大人のラブソング
2019年、メンバー4人のうち3人が一気に結婚した『Official髭男dism』。
そんな彼らが同年にリリースしたアルバムには、素敵なラブソングが収録されています。
それが、今回紹介する『最後の恋煩い』です。
一般的なラブソングには、よく「永遠」や「ずっと」という言葉が使われていますよね。
でも、ヒゲダンは一味違います。
分かりやすいストレートな言葉を使わずに、でも分かりやすく恋のワクワクを歌っています。
そのせいか大人向けのラブソングに感じるんですよね。
早速歌詞をみてみましょう。
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最後の恋煩いを始めよう
何度も「これが最後」って言いあおう
≪最後の恋煩い 歌詞より抜粋≫
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タイトルにもなっている「最後の恋煩い」という歌詞ですが、まさにこれが鍵。
「最後」というのは言い換えれば「次がない」ということ。
”最後”という状態がずっと続くということですから、言わば「永遠」です。
そして「恋煩い」とは、恋の病のこと。
相手のことが好きで好きでたまらなくて、悶々としている状態のことですよね。
つまり、相手を思って胸を焦がす時間が永遠に続く・・・。
そんな状態を歌った楽曲なのです。
「恋」ではなく、「恋煩い」というのもまたポイント。
「恋」だとフワッとした表現ですが、「煩い」がつくことで相手を思い続けてる様子が鮮明になってきます。
永遠に燃え上がり続ける恋を歌った続きの歌詞もチェックしてみましょう。
向き合うことの大切さ
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目を閉じたって 見落とせないだろう
日々の呼吸が乱れだす瞬間
まあいっかなんて放っておいたら
真っ逆さまジ・エンド
それだけは回避しなくちゃなあ
≪最後の恋煩い 歌詞より抜粋≫
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付き合っていれば様々なことがあるものです。
いいことなら一緒に喜べますが、相手との間に不穏な空気が流れた時は少し距離を置きたくなったりしますよね。
でも、それを繰り返してしまったらいつしか心は離れてしまいます。
そうならないために大切なのは、悪いこともしっかりと受け止めること。
続きの歌詞では相手と向き合うことの大切さが歌われています。
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特大の罵声も 受け取るからいっそ
いい人なんてやめちゃえよ
生前贈与の冊子の表紙を飾るような年頃になっても
全てを語らいあう2人でいたい
≪最後の恋煩い 歌詞より抜粋≫
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罵声でさえ受け止めるという姿勢にキュンとしますよね。
喧嘩するととんでもないことまで言っちゃうことってありますから…。
「いい人なんてやめちゃえよ」というのは、建前は捨てて本音でぶつかり合おうという意味だと思われます。
どんなに年を重ねても、全て包み隠さずに話し合える関係なんて素敵ですよね。
それが「最後の恋煩い」を続ける秘訣なのではないでしょうか。
素のままで永遠に
サビの部分では、二人の関係や未来について歌われています。
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最後の恋煩いを始めよう
「うんざりだよ これだからもう!」 って言いながらも笑みがこぼれる
≪最後の恋煩い 歌詞より抜粋≫
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相手に対していい意味で気を使わない関係であることが伺えますね。
建前で接していたら「うんざりだよ!」なんてなかなか言えないものです。
ましてやそんなセリフの後に笑い合うのなんて不可能に等しいこと。
つまり、先ほども歌われていたように「いい人」でいることはやめ、素のままでいることが「最後の恋煩い」には大切なようです。
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何度も「これが最後」って言い合おう
最後の意味がすり減ってゆくこと
幸せの意味みたいに 思えた 僕ら Uh
≪最後の恋煩い 歌詞より抜粋≫
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サビの後半はやや意味深な歌詞が印象的。
「これが最後」と言い合っているというところから、お互い「最後」が意味するものを理解しているのではないかと思います。
喧嘩するたび、「もー、これが最後の恋なんだからね!」なんておどけあったりしているのかもしれませんね。
そしてそんな風に「最後」という言葉を何度も繰り返すことによって言葉の意味が薄れてしまうように感じる一方、繰り返し言い合える関係に「幸せ」も感じているようです。
素敵な関係ですね。
この楽曲は後半部分でも直接的な表現はあまり使われていません。
でも、不思議と何を意味するか分かるのでグッと引き込まれます。
ぜひ最後まで聞いてみてくださいね!
TEXT ゆとりーな
Official髭男dism (オフィシャルヒゲダンディズム) 山陰発4人組ピアノPOPバンド。2012年6月7日結成、島根大学と松江高専の卒業生で結成されており、愛称は《ヒゲダン》。このバンド名には髭の似合う歳になっても、誰もがワクワクするような音楽をこのメンバーでずっと続けて行きたいという意思が···