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藤井フミヤが夜空に描く運命とは? 「Another Orion」

1983年にチェッカーズとしてデビューして以来、音楽だけでなく俳優や画家としても活躍し続ける藤井フミヤ。1996年に自らが主演を務めたドラマ『硝子のかけらたち』の主題歌である『Another Orion』の歌詞から、彼の詩人としての才能に迫ります。

藤井フミヤの豊かな感性


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夜空が 夕焼けを
包む
オリオンを見つけたよ
ごらん
≪Another Orion 歌詞より抜粋≫
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夕焼け空に夜の帳(とばり)が降りてきて、空がオレンジ色から濃紺への幻想的なグラデーションに染まる美しい情景からこの曲は始まります。

少しずつ闇が深まっていく空に星が瞬き出し、その中で一際明るく輝く三つの星。

冬の夜空に現れたオリオン座を、実際に見た経験がある方も多いのではないでしょうか。

まるで絵を描くように、移ろいゆく自然現象の一瞬を捉えたこの歌詞は藤井フミヤの豊かな感性を象徴しているかのようです。

オリオン座が表すものとは?


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さあ 立ち上がり
繋いだ手を離そう
ここからは ひとりでも
帰れるだろう
≪Another Orion 歌詞より抜粋≫
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「ここからは ひとりでも帰れるだろう」という歌詞に、夕日を眺めていたこの場所が二人にとって特別な場所を意味しているような気がします。

それはきっと、二人が一緒に過ごした帰り道、名残惜しくさよならをした「いつもの場所」。

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夜風が ふたりを
寄せ合う
オリオンが消えてゆく
雲へ
≪Another Orion 歌詞より抜粋≫
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いつもさよならをする場所で、今日は夜が来るまで一緒にいようと思った理由は、この日は二人が一緒に過ごせる最後の日だったからでしょう。

夕闇に現れたオリオンは、二人に別れの時間の訪れを知らせ、そして一緒に過ごせる時間の終わりを告げるように、流れる雲にその輝きを隠したのではないでしょうか。

オリオン座に託した願い


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君と 君の涙が
教えてくれた
人をこんなに
愛せることを
≪Another Orion 歌詞より抜粋≫
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誰かを「愛しい」と感じるのはどんな時でしょうね。

それは、その人が自分のために何かをしてくれた時ではないでしょうか。自分のために涙を流してくれた時もそうでしょう。

そしてその時「その人を手放してはいけない」と気がつくのだと思います。

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運命ならば
巡り会えるさ
あの星に願おう
once more again
≪Another Orion 歌詞より抜粋≫
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手放してはいけないと思える人と巡り会える事、それは「運命」なのかも知れません。

恋人同士が別れる時、よく「縁がなかった」と言いますが「運命の人」とは一度縁が切れてもいつかまた出会えると言われています。

夜空で他の星を探す目印にもなっているオリオン座に願いを託せば、きっと運命の人のもとへと導いてくれる、そんな気がしますよね。

信じる心が導く運命


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別れじゃなくて
これが出会いさ
≪Another Orion 歌詞より抜粋≫
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「別れじゃなくて これが出会いさ」とは「別れは再会へ向けてのスタートだ」という意味ではないでしょうか。

そう思えるのは、二人が運命の糸で固く結ばれていると信じているからなのでしょう。

運命には逆らえないと言う人もいますが、運命とは自分の力で切り拓くものだとも言われていますよね。

それは、たとえ時間がかかっても信じていれば、運命は自分の望む方向へと変わっていくという意味なのだと思います。

「Another Orion」が名曲と言われる理由


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たとえ どんなに
離れていても
あの星を見上げてる
いつでも
≪Another Orion 歌詞より抜粋≫
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二人が別れる理由を明確にはしていないこの曲は、恋人たちだけでなく、夫婦や親子、友人など様々な関係と重ね合わせる事が出来ますよね。

たとえそれが死による別れであったとしても、いつか自分も星になった時に広い夜空のどこかできっと巡り会えるだろう。

聴く人の想像力をどこまでも膨らませてくれるこの曲は、藤井フミヤのヒット曲の中でも彼の作詞家としての溢れる才能を感じさせてくれる作品ではないでしょうか。

また、ダンスミュージックからバラードまで幅広く表現する藤井フミヤの歌唱力が胸に迫る作品でもあります。

それが、初登場でオリコンランキング1位を獲得した『TRUE LOVE』と並び『Another Orion』がいつまでも人々の心の1ページに残る名曲となった理由かも知れません。


TEXT 岡倉綾子

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