中毒性のある曲調が人気を集めた「ローリンガール」
『ローリンガール』は2010年2月にニコニコ動画で公開された初音ミクの楽曲で、制作・投稿は現実逃避PことwowakaP(ヲワカ)が行っています。
wowakaP通算9作目となる本楽曲は、投稿から半年も経たないうちに100万再生を達成するほどの人気を集めました。
投稿者コメントに「ひさしぶり?のバンドサウンドです」と書かれてある通り、楽曲は速いテンポとバンドらしい演奏が中心となっています。
曲調には中毒性があり、前作の『裏表ラバーズ』や、後の『ワールズエンド・ダンスホール』などとも似たフレーズが使われていますよ。
『ローリンガール』は2011年5月に発売された、wowakaPのフルアルバム『アンハッピーリフレイン』に収録されています。
ほかにも、コンピレーションアルバム『EXIT TUNES PRESENTS Vocalogenesis feat. 初音ミク』『EXIT TUNES PRESENTS Supernova 2』にも収録されています。
歌ってみたなどのアレンジも豊富!
『ローリンガール』は、その中毒性から多くのアレンジ曲や歌ってみたが投稿されています。ニコニコ動画では、男性歌い手の『ぐるたみん』による高音アレンジが人気を集めました。
ぐるたみんは2011年にメジャーデビューを果たして以来、2020年現在もニコニコ動画で活動を続けるベテラン投稿者です。
また、『ローリンガール』は、現在メジャーデビューを果たしたニコニコ動画出身の歌い手、ナノ(nano)が人気を集めるきっかけとなった楽曲でもあります。
ナノによって英語版にアレンジされた『ローリンガール』の歌ってみた動画は、Youtubeで100万再生を達成しています。
他にも、パラパラ漫画で描かれたPVが人気を集めたことで、何かが転がる様子を手描きで書いた動画や、そのトレス動画が流行しました。
初音ミクなどのボーカロイドのキャラクターが転がる様子を、コミカルな動きで可愛らしく描いた動画は、70万再生を突破しています。
ボーカロイド界に偉大な功績を遺した「wowakaP」とは?
『ローリンガール』を作曲したwowakaPは『裏表ラバーズ』や『ワールズエンド・ダンスホール』など、数多くのミリオン動画を生み出した、ボカロPの中でも著名な作曲者です。
ニコニコ動画外での活動
wowakaPは、2009年の活動開始から精力的に作曲活動に取り組み、2011年3月、アゴアニキや、とくPなどの人気ボーカロイドプロデューサーらと共に、音楽レーベル『BALLOOM(バルーム)』を設立しました。『BALLOOM』による1枚目のアルバム『アンハッピーリフレイン』では、オリコンデイリー初登場3位という成績を残しています。
また、2011年末には4人組バンド『ヒトリエ』を結成、ギターボーカルとしてメジャーデビューしました。
2012年以降は、『ヒトリエ』での活動が中心となり、同年冬のコミックマーケットでは、オリジナル楽曲を収録したCDを頒布、2013年4月にはワンマンライブを行いました。
その他にも、アニメ『魔法少女まどか☆マギカ』Blu-ray&DVD第5巻、第9話のオリジナルED『and I'm home』の作詞作曲や、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』Blu-ray&DVD第4巻初回特典である『secret base ~君がくれたもの~』のアレンジなども行っています。
2019年4月、「ヒトリエ」のホームページに訃報が掲載される
めざましい活躍をみせたwowakaPでしたが、去る2019年4月、急性心不全の為に亡くなったことが報告されました。
ハチPやdorikoPなど、有名ボーカロイドPたちと共に業界を盛り上げていた存在だけに、その才能が惜しまれます。
wowakaPのボカロ曲の最後となった楽曲は、2017年8月に公開された『アンノウン・マザーグース』です。
実に6年振りとなったwowakaP新作のボカロ曲は、投稿から5時間も経たないうちに10万回以上の再生数を集めるほど大人気でした。
また『アンノウン・マザーグース』の歌詞は「wowakapの自分自身のことを表している」とも言われ、亡くなった後にも考察が行われるなど、話題を集めました。
wowakaPが所属していたバンド『ヒトリエ』は、全国ツアーの最中でしたが、急きょ中止となり、2019年6月に追悼会が行われました。
2020年1月現在、バンド『ヒトリエ』は3人で活動を続けています。
名曲「ローリンガール」は一度は聞いておこう!
今回は、色褪せないwowakaPの名曲『ローリンガール』をご紹介しました。
『ローリンガール』は英語版での歌ってみたやラップ調、合唱など、バリエーション豊かなアレンジ楽曲が投稿されていますので、幾つか聞いてみて違いを楽しめるのもいいですね。
まだ聴いたことがない方、以前何十回も聴いたという方も、ぜひこの機会に聴いてみて下さいね。
TEXT 空野カケル