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心に刺さる!等身大の青春群像劇
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将来やりたいことがない、現実と向き合うのが怖い、自分を変えたいけどなかなか一歩が踏み出せない。
そう思う度に後ろめたくなったり、もどかしくなったことはありませんか?
この作品の主人公・魚住陸生(リクオ)は大学卒業後なりたいものがなく、アルバイト生活中。
大学時代に好きだった同級生・榀子(しなこ)との関係を進展できないまま卒業してしまいました。
一目惚れで陸生一筋の少女、野中晴(ハル)。
今は亡き憧れの人・早川湧が忘れられない、森ノ目榀子。
湧の弟で、榀子に自分を認めてもらいたくて美大入学を志す早川浪(ロウ)。
彼らを見ていると、きっと自分と重なるところが見つかり昔が懐かしくなったり、共感したりと、画面に釘付けに。
今悩んでいる学生、昔悩んでいた社会人に一度見ていただきたい作品に仕上がっています。
1999年頃の懐かしい空気と、ひとりひとりの人生を丁寧にじっくりと深堀したドラマが文学的で美しい。
悩み、迷いながら懸命に生きる男女4人を中心に、彼らの人生と愛を綴った作品、それが『イエスタデイをうたって』なのです。
49%後ろ向き、51%前向きに生きていく等身大の彼らのもどかしい恋路と彼らを待ち受ける展開が気になって、次の物語が見たくなってくることでしょう。
全員片思いの儚いハートフルストーリー
物語の舞台は、1998年頃の東京都。
主人公・リクオは大学卒業後、何も目標もなくコンビニでアルバイト生活を送っていました。
ある日、店の裏口でカラスに廃棄品の弁当を与えていると、カラスを連れた高校生くらいの少女・ハルに出会います。
ハルの奇抜な行動に戸惑う中、リクオは大学時代の想い人・榀子が東京に帰ってきたことを友人から知ります。
ふたりはファミレスで語り合いますが、ふたりの距離はあの頃のまま。
リクオの恋心が再び膨らみ始めたのです。
その後もハルはコンビニに通い詰め、榀子に会う度にリクオは想いを募らせつつ、告白した時に距離感が変わってしまうことを恐れていました。
ハルと榀子という性格も考え方も異なる二人の女性。
その間で揺れ動くリクオ。
ここに榀子の幼馴染・狼を加えた4人が織りなす片思いだらけの恋愛模様、それぞれの葛藤を繊細に描いたハートフルストーリー、それが『イエスタデイをうたって』なのです。
ノスタルジックな映像・世界観が美しくて心地いい
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原作は、累計発行部数140万部を記録した冬目景の漫画で、1998年から2015年にかけて『ビジネスジャンプ』後に『グランドジャンプ』に連載されました。
タイトルは、忌野清志郎が所属したロックバンド・RCサクセションの楽曲に由来しています。
アニメ制作は『月刊少女野崎くん』『多田君は恋をしない』を担当した動画工房。
監督は『未確認で進行形』『プラスティック・メモリーズ』を手がけた藤原圭幸。
シリーズ構成も藤原監督が担当しています。
『月刊少女野崎くん』『魔法少女まどか☆マギカ』の谷口淳一郎がキャラクターデザインを務め『動画工房』ブランドを支える精鋭スタッフが集結。
原作の繊細なタッチのキャラクター作画をアニメで再現し、原作のノスタルジックな雰囲気がそのままアニメに。
マンガのコマ割をイメージしたカットを回想のアクセントに、世界観を美しく演出しています。
映像が醸し出す懐かしさと温かさに心地よさを感じられますよ。
登場人物達のバックボーンを丁寧に描写し、抱えているわだかまりから逃げたり、向き合ったり、乗り越えていく姿は共感必至。
文学的でゆったりと描かれるストーリー展開、葛藤する登場人物や彼らを支える脇役陣の心から発する名台詞が心に刺さります。
じれったい展開に心が揺さぶられっぱなし。
簡単にハッピーエンドに向かわないところがリアルで面白いですね。
ふたりのヒロインや周りの人々と共に少しずつ自分の道を見つけていくリクオ。
リクオがどのように生きる道を見いだすのか、最後までじっくりとご覧くださいね。
繊細でナチュラル、リアルな演技に心揺さぶられる
『イエスタデイをうたって』は、キャストもキャラクターのイメージに合っていて引き込まれます。
