国境を越えた禁断のラブストーリー!
日本でもファンが多い韓国ドラマに新たに登場し、多くの大人の女性たちを中心に人気を博している作品が『愛の不時着』です。
2019年12月から韓国のケーブルテレビ、tvNで放送が開始すると、瞬く間に話題に。
2020年2月16日に放送された最終回の16話では、同局の最高視聴率を記録し、tvNドラマ歴代視聴率1位の大ヒットとなりました。
2月23日にはNetflixで全話一挙配信が始まり、人気作品をランキング付けする「今日のTOP10リスト」に連続ランクインする人気ぶり。
空前のブームが巻き起こり『愛の不時着』ロスに陥る女性が多発しています。
作品を観る人を惹きつける人気の秘密について、あらすじや見どころなどを動画を交えて紹介します。
偶然の不時着から始まる許されざる恋
韓国の中でも一握りのお金持ちである財閥の娘、ユン・セリ。
自身の力で、ファッションブランドであるセリーズチョイスの設立と成功を果たしたやり手のCEOです。
彼女はある日、自社ブランドのスポーツウェアを着こみ、パラグライダーで飛び立ちます。
しかし、突然のトルネードに巻き込まれ墜落します。
目覚めた場所は、北朝鮮が管轄する非武装地帯にある木の上。
身動きできないでいるところを、北朝鮮将校のリ・ジョンヒョクに発見されます。
彼女はその場から逃げ出したものの、そこが韓国ではなく北朝鮮の町であることに気付いて、唖然とします。
ジュンヒョクと再会した彼女は、彼が暮らす社宅村で匿ってもらえるよう説得。
ジュンヒョクの方も、彼女が捕まることで自分たちのミスが明るみになることを恐れ、受け入れることにします。
北朝鮮総政治局長を父に持つエリート軍人のジュンヒョクは、4人の部下と共に彼女を無事に韓国に帰す方法を模索。
しかし、彼らには数々の厄介な出来事が降りかかります。
出会うはずのなかった二人が偶然に出会い、導かれるように始まる禁断のラブストーリーにドキドキするラブロマンスです。
豪華なスタッフとキャスト陣が集結!
脚本を務めたのは『星から来たあなた』『青い海の伝説』で知られる脚本家パク・ジウン。
ラブコメと切ないロマンスの融合に定評があり、本作でもその手腕を存分に発揮しています。
監督は『グッドワイフ』『ロマンスは別冊付録』を手がけたイ・ジョンヒョ。
映画を思わせるような雄大で美しい映像美を見せ、観る人を惹きつけます。
そして、秀逸のストーリーに息を吹き込む俳優陣も超豪華。
主人公のユン・セリ役は、人気映画に数多く出演する女優ソン・イェジン。
セレブとしての着飾った時の美しさはもちろん、地味な服装でも豊かに変わる表情が印象的で、セリの心情を繊細に演じています。
リ・ジョンヒョク役を演じたのは、韓国を代表する俳優の1人であるヒョンビン。
クールで何でも完璧にこなす人物でありながら、次第に不器用な優しさを見せるジョンヒョクを魅力的に演じ、話題を呼びました。
また、彼の婚約者のソ・ダン役には期待の若手女優ソ・ジヘ。
セリのお見合い相手で詐欺師のク・スンジョン役にはキム・ジョンヒンが起用されています。
『愛の不時着』では、注目の俳優陣がメインキャストを務めていることに加えて、様々な過去の作品のカメオ出演が実現していることでも話題です。
誰がどんな役どころで出演しているかにも注目してみてください。
リアルな背景に描かれる王道なのに新鮮なストーリー
そして、ドラマの核となるロマンスは「現代版ロミオとジュリエット」と呼ばれているように、韓国ドラマによくある王道のストーリーです。
ですがそのストーリーに引き込まれる鍵は、人物像の新鮮さにあります。
セリは財閥の令嬢でありながら、自身も経営に長けたやり手の実業家です。
自分の恵まれた立場に甘んじることなく、自分の力で前へ進んでいく姿は、自立する現代の女性像と重なります。
対するジョンヒョクは、口数が少なくて男らしさがある、古き良き男性像を体現。
時にお茶目な姿を見せることもあり、セリとの出会いで変化する様子に多くの女性がときめいています。
このように現代人が納得できて現実味を感じる設定を加えることで、親しみあるストーリーを用いながらも韓国ドラマに新たな風を吹き込みました。
そして本作で特に注目したい点が、北朝鮮とそこに住む人々、そして韓国との関係をリアルに描いているところです。
北朝鮮を舞台にしているため、放送当初は現実味のない内容になってしまうことが懸念されました。
しかし、脚本のアシスタントに北朝鮮出身者を採用し、意見を演出に反映させています。
方言や服装のみならず、度々出てくる不穏な様子も、北朝鮮で実際に起こっていることです。
ドラマを観た多くが、細部まで作り込まれていることを感じたほどの出来栄えだそう。
70年にわたり解決されない南北統一問題の現実を浮き彫りにし、セリとジョンヒョクの恋がいかに難しいものであるかを、鮮明に伝えてきます。
