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くるり『ふたつの世界』で描かれる愛の境界

MVのなかでLINEのふきだしに次々と現れてくるセリフ。「きみがきらい」「でも愛してる」「どうしようもない程に」。くるり『ふたつの世界』の冒頭の歌詞である。

もどかしい気持ちが伝わってくる


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君がきらい でも 愛してる
どうしようもない程に
≪ふたつの世界 歌詞より抜粋≫
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MVのなかでLINEのふきだしに次々と現れてくるセリフ。くるり『ふたつの世界』の冒頭の歌詞である。

きらい、と言ってはみても、すぐ後にどうしようもなく好きな気持ちが溢れてくる。

もう、とりかえしがつかないくらい、相手のことを好きになってしまっているのだろう。フレーズから、もどかしい気持ちがよく伝わってくる。

想いが重ならない歌詞

人はそれぞれに、別々の「世界」を持っている。想いが通じて一緒になることができれば、ふたりの世界は「交わる」。

けれど、もしそうならなかった場合は、ふたりは別々の世界を、「世界」は「人生」という言葉で言い換えてもいいかもしれないが、生きることになる。

ふたつの世界


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交わらない ふたつの世界
輪廻の輪の向こう
≪ふたつの世界 歌詞より抜粋≫
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「相手に想いを告げていない現実」、その切ない状態をこの歌詞は伝えている。

そして、この曲はアニメ「境界のRINNE」のエンディングテーマとなっている。

曲の制作時、くるりは、メンバー全員で原作をかなり読みこんだという。主人公とヒロインが、成仏できずにさまよう霊たちを「輪廻の輪」へと送るというストーリー。お互いに気になるのに進展しないという2人の関係を曲にしたそうだ。

「生まれ変わっても一緒にいよう」、なんていうセリフを言ったり、あるいは、初めて会ったのに、この人どこか懐かしい感じがするな、と思ったりするのは、よくあることだ。

恋愛をする者同士は、どこか魂の深いところで関わっている。そういう前世での約束事のような、そんな不思議な感覚を、くるり風に、少し切ないような、甘酸っぱいような世界観の歌詞にしている。

運命を決めるのは自分の行動


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もつれた赤い糸ほどいても 変わらない世界
例え遠く離れてても 胸の中でずっと
忘れないで 生まれ変わる時が来ても
心がちょっと近づいても
≪ふたつの世界 歌詞より抜粋≫
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生まれ変わる時がきても、忘れないでという切ない願い。

たとえ相手と遠く離れてしまったとしても、胸の中でずっと想っている。相手を好きだという想いは、儚くも強いものだ。

もつれた赤い糸をほどいても変わらないぐらい、どんな運命でも、相手を思う気持ちは変わらない。この部分は、そんなふたりの絆の強さを歌っている。

運命を左右するのは、自分の行動である。お互いに「すき」と伝えたとき、ふたつの世界が交わる。「きらい」と「すき」が境界で交わるとき、お互いがかけがえのない存在になっていくのだろう。

●ふたつの世界 / くるり


TEXT:緑の瞳

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