今だからもう一度聴きたい「空高く」
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“そう 1・2・3・4・5 消えぬ涙 心に...”
≪空高く 歌詞より抜粋≫
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印象的なフレーズで始まるこの曲はシングル収録曲ではなく、嵐が2010年にリリースしたアルバム『僕の見ている風景』に収録されている『空高く』です。
この曲はアルバムの収録曲であると同時に、2010年1月の新春ドラマスペシャルで放送された、嵐5人が主演を務めたドラマ「最後の約束」の主題歌でもあります。
2020年、とうとう嵐が活動休止を迎える今年の幕開けに、再放送されたことでも話題になった「最後の約束」。
その主題歌である『空高く』には、10年前リアルタイムで観ていた方にも、今年初めて観た方にも等しく切なるメッセージが込められています。
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そう 1・2・3・4・5 走る 今日も 降り注ぐ時間の中で
僕らの空は続いてる ほら高く
“そう 1・2・3・4・5 辛いときも...”
≪空高く 歌詞より抜粋≫
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このフレーズは長い時間を越えて続く、絆の強さや尊さを感じられます。
ドラマ「最後の約束」もまた、嵐5人が演じる役柄の“時を超えた絆”が鍵となっており、ドラマとリンクした歌詞になっています。
また、当時結成11周年を迎えた嵐のメンバーたちの絆、嵐とファンの絆ともリンクしているように感じられますね。
距離と時間で生まれる「ほろ苦さ」
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何も言わない優しさがただ素肌に染みた
どんな時も考える意味無いほど近く
僕らいつもとなり歩いた
この場所信じた道 ただ 行こう!
≪空高く 歌詞より抜粋≫
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近くで同じ時間を過ごす中で芽生える絆を歌ったこのフレーズ。
すぐ側で苦楽を共にし、同じ未来に向かって歩いていく。
ここでは、近くにいるからこそ分かちあえる感情や思いがあることを示しているように感じられます。
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久しぶりに会ったら君が輝いてた
帰り道に自分のことが見えなくなった
だけど胸に勇気溢れた
痛みも愛しい未来 行こう We Go!
≪空高く 歌詞より抜粋≫
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対して2番の歌詞では、離れていた時期を思わせる表現が用いられています。
以前は、すぐ側で共に並んで歩いていたけれど、今は離れた場所にいる。
それでも変わらない絆の在り方を感じることができます。
以前は好きだったけれど、今は聴かなくなってしまった音楽。
そんな音楽に改めて触れてみると、当時は分からなかった良さや当時と同じように愛せる部分に出会った、という経験がある方もいるかもしれません。
一度繋いだ絆は簡単には切れない。それは、嵐の楽曲に対しても同じように感じることができると思います。
距離が離れても変わらない絆は確かにあります。
しかし、その距離が“お互いに大人になってしまった”ことによって生まれてしまった距離であるなら、その距離がほんの少しだけ『ほろ苦い』ように感じてしまうこともあるでしょう。
それでも“会いに行けば必ずもう一度会うことができる”のが楽曲であり、音楽です。
『空高く』が10年前の楽曲であっても変わらず普遍的なメッセージを届けてくれるのは、紛れもなく音楽の力であるといえるのではないでしょうか。
「空高く」で描いた「希望の歌」とは
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そう 1・2・3・4・5 走る 今日も 降り注ぐ時間の中で
忘れてた笑顔探して 時を越えて
そう 1・2・3・4・5 言葉止めて 希望の歌をまた歌おう
僕らの空は続いてる ほら高く
“そう 1・2・3・4・5 1・2・3・4・5...”
≪空高く 歌詞より抜粋≫
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時間の積み重ねが生んでしまった距離を埋めるほどの絆を、私達は記憶の中にとどめておくことはできません。
時間が経ってしまうと、熱を持って好きだった気持ちや大切に思っていた気持ちは徐々に“思い出”へと変化していきます。
しかし、その遠くなってしまった距離を埋めることができるのが“音楽”であり“楽曲”であると思います。
『希望の歌』と紡がれている楽曲が、それぞれ『空高く』を聴いた人の中に存在するのなら、どんなに時間が経っても距離が離れてしまっても絆はなくならないのではないでしょうか。
今は嵐を聴かなくなってしまった人。
2020年が終わって嵐を聴かなくなってしまう人。
2020年が終われば、否が応でも私達と嵐の距離は遠くなってしまいます。
それでもこれまでの20年間で、嵐が数多く生んできた楽曲の中にメッセージは込められています。
そのメッセージたちがいつでも、遠くなってしまった距離を埋めてくれるでしょう。
時間を越えて、空を越えて、音楽に乗せられたメッセージはいつまでも残るものです。
今だから聴きたい嵐がここにある。
10年前にリリースされた『空高く』に色褪せない感動を覚えることができる理由は、紛れもなくこの曲の歌詞に込められているのではないでしょうか。
TEXT DĀ