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全ての“ぼくら”へ贈る新しい“7日間戦争
映画「ぼくらの7日間戦争」は、30年以上前に角川文庫より発売された宗田理原作のベストセラー小説です。
1988年には映画化され、映画初出演の宮沢りえが日本アカデミー賞新人賞を受賞したことでも話題となりました。
その令和版アニメーションが、2019年11月より公開された劇場版アニメ『ぼくらの7日間戦争』です。
88分間という上映時間は決して長いものではありませんが、呼吸を忘れるほどの密な7日間が描かれています。
昭和という時代から、変わったものと変わらないものを描く宗田ワールド。
「解放区より愛をこめて」この言葉に胸を打たれたアニメ『ドリフェス!』『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』の村野佑太監督ならではの令和の自由を問う作品となっています。
物語のあらすじを紹介!
いつもひとりで歴史本ばかり読み漁り「誰も自分のことなんて気にしていない」と感じている鈴原守。そんな守は、隣に住む幼馴染の千代野綾にずっと片思いをしているのです。
しかしある日、守は妹から綾が一週間後に引っ越すことを教えられます。
しかも引っ越すのは、守が密かにプレゼントを準備していた彼女の誕生日の直前だったのです。
「せめて、17歳の誕生日は、この街で迎えたかったな」そんな彼女の行き場のない本音を聞き、守は思い切って「逃げましょう・・・・・・っ!」と思いを告げます。
守は駆け落ちのつもりで提案したのですが、綾は「みんなで家出する」と勘違い。
綾の親友・香織をはじめ、クラス中心的存在の壮馬、東京に憧れるいまどき女子であり博人の幼馴染の紗希、将来は弁護士になるクールな博人までもが加わり、総勢7名のメンバーが集まるのです。
古い石炭工場を秘密基地として、誕生日までの7日間大人から隠れるだけのバースデー・キャンプ。
それは今を生きる彼ら彼女たちの精一杯の反抗でした。
逃避行1日目、彼らの秘密基地となった炭鉱で、強制送還から逃がれてきたタイ人の子どもと出会い、ささやかな逃避行が社会問題へと発展し、はぐれた家族を探すことに。
守は歴史マニアが集うチャットのメンバーにタイ人の家族の捜索を依頼し、2日目の朝、今度は武装した入国管理局の職員が突入してくるのですが・・・。
戦うべきは大人だけだった実写版
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原作は「ぼくら」シリーズ累計発行部数2,000万部を突破した大ヒットセラー。
TM NETWORKによる主題歌『SEVEN DAYS WAR』のセンセーショナルなメロディーは、耳に残る名曲です。
この映画のために書き下ろされただけあって、時代が変わっても「自分の場所は自分で見つける」という普遍的なテーマが根底にあります。
「ブラック校則」「体罰」といった現代では考えられない制約がある中学校で、自由を求めて立ち上がった生徒と、校則のもとに生徒たちを制圧しようとする教師との戦いを描いた作品です。
劇場アニメ『ぼくらの7日間戦争』では村野監督が昭和と違うところを再現するために、自らインタビューを行い、リアルな子どもたちの声を聞くことを惜しみませんでした。
「何不自由なくすごす為のツールが手元にある。興味があるのは自分とその人間関係ばかりで、そもそも大人にそこまで関心がない」と語っており、現代の子どもも大人にも言えそうなことを深くテーマにしていますね。
敵は見える人間でなく、SNSやアカウントごとに異なる“自分自身”であることも描かれています。
「バズる」「晒す」という言葉が多用されているところにも、注目して見ると面白いですよ。
愛おしい感情が耳から心へと溢れ出ていく主題歌「決戦前夜」
主題歌アーティストは、新進気鋭のシンガーソングライター『Sano ibuki』。
2015年、上京を機に弾き語りでのライブ活動を開始しました。
自主制作音源『魔法』がTOWER RECORDS新宿店バイヤーの耳に留まり、2017年末に同店限定シングルとして急遽CD化。期間限定で販売されました。
Sano ibukiの優しく力強い声と、愛しさに溢れているのにどこか荒廃をつくろって見える曲調が、大人への成長の中で揺れる若者の脆さと美しさに溢れています。
MVでもSano ibuki自身が海の中に入水している姿が、死に向かうようにも映り、扉の前に立つ姿は、未来へ向かう姿ようにも見え美しいです。
『おまじない』『スピリット』も同時主題歌として、本作品を彩ってくれます。
現代のサヴァイブ・アニメーション
実際の中学生にアンケートを取ったことでも話題になりましたが、劇場アニメ『ぼくらの7日間戦争』は現代の若者に寄り添った作品になっており、非常に描写がリアルです。大人と子どもの定義を考えさせられたり、LGBTやいじめやSNSなど、多くの現代社会における悩みにも深く迫っています。
アニメ好きを公言してきた北村匠海や、実写版で学級委員の中山ひとみを演じた宮沢りえが、どのように出演するかをぜひ劇場で堪能してみてくださいね。
TEXT 棗キョーコ
2017年、本格的なライブ活動を開始。 ⾃主制作⾳源「魔法」がTOWER RECORDS 新宿店バイヤーの⽿に留まり、同年12 ⽉に同店限定シングルとして急遽CD 化、期間限定販売 (現在は販売終了)。 2018年7月4日、初の全国流通盤となる1st mini album 『EMBLEM』を発売。 構想約2年かけて、Sanoが紡ぎ···