V6の絆を深めた代表曲
V6は、1995年11月1日にバレーボールワールドカップの公式キャラクターとしてデビューを果たしました。
それからメンバーそれぞれが多方面で活躍し、日本を代表するグループにまで成長しました。
デビューから凄まじい勢いでスターダムを駆け上がっていったV6でしたが、その一方で、メンバー間の年の差が9歳も離れており、キャリアの差もあったため、結成当初はメンバー同士にしか分からない苦労も多かったようです。
そんな彼らが1つになれたきっかけが、1997年に5枚目のシングルとして発売された『愛なんだ』でした。
メンバー達も「歌う時に必ず全員笑顔」嘘がない感じがすごくいい」6人でグループやってるんだって思いが、ちょっとずつだけど出てきた」と語るほど思い入れのある曲なのです。
ライブや音楽番組でも披露され続けているV6の代表曲『愛がなんだ』を早速紐解いてみましょう。
爽やかな楽曲に入り混じるほろ苦さ
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風のガードレール
行きたい場所もなく
どうしてこんなに
渇いているんだろう
胸に巡る
まぶしすぎる夢も
時の流れにいつか
消えてしまうのかい
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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歌詞の中に描かれている風景は爽やかなはずなのに、どこか寂しさを感じる歌い出しです。
主人公は自分の現状や将来に思いをはせる若者なのでしょう。しかし、今は自分の進むべき道が分からず、人生の岐路で立ち往生しているのだと思います。
唯一はっきりと感じるのは満たされていない心の渇きです。
何かを欲しているはずなのに、それが一体何なのかも分かりません。
時折、憧れや夢が胸をよぎることがあっても年を取るにつれてそれもあきらめに変わり、叶わないまま消えてしまうのではないだろうかと思い悩んでいるのでしょう。
自分を信じることが「愛なんだ」
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YEAH そうなんだ
きっとここから愛なんだ
はじめることが愛なんだ
傷つくこと怖れちゃ
だめ だめ だめ だめだよ BABY
つらいときでも愛なんだ
できるなにかが愛なんだ
信じてみてもいいはず
あきらめない明日の太陽
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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サビの歌詞は、とにかくシンプルでポジティブなエネルギーに満ち溢れています。
まず何かを始めてみることで、自分の世界が変わるかもしれないという前向きなメッセージが込められています。
人は身を守ってばかりいると、常に不安が先だってしまって身動きが取れなくなるものです。
何かに挑戦したい時や新たに1歩踏み出したい時、あなたの1番の味方はあなた自身のはずです。
自分を「信じてみてもいいはず」という歌詞は頑張る人の背中を思いっきり押してくれるのではないでしょうか。
本当の「強さ」とは何なのか
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孤独なんか
なんでもないふりで
どうして心は
道に迷うんだろう
わかりあえる
誰か探しながら
すれちがいの優しさに
戸惑ってばかり
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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ふと感じる寂しさを見て見ぬふりすることだけが本当の「強さ」だと思い込んでいた主人公。
言葉とは裏腹に心は素直で、1人では抱えきれない孤独に不安を感じることもあります。
人間は1人では生きていけないんだと気づき、信頼しあえる相手を探し求めますが、心から向かい合える相手にはなかなか出会えません。
「すれちがいの優しさに戸惑ってばかり」というフレーズは見事に的を得ている表現だと思います。
人との距離感の測り方があまり上手くない若者の戸惑う気持ちが伝わってきます。
円滑な人間関係のために利用される「優しさ」と相手を心から想う「優しさ」の違いに翻弄されているのではないでしょうか。
迷いがクリアになっていく
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知りたい ふれたい 見つけたい いつか ほんとの愛だけかなえたい
いつでも どこでも 与えたい もっとすべてを変えてみたい
逃げない 負けない 離さない いつも感じることなら嘘つかない
いつでも どこでも 求めたい もっとすべてが変わるまで
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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冒頭ではやりたいこともあいまいで、自分の感情に鈍感だった主人公が、今自分は何がしたいのか、何を求めているのかをはっきりと言葉に出来るようになっています。
自身の経験を通して抱え続けてきたひとつひとつの迷いに答えを出しているようにも感じられます。
後悔や不安を乗り越えて
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YEAH そうなんだ
きっとここから愛なんだ
はじめることが愛なんだ
ふりむいてばかりいちゃ
だめ だめ だめ だめだよ BABY
きっと涙も愛なんだ
微笑みもそう愛なんだ
つよい気持ちでいれば
かならずある明日の太陽
≪愛なんだ 歌詞より抜粋≫
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挑戦すればその分失敗や後悔も増えるでしょう。
しかし、それらを乗り越えた先にあるのは、不安で何もできなかった若かりし頃の自分より一回りも二回りも成長した姿があるのではないでしょうか。
傷つくことを恐れずに思い切って向き合った数だけ、大切な人が周りにいるはずです。
『愛なんだ』のシンプルな歌詞に隠された奥行きのある様々な意味合いは、聴く人によって響き方が変わる不思議な魅力を持っています。
この曲を聴くと、青春時代になかなか言葉にできなかったモヤモヤした感情とリンクして心が晴れる気がします。
人類にとって「愛」は永遠のテーマですが、この曲からは「まず自分を信じ、愛してあげることから全ては始まる」という素朴で温かい想いを感じることが出来ます。
TEXT kawer