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どこまでも哀しい高速歌詞!
『初音ミクの消失』は、cosMo@暴走Pによって作られたボカロ曲で、歌唱ボーカロイドは初音ミクです。
この楽曲は高い人気を誇り、2007年11月8日にSHORTバージョンが、2008年4月8日にLONGバージョン(DEAD END)が、2011年12月13日に劇場版が、投稿されています。
2008年11月11日に、LONGバージョン(DEAD END)が100万再生を達成し、VOCALOID伝説入りを果たしました。
ちなみに「VOCALOID伝説入り」とは、ニコニコ動画で100万再生を達成したVOCALOID曲に贈られるタグのことです。
2012年4月25日にはなんと500万再生を達成という、驚異の人気ぶりを見せています。
アルバム『初音ミクの消失』は、2010年8月4日にリリースされました。
キャッチコピーは「初音ミク。その「誕生」「暴走」「戸惑」「分裂」「破壊」「終焉」「消失」そして「激唱」」となっています。
『初音ミクの消失』は、245BPM(LONGは240BPM)もの高いテンポから繰り出される高速歌詞』が大きな特徴ですね。
通信カラオケ大手のJOYSOUNDが、2011年に発表した「難しすぎて歌えない曲」のランキングでも、『初音ミクの消失』は1位に選ばれています。
それほどに難しい楽曲が、なぜこれほど人気なのか。その理由は、とても切ない歌詞にあります。
初音ミクの視点から綴られる歌詞。その意味するところは、いつか代用品にすぎない自分は忘れられてしまうという、未来の別れを歌ったとても哀しい歌なのです。
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ちなみに『初音ミクの消失』という曲名は、大人気ラノベ小説『涼宮ハルヒシリーズ』に影響を受けたものだそうです。
後にcosMoはインタビューで「もうちょっと自分のちゃんとしたオリジナルタイトルを考えておけばよかった」と語っています。
人気ボカロP「cosMo@暴走P」とは?
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『初音ミクの消失』の作詞作曲者・cosMo@暴走Pは、2007年、オリジナル曲である『電脳スキル』でデビュー。
彼は、2曲目に投稿した『初音ミクの暴走』がヒットしたことで、一躍ニコニコ動画のVOCALOID初期を代表する有名Pとなりました。
『初音ミクの暴走』をもじって暴走Pと呼ばれる様になり、cosMoと暴走Pを繋げcosMo@暴走Pと名乗るようになりました。
cosMo@暴走Pは『初音ミクの消失』に代表される、超高速のメロディーとまくし立てるような怒涛のピアノリフが特徴です。
また、ストーリー性に富んだ難解な歌詞も彼の魅力ですね。
2010年に、アルバム『初音ミクの消失』をリリースし、メジャーデビューしました。
アルバム『初音ミクの消失』では、「初音ミク」をテーマとした「消失」シリーズの全14曲をリマスタリングし収録。
約2年の間に動画共有サイトなどに投稿してきた数々の作品で、彼の初音ミクが「誕生」し「消失」していくストーリーを表現するという、前代未聞の試みを行いました。
また、2015年7月29日には、『消滅』シリーズとは違う『リアル初音ミクの消失』を投稿しました。
音楽作品以外にも、2012年に『消失』シリーズを元にした小説『初音ミクの消失-小説版-』が発売されました。
他にも自分のオリジナル曲シリーズを元にした小説として、2014年に小説『星ノ少女ト幻奏楽土』、2015年に小説『僕は空気が嫁ない~オルタナティヴ・リミックス~』、小説『少女の空想庭園 ~わたし"たち"のファンタジア! ! ~』が発売されています。
元々イラストレーターを目指していたこともあり、曲を動画で発表する際のイラストも手がけ、マルチぶりを発揮していますよ。
コナミ社の「SOUND VOLTEXシリーズ」で行われた楽曲公募コンテストに最優秀楽曲として採用されたのをきっかけとして、近年ではインスト楽曲の制作も増えています。
また、「黒猫アンティーク」「cosMo@暴走AlterEgo」といった別名義でも楽曲を発表しており、精力的に活動しています。
「初音ミクの消失」おすすめの「歌ってみた」「弾いてみた」を紹介!
『初音ミクの消失』は、作曲者である暴走Pが「人が歌う曲じゃない」と言うほどの楽曲であり、その難しさは作者のお墨付きです。ここでは、おすすめの「歌ってみた&弾いてみた」動画を3つ紹介します。
電脳少女シロ
これぞ、バーチャルYouTuber。
まるで、ボーカロイドと人間の狭間にいるような存在ですね。
ボーカロイドっぽい可愛い歌い方とMVは、初音ミクを彷彿とさせますね。
そんなVTuberシロが歌う、初音ミクが消滅していくさまは、胸に迫ってくるものがありますね。
『初音ミクの消失』は悲しい曲で、VOCALOIDだけでなくバーチャルYouTuberにも当てはまる部分が多いので、なおさら心に刺さります。
哀愁や驚きや感動を与えてくれる動画です。
右腕も消失しかけるピアノ
『初音ミクの消失』は機械音ならではの良さがあると思っていましたが、ピアノ演奏も素晴らしいですね。
美しくてドラマチックで、音色がとても心地いいです。聴いていると、何かが心に迫ってくるような気がしますね。
歌詞がないため純粋にピアノの音だけを聴くときれいなメロディが耳に残ります。
聴く人を惹き付ける魅力的な動画となっています。
蛇足
「歌ってみた」の練習風景という、珍しい動画。
すらすらとした早口で、しかも滑舌よく歌えるのが素晴らしいですね。
さすがベテランの人気歌い手の実力です。
曲の解説もしてくれていて親切ですが、この曲は誰でも歌えるわけではなさそうですよね。
普通の人には難しい早口を軽々と歌っているどころか、むしろ原曲を超えたスピードになっているところもあって驚くばかりです。
初音ミクは消滅するのだろうか!?
いろいろなバージョンの『初音ミクの消失』を作ったり、『リアル初音ミクの消失』を作ったり、10周年としてアレンジして投稿したりと、『初音ミクの消失』はcosMo@暴走Pにとっても、特別であることがよくわかりますね。
クリエイターが初音ミクを使わなくなり、初音ミクは存在できなくなる未来。ユーザー達が初音ミクに飽きて、初音ミクは存在できなくなる未来。
そんな未来が、いつか本当に来てしまうのでしょうか。
確かに、永遠に流行り続けるコンテンツなんてありません。
けれど、たとえコンテンツとして使われなくなったとしても、初音ミクがみんなの中で夢として残り続けることを祈りたいですね。
TEXT 有紀