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鈴木雅之が「たとえ世界がそっぽ向いても」で歌う2つの愛とは?

2020年にデビュー40周年を迎えた鈴木雅之。ドラマ「駐在刑事Season2」の主題歌に起用された最新シングル『たとえ世界がそっぽ向いても』の歌詞から、「ラブソングの帝王」が歌う愛の世界を考察します。

「そっぽ」に込められた想い

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たとえ世界がそっぽ向いても
≪たとえ世界がそっぽ向いても 歌詞より抜粋≫
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この曲を聴いてまず強い印象を受けるのは、タイトルにも使われている「そっぽ」という言葉ではないでしょうか。最近ではあまり耳にしない言葉ですよね。

「そっぽを向く」には「無視する」や「敵に回す」などの意味がありますが、もしそのまま「たとえ世界を敵に回しても」や「たとえ世界に無視されても」という歌詞にすれば、すごく辛い曲のように感じてしまうでしょう。

そこで、子供や女性の可愛らしい仕草を連想させる「そっぽを向く」という言葉を使い、さらに「を」を省いて「そっぽ向く」とする事で、この曲の持つ暖かさが表現されているような気がします。

大石昌良が鈴木雅之に贈ったラブソング



「そっぽ向く」という素敵な言葉が使われたこの曲は、アニソンシンガー・オーイシマサヨシとしても活躍するシンガーソングライター、大石昌良が作詞作曲を手がけました。

鈴木雅之が2019年にリリースしたシングル『ラブ・ドラマティック』が、アニメ『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』の主題歌に起用され、アニメ関連のフェスに出演した事が2人の出会いのきっかけでした。

以前から鈴木雅之のファンだった大石昌良は、プロデューサーを通して鈴木雅之の楽曲制作のオファーが来た際、大喜びで受けたそうです。


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懐かしくなってもう一度
解けた日々を なぞり返した夜の淵
最後に交わした優しい二人の嘘は
罪と呼ぶべきでしょうか
≪たとえ世界がそっぽ向いても 歌詞より抜粋≫
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「解けた日々」とは「過ぎ去った日々」の事でしょうか。「なぞり返した夜の淵」は、その失われた日々を夜中に1人思い出す様子を表しているように感じます。

そして、お互いを傷つけずに別れるためについた「優しい嘘」。そしてそれが過ちだったかも知れないと迷う心を意味するような「罪」という言葉。

まるで昭和の作詞家が描いたような美しい表現の歌詞ですよね。

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もう二度と会えないような顔した君を
両手で抱き寄せたあの日
何も言わずに黙って見送ったそれを
「愛」と言えば楽になるでしょうか
≪たとえ世界がそっぽ向いても 歌詞より抜粋≫
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愛する人を引き止めず見送った事を「愛」だったと思えば楽になるのだろうかと悩む大人の恋を描いた歌詞と、イントロが始まった瞬間に鈴木雅之の姿が思い浮かぶような80年代の雰囲気漂うメロディ。

この曲には、大石昌良の「ラブソングの帝王」へのリスペクトが溢れているのではないでしょうか。

ドラマの世界観を表したもう一つの「愛」



『たとえ世界がそっぽ向いても』は、テレビ東京系金曜8時のドラマ『駐在刑事Season2』の主題歌として書き下ろされた曲でした。

『駐在刑事Season2』は、自然豊かな奥多摩の水根を舞台に、寺島進演じる「駐在さん」江波敦史と水根の人々が織りなす人情とサスペンス溢れるヒューマンドラマです。

このドラマには、事件解決後に江波が罪を犯した人に向かって言う印象的なセリフがあります。それが「水根に戻ってきて下さい」。

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人の心は夢追い人
今は道の途中で 過ちや躓きを時に知るけれど
いつも僕はここで待ってる どんな君でも待ってる
≪たとえ世界がそっぽ向いても 歌詞より抜粋≫
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過ちを犯した人もいつかまたこの街に戻ってきて欲しい、ずっと待っているからと歌うこの歌詞は、ドラマの世界観に重なりますよね。


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人は誰もがきっと旅人
長い道の途中で 出会ったり別れたり繰り返しながら
だけど街は君を待ってる 君の帰りを待ってる
たとえ世界がそっぽ向いても
≪たとえ世界がそっぽ向いても 歌詞より抜粋≫
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人が挫折したり傷ついた時に戻る場所、それはその人にとっての故郷のような場所ではないでしょうか。

たとえ世界中が自分の敵に回ったとしても、故郷には自分を待っていてくれる人がいて、どんな自分でも受け入れてくれる。

そんな場所があるから人は頑張れるのだと、男女の恋愛だけでなく人間としての愛をも歌う『たとえ世界がそっぽ向いても』は、今年64歳を迎える「ラブソングの帝王」鈴木雅之にしか歌えない究極のラブソングのような気がします。


TEXT 岡倉綾子

・1980年 シングル「ランナウェイ」でシャネルズ、メジャー・デビュー。ミリオンヒットを記録。 ・1983年 グループ名をラッツ&スターに改め「め組のひと」「Tシャツに口紅」など多くのヒット曲を残した。 ・1986年 シングル「ガラス越しに消えた夏」でソロ・ヴォーカリストとしてデビュー···

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