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サカナクションが描く、新しいマイノリティ像「モス」

深田恭子主演、2019年7月放送のドラマ『ルパンの娘』の主題歌に選ばれたサカナクションの『モス』。特徴的なサウンドと共に独特な歌詞も注目を集めています。今回はそんな『モス』の歌詞の魅力を徹底解剖し解説していきましょう。

現代人の悩みを突く、サカナクションらしいテーマ

▲サカナクション / モス
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君のこと
知らなくていいや
僕はまだ
探してたいんだ
≪モス 歌詞より抜粋≫
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こんな一節で始まるのが、2019年に発売したアルバム『824.194』にも収録され、話題を呼んだサカナクションの『モス』。

ヒーロー特撮の主題歌のような昭和のテイストを大胆に取り入れたサウンドが話題を呼びました。

また、音楽面だけでなく、ボーカルの山口一郎が手掛けた歌詞も楽曲の人気を支えています。

『モス』というタイトルの通り、歌詞全体が「蛾」をテーマとなっているのです。

特徴的なMVでは大きな白いマユが映されており、「僕」がマユの状態で羽化を待っている状態を表現しています。

内省的なテーマを表現した楽曲を多く発表しているサカナクション。

この歌詞でも、まだ人に会わずにひとりでいたい主人公のネガティブな言葉が連ねられています。

夜遅く起きていると、どうしてもひとりの時間に浸ってしまうもの。たくさん考え事をしてネガティブな思考に陥ってしまう人も多いのではないでしょうか。

そんな時に辛い現実を打ち破る力を与えてくれるのがサカナクションの『モス』なのです。

山口一郎が描く「マイノリティ」像


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繭割って蛾になる マイノリティ
揺れてる心ずっと 三つ目の眼
飛び交う蛾になる マイノリティ
雨に打たれ羽が折りたたまれても
≪モス 歌詞より抜粋≫
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爆発力を持ったメロディと共に歌われるのが、こちらのサビの一節。

「僕」はとうとうマユを割って外に飛び出します。

マユから出て蛾になった主人公を、少数派を意味する「マイノリティ」と潔く表現して見せる様が非常に鮮烈ですね。

しかし、反対に多数派を意味する「マジョリティ」は誰なのでしょうか。

ネガティブな感情に浸ってひとりの世界にこもり、他者と上手く交われない主人公が「マイノリティ」。

反対に、毎日社会に出て上手く立ち回り日々幸せを感じているような人々が「マジョリティ」として描かれているように思えます。

しかし実際は、自分だけの悩みをなかなか人に打ち明けることはできません。

街を行く人たちも家に帰れば主人公と同じように、ネガティブな気持ちを抱えてしまうこともあるかもしれません。

誰しもがひとりになれば「マイノリティ」なのかもしれない。それゆえにこの楽曲の歌詞は、多くの人に刺さるのかもしれませんね。

大空に羽ばたく勇気を与えてくれる存在


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連れてく蛾になる マイノリティ
君はまた僕を思い出せるなら
≪モス 歌詞より抜粋≫
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楽曲を締めくくる歌詞はこんな一節。

一曲を通して大切な存在として描かれている「君」。最後に主人公が蛾として大空に羽ばたく理由となったのも「君」の存在でした。

孤独を感じていた主人公。いわゆる承認欲求が満たされない状態が続くのはとても辛いものです。

しかしそんな状態であった「僕」に羽ばたく勇気をくれたのが「君」。

自分に生きる意味を与えてくれる存在こそ、主人公が探していたものだったのかもしれませんね。

毎日を生きる自分を肯定してくれる存在はとても大切なもの。一人で悩んでしまいがちな現代人のあなたに元気をくれる、オススメの一曲です。


TEXT ヨギ イチロウ

2005年に活動を開始し、2007年にメジャーデビュー。 日本の文学性を巧みに内包させる歌詞やフォーキーなメロディ、ロックバンドフォーマットからクラブミュージックアプローチまでこなす変容性。 様々な表現方法を持つ5人組のバンド。全国ツアーは常にチケットソールドアウト、出演するほとん···

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