TikTokで話題沸騰「sweets parade」魅力とは
好きな楽曲をバックに動画を撮影し、シェアするスタイルで人気の勢いが止まらないスマートフォン向けSNSアプリ、TikTok。
その影響力は凄まじく、TikTokをきっかけに有名になった楽曲、あるいは再ブレイクした楽曲が数多く存在し、アプリの流行は音楽ファンにとっても興味深い文化のひとつへと成長しています。
そんな中、最近TikTokでの使用で再度注目を集めているのが『sweets parade』。
花澤香菜演じる髏々宮カルタによる可愛らしい歌声を、知っているかたも多いのではないでしょうか。
2012年放送のアニメ『妖狐×僕SS』主題歌として発表されたこの曲が再評価されている理由は、その歌詞にあるのかもしれません。
甘く可愛らしい言葉遊び
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愛、上、お菓子、下
柿食うっけ?こんなにも
差しすせソフトクリーム
五臓六腑でいこう
タッチついてトルテ来た
何?ヌネのり塩
≪sweets parade 歌詞より抜粋≫
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楽曲の幕開けを飾るのはこんな一節。
ふわふわした可愛らしい魅力を持った歌声を得意とする花澤香菜らしく、ガーリーで天真爛漫な歌詞が展開されます。
作詞を担当したのはuRy名義で音楽ゲームやアニメソングなどのフィールドで数々の楽曲を手掛ける三角由里。
アニメ文化の中心から作品を生み出す彼女の感性は抜群。
今回の『sweets parade』でも思わず耳に残る心地よいフレーズが次々に炸裂します。
タイトルの通りスイーツをテーマにした歌詞が展開するリリック。
一躍有名になったAメロでは、あいうえおの50音順に絡めたスイートなキーワードが次々に飛び出します。
思わず口ずさんでしまいそうな語感の良さは、まさにこの楽曲らしい魅力と言えるでしょう。
ワードのチョイスが歌詞に与えるわくわく感
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何?ヌネのり塩
はっ!ヒフヘホットパイと
みんなでぬくぬく
ショートケーキふわり
キャンディーぺろぺろ
チョコレートの川で
綿菓子雲見た
≪sweets parade 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞でも、一切の妥協なく「お菓子」をテーマにした歌詞が展開します。
甘いお菓子が続く中で、ほとんど唯一と言っていい塩辛いお菓子の「のり塩」。
「何?」という印象的な変化球のキーワードと共に独特の存在感を放っています。
次はどんなお菓子が登場するのか思わず気になってしまうようなワードのチョイスは十分に計算された作詞術のなせる技と考えることもできるでしょう。
洋風できらびやかなスイーツが並ぶ中に現れる「綿菓子雲」も秀逸。
西洋のキュートなイメージをなぞった後に聴き手を包み込むのは、日本人ならではの雄大な雲のイメージ。
大胆な跳躍の鮮やかさに、思わず心を奪われてしまいますね。
歌詞に隠れた温かなメッセージ
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国境なき sweets
仲良くなれるよ
ぼんやり夢見てごらん
キャラメルみたいにくっつこう
≪sweets parade 歌詞より抜粋≫
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中盤に登場するのはこんな一節。
世界共通で多くの人に愛されるスイーツ。
それぞれの国や文化ごとに独自の原料・調理法で編み出されてきた数多くのレシピは、子供たちをはじめとしてたくさんの人を笑顔にします。
万国共通な「スイーツ」の魅力を前にすれば、どんな人も「仲良く」なれるはず。
可愛らしくもしっかりと愛に溢れたそんなメッセージが、花澤香菜の透き通るような歌声に載って聴き手の心に届き、染み渡っていきます。
たとえ毎日苦しい状況に追われていたとしても、この楽曲を再生している間だけは「ぼんやり夢見る」ことができそうな、そんな心温まる感情が『sweets parade』に込められてい流ように感じられます。
抜群のチョイスで並べられた言葉の軽やかさが、楽曲の持つ甘い魅力に絡み合う。
そんな歌詞を聴き手に届けるのは、花澤香菜による美しい歌声。
どこを切り取ってもスイートな魅力が詰まった、まさに「ショートケーキ」のような完成度を備えた『sweets parade』。
TikTokをきっかけにこれからも多くの人の心に癒しを届けることでしょう。
TEXT ヨギ イチロウ