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松田聖子が演じた冬の胸キュンストーリー「ハートのイアリング」

2020年にはデビュー40周年を迎えるスーパースター松田聖子。1984年、アイドルとしての絶頂期にリリースされた19枚目のシングル「ハートのイアリング」の歌詞から、「永遠のアイドル」として君臨し続ける松田聖子の魅力に迫ります。

松本隆が贈ったラストストーリー


松田聖子が22歳の時にリリースされたシングル『ハートのイアリング』は、長く松田聖子の楽曲の作詞を担当して来た松本隆が、その仕事に一区切りをつけた作品でした。
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Stay with me 雨が雪に
変わるわ ペイヴメント
人影のないカフェの窓 白く煙るの
≪ハートのイアリング 歌詞より抜粋≫
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窓ガラスの向こうに、雨が雪へと変わって行く景色が見える冬の日のカフェから、この曲の物語は始まります。

人もまばらなカフェで、道路に降り積もる雪を見つめながら「Stay with me」と心の中呟く主人公の姿。

向かいの席には誰かがいるけれど会話がないという、気まずい状況を連想させますね。

冒頭から切なさを感じる『ハートのイアリング』は、松田聖子というアイドルを見守って来た松本隆が、大人の女性へと変わり始めた彼女に贈った、最後のプレゼントのような作品だったのかもしれません。


ハートのイアリングに託された想い

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Stay with me 気にしてるの?
ハートのイアリング
他の誰かにもらったの 嘘のつぶやき
≪ハートのイアリング 歌詞より抜粋≫
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気まずい沈黙の中で、今日耳につけてきた「ハートのイアリング」を「他の誰かにもらったの」と、主人公は意味深な嘘をつきます。

この一節だけで、主人公が「ハートのイアリング」に託した、“彼を引き止めたい”と願う女心が伝わって来ますよね。

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優しく叱ってよ 嫉いても くれないの?
そんなに冷めてしまったの?
あの娘のうわさなど 信じたくないけど
本当だったら はっきりさせてね
≪ハートのイアリング 歌詞より抜粋≫
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佐野元春によるロックテイストのサウンドに乗せたこの曲は、実は別れ話のワンシーンを描いた物語。

しかも、彼には既に新しい彼女がいて、主人公が他の男性からハートのイアリングをもらったと聞いても妬いてすらくれません。

しかし、切羽詰まった主人公は「ハートのイアリング」に最後の望みを賭けたのでしょう。

ハートのイアリングという名のショー


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サヨナラと今言ったの?
遠すぎて聞きとれないわ
≪ハートのイアリング 歌詞より抜粋≫
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主人公の願いも虚しく、彼は「サヨナラ」と別れを切り出します。

男性は自分が浮気をしたうしろめたさから、声は蚊の鳴くように小さくなり、とにかく早くこの場を立ち去ろうとしたのではないでしょうか。

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優しく叱ってよ 素直じゃない私
素速く席を立たないで
背中を見送って そっと外したイアリング
≪ハートのイアリング 歌詞より抜粋≫
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足早に去って行く彼の後ろ姿を見送りながら、役割を果たせなかったイアリングをそっと外した主人公。

心のどこかでは彼を引き止める事は出来ないと解っていたのかもしれません。


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道に捨てれば 雪が かくすでしょう
春になる頃 あなたを忘れる
≪ハートのイアリング 歌詞より抜粋≫
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カフェからの帰り道、捨てたハートのイアリングの上に白い雪が降り積もって行くように、心の中から彼の姿は消えて行き、春が訪れる頃にはすっかり忘れているだろう。

そう思いながら夜空から舞う雪の中を歩く主人公の姿を描きつつ、物語は静かに幕を閉じます。


当時の歌番組でこの曲を歌っている松田聖子の動画を見ると、ズバ抜けた歌唱力と澄みきった歌声はもちろん、表現力の豊かさに視聴者は誰しも驚かされる事でしょう。

たったの4分間の中で、時に悪戯っぽく輝いたかと思えば、次の瞬間にはふと寂しげな表情を浮かべ、去りゆく彼の姿を追うように涙を潤ませる大きな瞳。

そのパフォーマンスは「歌っている」というより「演じている」と表現したほうが正しいかもしれません。

松本隆、佐野元春、松田聖子、3人のプロフェッショナルによって完成したこの曲は、『ハートのイアリング』という名の完璧なショーなのです。

ファンを楽しませるためには妥協を許さないそのプロ精神こそが、アイドル全盛期の中で松田聖子がひときわ輝き、「永遠のアイドル」として君臨する事となった理由ではないでしょうか。

TEXT 岡倉綾子

▷松田聖子 40周年記念スペシャルサイト ▷松田聖子オフィシャルH.P ▷ユニバーサル ミュージックH.P ▷松田聖子YouTubeチャンネル

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