主人公・リクオを演じるのは小林親弘。
『BEASTARS』のレゴシや『ゴールデンカムイ』の杉元佐一が有名ですね。
彼の演技はまるでドラマや舞台を見ているようにリアルで自然体。
普段の抑揚を抑えた話し方も心が動いた時の声の上げ方も絶妙で、リクオの内面を細やかに表現しています。
野中晴役の宮本侑芽は『SSSS.GRIDMAN』のヒロイン・宝多六花役をリアルな女子高生らしい自然な演技でファンを魅了した若手女性声優。
演技も無邪気さのなかに影があって、ハルの持つ不思議な魅力が引き出されていて素晴らしいです。
花澤香菜演じる榀子は、過去を割り切れないまま、リクオとの恋人未満の関係を続けたい矛盾の持ち主。
一見めんどくさいと思われる性格が気にならない、落ち着いた演技に引き込まれますよ。
リクオの恋のライバルで榀子の幼なじみ・浪を演じる花江夏樹も感情がまっすぐに声に乗っていて、彼が夢に恋に奮闘する姿を応援したくなるでしょう。
脇を固める声優陣も豪華。
リクオにズバッと物言うバイト仲間の木ノ下役に鈴木達央。
大学時代の友人・福田タカノリ役に寺島拓篤。
ハルのバイト先のバーのオーナー役に坂本真綾など有名声優陣が多数出演しています。
ドラマや映画のような繊細で心を揺さぶる声優陣の演技にも注目してみてくださいね。
主題歌は、涙腺と心を揺さぶる壮大なバラード
アニメ『イエスタデイをうたって』の主題歌『籠の中に鳥』を歌うのは、4人組ロックバンド・ユアネス。
琴線に触れるヴォーカルと叙情的で心の深いところに刺さるメロディーと歌詞、音楽でひとつの物語を綴っていく楽曲が特徴的。
しっかり歌を聴かせるパフォーマンスで人の心を掴むロックバンドです。
ユアネス初のアニメタイアップ曲である主題歌『籠の中に鳥』は、儚い想いが詰まった涙腺崩壊のバラード。
移ろいゆく季節の中で感じる切なさや憂いを丁寧に歌詞とボーカルに乗せ、壮大なスケールで表現されていて、聴いていて心が揺さぶられます。
歌詞の「何度も繰り返してる 同じところを 同じ心を何回だって 夏がここに来ようとも 私 同じ季節にいるんだ」は、第2話で榀子が湧を失った春のまま心が止まっていることを歌っているように感じて、切なさに胸が張り裂けそうです。
過去に綴られている“一歩踏み出したい気持ちがあっても前に進めない”、“何度も何度も振り返ってしまうもどかしさ”は、初恋の人を忘れられない人、過去に後悔のある人なら共感できるフレーズではないでしょうか。
サビで何度も繰り返される「あぁどうすれば」「ねぇどうすれば 」の言葉と祈りを込めたような高音ボーカルが、切なさ・悲しさ・張り裂けそうな胸の痛みと重さがしっかり伝わって心に刺さってきますね。
切ないのに何度も聴きたくなるほど、歌声が美しくて聴き惚れてしまいそうです。
エンディングアニメも、コルクボードに貼られた写真を通して今回のエピソードをプレイバック。
特に第2話では、桜の花を眺める榀子の姿や物思いに耽る姿と回想が流れ、彼女の春で止まった心に触れられ、胸が締め付けられますよ。
人間模様をしっとりと描く『イエスタデイをうたって』とユアネスが紡ぎ出すエモーショナルな音楽がぴたりとはまり、心を動かす素晴らしい楽曲です。
ゆったりと「イエスタデイをうたって」に触れてみて
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映画さながらの繊細で美しい映像と、日常の中の落ち着いた雰囲気と深みのあるストーリー。
繊細で心を揺さぶるキャラクター達と彼らに息を吹き込む声優陣のナチュラルな演技が織りなす文学的なアニメ作品『イエスタデイをうたって』。
テレビ朝日にて毎週土曜日25時30分から、BS朝日にて毎週金曜日11時30分から好評放送中です。
AbemaTVなら地上波放送と同じ時間で見ることもできますし、ここだけでしか見られない配信限定エピソードを一週間限定で見ることができますよ。
配信限定エピソードでは、アニメ本編で描かれなかった原作エピソードを深堀り。
3分ほどのショートアニメですが、話の密度が高くキャラクターの心理にもっと迫れて、本編をより深く堪能することができます。
静かな場所で時間のある時にゆったりとアニメを見て、原作マンガに触れてみてください。
そこに胸がぎゅっとなる忘れられない感動があなたを待っていますよ。
TEXT Asakura Mika