またすごい曲、作ったな～。きゃりーぱみゅぱみゅやPerfumeのプロデューサーで知られる中田ヤスタカとダウンタウン浜田雅功のコラボで実現した”浜田ばみゅばみゅ”を見て、そう感じた。TVでは自由奔放なドSキャラで知られる浜田が、キャピキャピなドレスを着て可愛らしいテクノポップを歌う。「なんでやねんねん」と関西のツッコミフレーズを活かしながらもキャッチーな世界感になっているのはさすがだ。
芸人・俳優・歌手としても超一流な才能を見せる大御所芸人ダウンタウン。TVや映画などの出演が主で、「ワイドナショー」「浜ちゃんと!」「クレイジージャーニー」と情報番組や情報パラエティーといった純粋なお笑い番組以外の番組に出演している。「HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP」で音楽番組の司会も務めていた。その番組がきっかけで作られた「チキンライス」が実にダウンタウンらしい一曲だ。
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親孝行って何？って考える
でもそれを考えようとすることがもう
親孝行なのかもしれない
子供の頃たまに家族で外食
いつも頼んでいたのはチキンライス
豪華なもの頼めば二度とつれてきては
もらえないような気がして
親に気を遣っていたあんな気持ち
今の子供に理解できるかな？
今日はクリスマス
街はにぎやか お祭り騒ぎ
七面鳥はやっぱり照れる
俺はまだまだチキンライスでいいや
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歌詞の視点は、作詞をした松本人志のもの。子供の頃の甘酸っぱいエピソードを紹介し、”年を取っても子供の頃と変わらない”という素直な気持ちを松本らしい言葉で綴っている。
「親孝行」という言葉の意味すら知らなかった小さい頃の話から始まる。家族連れで頻繁に外食に行くような家庭ではなかった松本家。たまに外食が楽しみでしかたなかった。でも、いつも松本が頼んでいたのはチキンライス。本当はステーキやハンバーグが食べたかった。だけど、また外食に連れてきてほしいから、高いものを頼まないようにしよう。いつもお金のことで苦労していた親の姿を見ていた松本少年の子供らしからぬ気の利かせ方だ。
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今ならなんだって注文できる
親の顔色を気にしてチキンライス
頼む事なんて今はしなくても良い
好きなものなんでもたのめるさ
酸っぱい湯気がたちこめる向こう
見えた笑顔が今も忘れられない
今日はクリスマス
街はにぎやか お祭り騒ぎ
でかいケーキもってこい
でもまあ全部食べきれるサイズのな
赤坂プリンス押さえとけ
スイートとまでは言わないが
七面鳥もってこい これが七面鳥か
思ってたよりでかいな
やっぱり俺はチキンライスがいいや
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芸人として大成した松本は、お金で困るようなことはもうない。好きなものを買って、好きなものを食べられるようになった。赤坂プリンスを押さえとけ!!七面鳥も用意しろ!!と実際言ったこともあるのだろう。
ただ、”赤坂プリンス”というカッコいい名前のホテルに泊まれればスイートルームでなくても良かったし、オーダーした七面鳥も思ったよりでかくてビックリしたぐらいだ。お金をかけて外見の豪華さだけ見繕っても自分の心は満たされないとわかった松本。今の立場になっても、あえて「チキンライスがいいや」と言えるのは、ステータスや世間体なんかを気にするよりも、見栄を張らずに食べたいものを気楽に食べた方が幸せだという松本の心が描かれている。
”酸っぱい湯気がたちこめる向こう 見えた笑顔が今も忘れられない”と、チキンライスを頬張る自分を嬉しそうに見て笑う親の顔が松本にとって最高の思い出になっている。お父さん・お母さん、ありがとう。そんな感謝の気持ちをこの曲を通して親御さんに伝えたいのと同時に、満たされた環境に育った”今”の子供達にもこういう気持ちをわかってほしいという強いメッセージを感じる。
浜田の下手ウマなボーカルと槇原敬之の作曲した優しいメロディーがコラボして一風変わったクリスマスソング。中田ヤスタカの”浜田ばみゅばみゅ”だけでなく、小室哲哉プロデュースの”H Jungle with T”、自らのコント番組から派生した”エキセントリック少年ボウイ”などの個性的な曲にも二人は携わってきた。中でも、庶民的な目線を生かした松本の歌詞を等身大で飾らない浜田のフランクなスタンスで歌い上げた「チキンライス」。これこそ、ダウンタウンらしさの光る一曲だと言える。
TEXT:田中利知( https://twitter.com/toshichika8855 )
