忘れられない恋
小説を音楽で表現するユニット『YOASOBI』。
日本のみならず海外からも注目される彼らが、新曲『ハルジオン』を配信しました。
原作となったのは、プロ小説家・橋爪駿輝の短編小説「それでも、ハッピーエンド」。
プロ小説家とのコラボレーションは、今回が初の試みです。
また、この楽曲はエナジードリンクのプロモーションのために書き下ろされたもので、エナジードリンクのコンセプトである「没入」が、楽曲のテーマとなっています。
一体何に「没入」しているのか、まずは冒頭の歌詞をチェックしましょう。
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過ぎてゆく時間の中
あなたを思い出す
物憂げに眺める画面に映った二人笑っていた
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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まず歌われているのは、過去の恋人に対する未練。
恋人のことが忘れられず、昔撮ったスマホの写真を眺めているようです。
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知りたくないほど
知りすぎてくこと
ただ過ぎる日々に呑み込まれたの
それでもただもう一度だけ会いたくて
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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続く歌詞からは、忙しい日々に飲み込まれていく様子がわかりますね。
忙しさからくるすれ違いが原因で別れたのでしょうか?
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あなたの言葉に頷き信じた私を
一人置き去りに時間は過ぎる
見えていたはずの
未来も指の隙間をすり抜けた
戻れない日々の欠片と
あなたの気配を
今でも探してしまうよ
まだあの日の二人に手を伸ばしてる
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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こちらのサビの歌詞では、元恋人への強い未練を感じますよね。
時間はとっくに進んでいて、元には戻れない。
でも、大好きだった恋人と過ごした日々の思い出を探しては、過去を思って胸を痛めているようです。
ここでは「過去の恋」に「没入」していることがわかりますね。
忘れた夢
続く2番では、少し様子が変わります。
まずは2番の歌い出しを見てみましょう。
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境界線は自分で引いた
「現実は」って見ないフリをしていた
そんな私じゃ
見えない見えない
境界線の向こうに咲いた
鮮烈な花達も
本当は見えてたのに
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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ここからわかるのは、何かに対して見て見ぬ振りをする様子。
一体何に対して線引きしたのでしょうか?
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知らず知らずの内に
擦り減らした心の扉に鍵をかけたの
そこにはただ美しさの無い
私だけが残されていた
青過ぎる空に目の奥が染みた
あの日の景色に取りに帰るの
あなたが好きだと言ってくれた私を
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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引き続き、何か大切な思いを隠している様子が歌われています。
その思いを隠し続けた結果、そこに残ったのは「美しくない私」だったようです。
後半部分で出てくる「あなた」は、1番で歌われていた過去の恋人のことでしょうか?
現在は隠してしまった何かに対する思いを、昔は隠すことなく過ごしていたよう。
そしてそんな自分のことを、彼は愛してくれていたようですね。
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誰にも見せずに
この手で隠した想いが
今も私の中で生きている
目を閉じてみれば
今も鮮やかに蘇る景色と
戻れない日々の欠片が
映し出したのは
蕾のまま閉じ込めた未来
もう一度描き出す
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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こちらは2回目のサビの歌詞。
最後の2行から推測すると、おそらくこの主人公が隠した思いとは「夢」ではないでしょうか?
夢に向かって頑張っていたあの頃は、彼は私を好きだと言ってくれていた。
しかし夢を諦めた今、彼は私のもとを去り、そこには美しくない私だけが残ってしまった。
とても切ないですよね。
最初は夢に「没入」していたつもりが、徐々に彼へと「没入」していき、全て終わった今は過去の恋に「没入」してしまっている…。
この主人公は一体どうなるのでしょうか?
それぞれと向き合い、一歩前へ!
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あの日のあなたの言葉と
美しい時間と
二人で過ごしたあの景色が
忘れてた想いと
失くしたはずの未来を繋いでいく
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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こちらは最後のサビの歌詞。
思い出に没入し続けていたものの、どうやらその思い出が大切な思い、つまり「夢」を思い出させてくれたようです。
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戻れない日々の続きを歩いていくんだ
これからも、あなたがいなくても
あの日の二人に手を振れば
確かに動き出した
未来へ
≪ハルジオン 歌詞より抜粋≫
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再び「夢」を思い出した彼女は、過去の経験を糧にもう一度歩き出すことを決めたようですね。
過去の自分たちに手を振って、未来へと進む様子が描かれています。
過去に浸ってばかりいては前へ進めませんが、時には思い出が大切なことに気づかせてくれたり、自分を強くしてくれたりするようです。
より詳細な物語が気になったという方は、ぜひ原作「それでも、ハッピーエンド」を読んでみてくださいね。
YouTubeで公開されているMVも必見。
独特な色使いの不思議な世界観で、小説と楽曲の物語が表現されています。
ぜひチェックしてみてくださいね。
TEXT ゆとりーな