主題歌「Flower」が甘く心に沁みる
『愛の不時着』の世界観を伝える主題歌は、ユン・ミレが歌う『Flower』です。
ユン・ミレは、ヒップホップ界の女王として知られる人気歌手。
彼女がOSTに参加したドラマは軒並みヒットするとして「OSTクイーン」という称号を得ている人物です。
曲をリードするエレキギターの幻想的でロマンチックな音色は、自由でありながら儚さのあるドラマのイメージを構築。
続く壮大なメロディに向けて、聴く人の心を盛り上げます。
そして、ジョンヒョクの心を花に例えた詩的な歌詞。セリが抱き始めた淡い想いを表現しているようです。
細かいビブラートを特徴とするユン・ミレの存在感ある歌声で、歌詞に込められた心情を切なくも力強く届けてくれる名バラードです。
1曲だけじゃない?ストーリーを彩る名曲が満載
実は韓国ドラマは、OSTと呼ばれる主題歌や挿入歌を含めたサウンドトラックが充実しています。
『愛の不時着』では、全16話で使われている曲がそれぞれ異なります。
ドラマが放送されるごとに全11曲が公開され、どの曲も韓国の主要配信チャートの上位にランクインし話題となりました。
ドラマの世界観を多面的に彩り、甲乙つけがたい魅力を放つ10の楽曲を、動画つきで簡単に紹介します。
最初に公開された曲が、10㎝(シプセンチ)の『偶然のような運命』。
シンプルなピアノの演奏から、様々な音の重なりで展開していくメロディが生む世界観に聴き惚れます。
ドラマの軸となる偶然と運命の両面を描いた温かな歌詞を、ゆったりとした独特な歌声で心地よく耳に残してくれる曲です。
『Flower』に続いて公開された3曲目は、DAVICHII(ダビチ)の『夕焼け』。
温かみのあるアコースティックの楽器による演奏と、モダン・ロックを掛け合わせた心に沁み入るメロディに魅了されます。
つらい気持ちを包み込む歌詞を、2人の圧倒的な歌唱力で切なく演出している曲です。
4曲目は、ペク・イェリンの『再び私は、ここ』。
特徴的なのは、ピアノを中心とする繊細さと力強さを兼ね備えたメロディ。
伸びの良い高音域を持つハスキーな歌声が、恋しさに苦しみながらも想いを高めている歌詞とよくマッチしています。
5曲目は、キム・ジェファンの『ある日には』。
大切な人のそばにいたいという切実な歌詞を、ビブラートの効いた歌声で熱烈に歌い上げます。
ピアノとストリングスを用いたシンプルな演奏により、歌声の美しさが強調された楽曲です。
6曲目は、ソン・ガインの『私の心の写真』。
静かに語りかけるようなピアノの演奏で、ノスタルジックに広がるメロディが胸に迫ります。
2人でいた時の幸せを噛み締めるセリの心情を表した歌詞を、厚みのある優しい歌声が情感豊かに歌い上げるバラードです。
7曲目は、April 2nd(エイプリルセカンド)の『懐かしき丘』。
もう会うことはできない大切な人を想う、ギョンヒュクの心情を描いた歌詞を、中性的な歌声でしっとりと歌っています。
ギターとチェロがメインの穏やかなメロディに癒される曲です。
8曲目は、セジョンの『すべての私の日々』。
透明感ある表情豊かな歌声で、セリとジョンヒョクのストレートな想いを乗せた歌詞を丁寧に伝えます。
前半は控えめだったメロディに、徐々にギターなどの音が加わり、勢いが増していく様子が魅力です。
9曲目は、ソ・スビンとキム・ソヒによるデュエット曲の『好き』。
アコースティックギターのリズム感の良い音色が、キュートな明るい雰囲気を作っています。
心を開いた2人の「好き」という気持ちの詰まった歌詞が、和やかに歌い上げられる男女デュエットらしい良さを感じる曲です。
10曲目は、CRUSHの『二人だけの世界へ』。
多彩な音を効果的に取り入れた幻想的なメロディが、しっとりと響いて心に残ります。
そこに甘く伸びやかな歌声が重なり、ロマンティックな愛の歌詞をムード満点に聴かせるバラードです。
最後の曲は、IUの『心を差し上げます』。
口笛から始まるのが印象的で、ピアノとアコースティックギターの落ち着いたメロディに引き込まれます。
切実な想いを表す歌詞を柔らかい歌声で表現し、感動的な余韻をもたらす曲です。
「愛の不時着」は新たな韓国ドラマの定番に!
本場韓国を飛び越えて、日本でも注目を集めている『愛の不時着』は、フィクションとリアルを見事に一体化させた現代ならではの作品です。
ロマンスだけにスポットを当てたメロドラマではありません。笑いあり、涙あり、アクションありの重厚な内容で、韓国ドラマファンもそうでない人も思わずのめり込んでしまいます。
境遇や立場を差し置いてでも、愛し続けたいと思える人がいることの素晴らしさを感じられるでしょう。
数々の名作を生む韓国ドラマの新定番になるであろう『愛の不時着』の珠玉のラブストーリーを、ぜひ堪能してください。
TEXT MarSali