ダメダメな人生を歌った歌「ルマ」
爆発的人気を誇る若手歌い手「莉犬」。その彼の初となる1stフルアルバム『タイムカプセル』の収録楽曲として『ルマ』は制作されました。楽曲制作者である『かいりきベア』は強い洗脳力をもったギターロックが魅力的な有名なボカロPであり、この楽曲もそんな彼の持ち味が存分に活かされた、中毒性の高いギターロックソングとなっています。
同時に、タイトルに隠された意味があると視聴者達の間で噂になっており、その意味に対する考察が行われている有名な楽曲となっています。
この記事では歌詞の意味を紐解きながら、その考察の内容に迫っていこうと思います。
まずは『ルマ』がどういった内容を歌う楽曲となっているのか、そこから迫る事にしましょう。
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満点な人生も
秀才な解答も
ございません
有害な評論も
見え透いた同情も
聞きたくはないな
壮観な表彰も
平凡な真っ当もございません
暗転な将来も
傲慢な快晴も
見たくはないな
はいはい 俯いちゃって
ヤンヤンヤン
クラクラリ 彷徨って
正答 失っちゃって
わーんわーんわーん
だって!心は満たされない!
≪ルマ 歌詞より抜粋≫
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『満点』『解答』『表彰』など、まるで『学生生活』を彷彿とさせるような比喩表現が、1番の歌詞の中で使用されています。
それらの言葉に続くのは全て『ございません』や『聞きたくはない』『見たくはない』と否定的な言葉ばかり。
『わーんわーんわーん』という歌詞も、莉犬という歌い手の『犬』としてのキャラクター性を表現していると同時に、泣き声をあげているようにも見えます。
さらに二番の歌詞でも『学生生活』を彷彿とさせる言葉が出てきています。
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満点な答案も
優秀な成功もございません
後悔な人生も
停滞の殺到も 見たくはないな
≪ルマ 歌詞より抜粋≫
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ここで歌詞に、同じ言葉が出てきている事に気づきませんか。
それが『満点』と『人生』の2つです。
1番の歌詞では『満点な人生』となっており、2番の歌詞では『満点な答案』と『後悔な人生』と歌われています。
『満点』は先程も言ったように比喩表現として使用されていますが、対して『人生』は名詞の為、比喩表現とは異なります。
そうすると、比喩がさしているものは『人生』だと捉えることができませんか。
つまり1番の『満点な人生も 秀才な解答もございません』は、歌の主の人生がダメダメである事を指し、2番の『後悔な人生』というのも、そんな『人生』を後悔していると解釈する事ができます。
激しいギターロックソングからは考えられない、このネガティブな内容こそ『ルマ』が意味しているものではないのでしょうか。
楽曲タイトルにも繋がる注目点「×点」
実は『ルマ』には、多くの視聴者から注目を浴びている歌詞が存在します。
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愛を頂戴
感情熱唱メッタッタッタ
声枯らせ
全然わかんない ×点
喰らい尽くせ
心臓血漿
ラッタッタッタ 踊り舞え
正解なんてバイバイ
提唱だダダダダ
(ワオーン!)
≪ルマ 歌詞より抜粋≫
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一番のサビの歌詞で注目してほしいのは『×点』という歌詞です。その理由は『ルマ』のタイトルに隠された秘密に繋がる答えがあるからです。
まず『ルマ』というタイトルですが、これを反対に読むと『マル』という言葉になります。
『マル』とはつまり『○』。『×点』と反対の意味を持つ言葉です。
その反対の意味を持つ『×点』な楽曲だからこそ『マル』を反対にし『ルマ』にしたのではないかと考察されているのです。
さらに『ルマ』のサビは一部分の変化を除いて、同じ内容を繰り返しており、その一部分がこの『×点』であったりします。
1番は『全然わかんない×点 喰らい尽くせ』と、どうして×点がつくのかわからない困惑っぷりとそれでも進むしかない人生模様を歌っているのに対し、2番では『断然止まんない×点 笑い倒せ』と、わからないままに×ばかり周囲につけられていく人生に、ついに狂ってしまったかのような印象を受けます。
サビ唯一、歌の主の心情変化が綴られている点から見ても『×点』は、非常に大事な歌詞である事が伺えます。
「ルマ」が導き出した人生への解答とは
それでは最後に『×点』だらけの人生に、この楽曲がどのような『解答』を導き出したのか見てみましょう。
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愛を頂戴
感情裂傷
メッタッタッタ
詩歌え
全然染まんない
「我」貫き通せ
心境全焼
落下ッカッカ 這い上がれ
正解なんて曖昧立証だダダダダ
感情熱唱メッタッタッタ
声枯らせ
全然わかんない
×点 喰らい尽くせ
心臓血漿
ラッタッタッタ 踊り舞え
正解なんてバイバイ
推奨だダダダダ
正解なんて無い無い
提唱だダダダダ
だ ダダダダダ (ワオーン!)
≪ルマ 歌詞より抜粋≫
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Cメロはサビのメロディーをアレンジしたものとなっており、大サビは1番のサビが繰り返された内容となっています。
ここで注目するのが『愛を頂戴』という歌詞。
それまではどのサビにも入っていたこの歌詞が、大サビでは消えているのです。
代わりにCメロで歌われていますが、サビをアレンジしているCメロの中に『×点』という歌詞がありません。
その代わりに『「我」貫きとおせ』という歌詞が歌われています。
『我』とは『自分』を意味する言葉。
つまり、それまでのダメダメな人生を嘆くばかりだったサビが、自分を貫き通すという決意の言葉に変わっているのです。
大サビの『愛を頂戴』がないのは、こうした歌の主の心境の変化が導き出したものなのでしょう。
そもそも本来『×点』は、自分がつけるものではなく他者から押される判。他人からの意見や愛を欲しがる事をやめ、自分を貫き通す事をこの歌の主は決めたのです。
それがこの楽曲の主が導き出した『解答』。
しかし自身からしたら納得のいく道でも、やはり他人からしたら正解とは真反対の道なのかもしれませんね。
『マル』を反転させて『ルマ』と読んだそのタイトルのように。
TEXT 勝哉エイミカ