ひたむきに咲き誇るりんどう
2ndアルバム『COMINATCHA!!』のリリースに先がけ公開された『りんどう』のMVはKENTA(Vo/B)が自然の中に独り立ち歌う姿が印象的だった。
疾走感溢れるナンバーを笑顔いっぱいに演奏し「元気になれるバンド」として人気のWANIMAとは、全く違う一面がそこにはあった。
公式ブログに「これまでもこれからも歌い繋いで生きたい歌です。」と決意を記すように『りんどう』にはWANIMAの魂が込められているのだ。
この記事ではWANIMAが『りんどう』の詞で伝えたかったメッセージを考察したい。
時間はいつも流れていくけれど
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流れる時の早さに
身体を委ね 眺めてる
代わりの無い物語
引き返す事も出来ずに
込み上げる熱い想いも
胸に仕舞う凍り付いた夜も
指をくわえ 繋ぎ合わせ
過ぎるのを待っていた
≪りんどう 歌詞より抜粋≫
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曲の冒頭は日常=人生をりんどうの一生に重ね合わせることから始まっている。
良いことも悪いこともあるけれど時間は常に流れている。お構いなしに流れ続ける時間の流れに身を委ねて咲くりんどう。
りんどうは太陽の当たらない時には花を閉じ、晴れた日にだけ太陽に向かって花を咲かせる。
生きていると辛いことがたくさんあり、いろんなニュースが舞い込んでくるけれど、太陽が当たるまで待つしかない。
弱くてもいいんだ
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底知れない深い谷で
ぼんやり光ってる
祈りを削り刻んで
一つだけ... あともう少しだけ
弱いままで強くなれ
≪りんどう 歌詞より抜粋≫
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底しれない深い谷には太陽が届かない場所が多くある。暗い谷底にぼんやりと光が差す。
それは「毎日が絶望に満ちていてもわずかな希望を見つけ出す」ということではないだろうか。
野山のあちこちで光を探しだし、一本ずつひたむきに咲くりんどうは、傷つきながらも歩みを止めない人たちと重ね合わされているように思う。
そして、サビの前には「一本一本は弱いかもしれないけれど弱くてもいい。僅かな光を浴びて咲いてしまえばいいんだ」というメッセージが送られる。
祈りを込めて
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この想いと引き換えに
目の前の扉をくぐって
生きて 生きて 生き抜いてやれ
汚れたのはどっち?見上げた星空
花は咲く 嘘のように
風に揺られ雨に打たれて
何処にいても枯れないように
願い歌う 祈りの詩
≪りんどう 歌詞より抜粋≫
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「この思い」とは悲しみであったり、苦しみであったり、あるいはそれらを乗り越えた上での未来への決意かもしれない。
「この思い」を胸に刻んだ上で新しい扉を開き、前に進んで行く。
どんな未来が待ち受けていても光を見つけて咲くことを止めない。たとえ弱くとも、生き抜いてやると強い意思を表明する。
それぞれが雨風に耐える日々を過ごそうとも枯れずに咲き誇れるように。
独りじゃないんだ
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その想いと引き換えに
目の前の扉をくぐって
生きて 生きて 生き抜いてやれ
汚れたのはどっち?見上げた青空
空を飛ぶ鳥に乗って
海を目指す魚になって
ここにいると呼ぶ声がする
約束はしてないけど
またいつの日か 歌いなぞる 命の詩
≪りんどう 歌詞より抜粋≫
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人は独りでは生きていけない。それでも独りで咲かなければいけない。ふと周りを見渡せばそこには誰もいないかもしれない。
だが、目を閉じると同じような境遇の人がどこかで同じように咲いている。
「ここにいる」と声が聞こえる。「新しい未来へ立ち向かっているのは君だけじゃないんだ。独りじゃないんだ。」そんなメッセージが心に強く響く。
たとえ寂しくても
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トンネル抜けて海を渡って
曲がりくねった細い道をまっすぐ
花が咲く頃 手紙を書くよ
心細い時は喜び数えて
≪りんどう 歌詞より抜粋≫
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後半では温かな気持ちが綴られる。長い人生には大切な人に会えない日があり、寂しくなる時もあるだろう。
そんな時は楽しかった日やこの先の喜びを数えながら進んで行けばいい。
『りんどう』に込められた思いは、実はWANIMAが『ともに』や『アゲイン』で発信してきた「辛くても自分らしく進んでいけ」というメッセージで繋がっている。
WANIMAの楽曲は想いをストレートに心へ届けてくれる生命のエネルギーが溢れているのだ。
TEXT HIROSHI UENAKA