたってる」。そう思うと、秋の風に吹かれて木々の声が聞こえてきそうな気がしてくる。
あなたと四季を歩く
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春の空はたぶん 思ったよりもずっと青く広い
夏の思い出は 夕焼け色した あなたの笑顔
ぼくは夢を描いて 破りすてては描いて
今日の勇気と昨日のイタミを
同じだけ抱きしめたら
あなたの明日に ぼくができること
ひとつくらい みつかるかな…
≪春夏秋冬 歌詞より抜粋≫
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そして、この楽曲の“ぼく”は1人で四季を歩んでいるわけではない。思い返せば、夏と冬には“あなた”という人物が登場し一緒に過ごしている。
この2つの季節に共通するのはどちらも極端に暑い、もしくは寒いということ。“あなた”がいなければ、ただ暑い寒いと言って終わっていたかもしれない季節ということだ。
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ねぇ 聞いていい? ぼくは今 うまくやれてますか?
≪春夏秋冬 歌詞より抜粋≫
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夏や冬のように一緒にいてくれる人がいたからこそ、わかることがある。1年を振り返ってみた時、何もできなかったと思っていても傍にいた人はそうは思わないかもしれない。
「ずっと見てたから、わかるよ」
聴いていると、そう言ってくれる大切なものを改めて思い返す楽曲でもあるのだ。
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明日へ向かう意味を探して
ぼくら立ちすくむけど
大切なもの 守るべきもの
やっと少しだけ わかったんだ
≪春夏秋冬 歌詞より抜粋≫
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同じ時は二度と来ない
春夏秋冬、歩んできた日々に同じ時はない。万華鏡のようにくるくる変わる日々を思い返そうとすると、目まぐるしい速さに何もできなかったように思うこともある。
それなら、短いスケールで考えたらどうだろう。
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あなたの明日に ぼくができること
≪春夏秋冬 歌詞より抜粋≫
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そんな風にきっと、ひとつくらい見つかるはずだ。
TEXT:空屋まひろ