嵐という新時代のアイドル
21世紀が間近に迫った1999年に嵐は結成され、デビューシングルの『A・RA・SHI』がリリースされました。かっこいいヒップホップダンスとラップでスタートする『A・RA・SHI』。今ではジャニーズの曲にラップは欠かせないものとなっていますが、その先駆けが嵐だと言われています。
ジャニーズの歴史を振り返れば、嵐以前にもV6やSMAPがラップを取り入れた曲を歌っています。
また、シブガキ隊の『スシ食いネェ!』もラップと言えばラップだったかも知れません。
なのになぜ嵐がジャニーズにラップを定着させたと言われているのでしょうか。
それは、櫻井翔が嵐の中で「ラップ担当」というポジションを確立したからではないでしょうか。
櫻井翔はラップを歌うだけでなく本格的なラップ詞を手がけていて、KAT-TUNら後輩にも大きな影響を与えたそうです。
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(RAP)やな事あってもどっかでカッコつける
(RAP)やるだけやるけどいいでしょ?
(RAP)夢だけ持ったっていいでしょ?
≪A・RA・SHI 歌詞より抜粋≫
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今このラップパートを聴くと、その後、嵐がアイドルの世界にラップを定着させる事を予告しているような気がします。
それは、カッコつけてるように見えて実は夢を持っている、頭の中はクールで心の中はアツい「嵐」という新時代のアイドルの登場でした。
『A・RA・SHI』は永遠の応援ソング
『A・RA・SHI』は「バレーボールワールドカップ1999」のテーマソングとして起用されました。
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You are my SOUL! SOUL! いつもすぐそばにある
ゆずれないよ 誰もじゃまできない
体中に風を集めて 巻きおこせ
A・RA・SHI
A・RA・SHI for dream
≪A・RA・SHI 歌詞より抜粋≫
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スポーツの応援ソングらしく、夢に向かって突き進む気持ちを表現したこの歌詞には、当時多くの若者が共感したでしょう。
それから21年、嵐とともに大人になった人々が今この曲を聴くと、次の歌詞に胸が熱くなるかもしれません。
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(RAP)Everyday! Everybody!
(RAP)まだまだ世界は終わらない
(RAP)いまから始めてみればいいじゃない
(RAP)Let's get on! Let's get on! Yea!
≪A・RA・SHI 歌詞より抜粋≫
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「いまから始めてみればいいじゃない」
これほど大人を勇気づけてくれる言葉があるでしょうか。
時代や年齢を超えて聴く人の心を元気付けてくれる『A・RA・SHI』。
この曲には、この後、国民的アイドルとなる嵐というグループが持つ無限の可能性を感じずにはいられません。
『A・RA・SHI』をリプロダクションして昨年配信された『A-RA-SHI:Reborn』に時代を感じさせないかっこよさがある事も、この曲の不変の魅力を表しているように思えます。
『A・RA・SHI』が予言した嵐の未来
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(RAP)それでも時代を極める そうさボクらはSuper Boy!
≪A・RA・SHI 歌詞より抜粋≫
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「嵐」というグループ名には、「頂点に立つ」という意味が込められているそうです。
その名前の通り、デビューから国民的アイドルへの階段を一気に駆け上がった嵐。
彼らが広く愛される理由は、メンバー一人一人が高い人気を誇るジャニーズ史上稀に見るハイクオリティなグループだからでしょう。
そんな彼らは少年の頃から計り知れない潜在能力を秘めたスーパーボーイだったはずです。
嵐のメンバーにこの5人を選んだジャニーさんの先見の明がすごいですよね。
そして、この歌詞の通り5人のスーパーボーイズは嵐という一つの時代を極めました。
ヒップホップ調のラップで始まり、アイドルらしいダンスミュージックから激しいギターサウンドへと変化した後、美しいコーラスで終わる『A・RA・SHI』。
嵐の魅力が全て詰まったこの曲は、嵐というグループの輝かしいその後を描いた未来予想図だったのではないでしょうか。
TEXT 岡倉綾子