今も変わらずに響くYUIの魅力
YUIが2007年に当時のオリコンミュージック週間ランキング4位を記録したシングル『Rolling star』に収録されている『Winter Hot Music』は、リリースから10年以上経った今でも聴かれ続けている “冬の名曲” だ。
また、この曲はYUIが2008年にリリースしたアルバム『MY SHORT STORIES』にも収録されている。
YUI自身はTBS系「CDTVスペシャル 年越しプレミアライブ 2012→2013」を最後にYUI名義の活動を休止しているが、2013年からはyuiとしてロックバンドFLOWER FLOWERのボーカルとして精力的に現在も音楽活動をしている。
YUI名義で活動していた当時から今に至るまで、自身の楽曲のほぼ全ての曲の作詞を担当しており、その歌詞もアーティストとしての彼女の大きな魅力の一つだろう。
テレビアニメ『BLEACH』のオープニングテーマとしても話題となった『Rolling star』が熱のこもった応援歌である一方で、同時に収録されている『Winter Hot Music』は、シンプルなコード進行にのせて日常の一コマを切り取ったような歌詞が特徴的な一曲だ。
“どこにでもある冬の一日” を等身大に描きながら、聴き終えた時には少しだけ前向きになれるような心温まるYUIの音楽を、その歌詞から紐解いていく。
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冬の早起きは どうしたって苦手なの
寒がりな時間 包まっていたいから
もう少し このままで・・・
≪Winter Hot Music 歌詞より抜粋≫
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冬の朝の葛藤はきっとどんな人でも共感する部分があるだろう。「ベッドの中の温もりをあと少しだけ…」なんて思いながら、もう一度布団を被り直す情景が鮮明に思い浮かぶ。
どこにでもある一幕が印象的な歌詞
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Music 手を伸ばして Music 枕のむこう
Music リモコンとって
Music ステレオ狙って スイッチ入れた AM 07:00
部屋いっぱい広がる リズムが ここちよくて
そろそろベッドから 出なくちゃってわかってるんだ でも
もう少し このままで・・・
≪Winter Hot Music 歌詞より抜粋≫
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冬の冷たい空気は、普段よりも色々な感覚を鋭くさせる。二度寝を誘い込む微睡みと冬の澄んだ空気、というアンバランスな両者が心地よく混ざり合って『Winter Hot Music』を形作っている。
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Music 風のシュプール Music 描くみたいに
Music 自由になって
Music 叶えてくれる 幸せな AM 07:05
≪Winter Hot Music 歌詞より抜粋≫
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二度寝してしまいそうな心地よさから徐々に覚醒していく。冷たくて澄んだ空気が、流れてくる音楽さえもクリーンな音色に変えてしまうだろう。
そんな多幸感ある感情に包まれる穏やかな朝の一幕が想像できる。
等身大の葛藤に共感できる冬の名曲
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見えない魔法に とりつかれても
乗り越えてゆけるよ だいじょうぶ
≪Winter Hot Music 歌詞より抜粋≫
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冬の夜は、人を不安定にさせる。冷たい風と、もの寂しさを煽る雪が不安や孤独を感じさせることもあるだろう。
このフレーズは抗えない二度寝への誘惑を描いているのと同時に、冬という季節が持っているいたずらな「見えない魔法」を表現しているのだろう。
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Music 落ち込んでた Music 昨日を忘れ
Music 耳を澄ませば Music 世界が変わった
≪Winter Hot Music 歌詞より抜粋≫
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昨日の夜に不安に思っていたことや思い悩んでいたことが、冬の澄んだ空気と音楽で浄化されていく。
不安や悩みが解決したわけではないのに、今日は昨日より前向きに生きていける気がする。
根拠はないけれど、そんなふうにポジティブな気持ちにさせてくれる朝も、冬の「見えない魔法」なのかもしれない。
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Music だけど起きなくちゃ Music 2度寝しちゃって
Music ちょっとあわてた
Music カーテン開けて 白い雪 AM 08:00
≪Winter Hot Music 歌詞より抜粋≫
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二度寝してしまったことさえも愛おしい。目を覚ますために開いたカーテンの向こう側には、不安も悩みもすべて白に返してしまうような景色が広がっている。
いつもの景色にわずかに雪が被るだけで世界は違って見えるだろう。
どこにでもある冬の朝のワンシーンが確かに心を暖かくさせる。
どれだけ月日が経って時代が変わっても『Winter Hot Music』に描かれている情景は変わらず誰かの凍えた心を暖めるだろう。
いつまでも色褪せることのないこの曲は、何にも変え難い “冬の名曲” だ。
TEXT DĀ