tricotは超絶実力派!世界を股にかける活躍とは
tricot(トリコ)というバンドをご存知でしょうか。
ボーカル・ギターの中嶋イッキュウは、川谷絵音などを擁するバラエティ色豊かなバンド「ジェニーハイ」にボーカルとして抜擢されました。
大人っぽく、エモーショナルな声質と歌唱力の高さが話題になりましたね。
そんな彼女が所属するtricotは、ギターのキダ モティフォ、ベースのヒロミ・ヒロヒロ、ドラムの吉田雄介を加えた4人編成のロックバンドです。
リズムを敢えて崩すようないわゆる変拍子のビートに先の読めないスリリングな展開を織り交ぜたそのサウンドは唯一無二。
演奏難易度の高い楽曲も軽々と弾きこなして見せるメンバーの実力も魅力の一つです。
特にサウンド面で注目したいのがキダ モティフォの奏でるギター。
2019年に電撃復活を遂げた、日本が誇る伝説のバンド「NUMBER GIRL」ギターの向井秀徳のサウンドに影響を受けたと語る彼女。
その鋭利さとふくよかさを両立させたような日本らしい音色の完成度は飛び抜けて抜群です。
また、ガツガツと刻むようなリズムギターから軽やかに飛び回るようなリードギターまでをカバーするスタイルの幅広さも彼女ならではのもの。
まさに変幻自在なプレイが常に楽曲の隅々まで行き届いています。
そして、ベースとドラムのリズム隊の安定感も忘れてはならない魅力の一つ。
繊細ながら大胆な強弱で聴き手を飽きさせない吉田雄介のドラムに、正確なリズム感で低音を載せるヒロミ・ヒロヒロのベースのタッグは、バンド全体が打ち出す独自のビートを牽引しています。
デビュー以来その存在感は音楽シーンの中でも一際光を放っており、バンド結成2、3年目にして多くの大型ロックフェスへの出演を経験。
さらにサウンド重視の楽曲構成ゆえの、グローバルな聴きやすさから海外でも多くのファンを獲得。
世界を股にかけてライブツアーを行うほどの人気バンドへと成長しました。
変幻自在のビートに酔いしれる、オススメの3曲
確かな演奏力と唯一無二のサウンドでグローバルな人気を獲得しているtricotは2010年にバンドを結成して以来精力的に活動を続け、2020年現在まで4枚のアルバムを発表。
今回はそんなtricotのディスコグラフィに溢れる名曲の中から厳選したオススメの3曲を紹介します。
▲tricot『夢見がちな少女、舞い上がる、空へ』MV
結成後2年目という若々しさの中2012年に発表した『夢見がちな少女、舞い上がる、空へ』。
日本語ロックとしての誇りを感じるようなキレのある中嶋イッキュウの語りからAメロがスタートし、高い爆発力を持ったノリノリなサビへとなだれれ込んでいく構成が見事な一曲で、バンドの類稀なる才能を堪能することができます。
やはり聴きどころは中嶋イッキュウのエモーショナルな歌声。
儚さを携えつつも、クールな存在感を崩さない声質で楽曲の持つ文学性の高いメッセージを聴き手に届けています。
また、中盤に訪れる「三三七拍子」のリズムも聴き手をワクワクさせるポイントの一つ。
シリアスな疾走感と、軽やかなアレンジの楽しさが同居したtricotの個性を的確に表した瞬間と言えるでしょう。
ブームに乗って
▲tricot - On the boom | Audiotree live
2018年のシングル『potage』のカップリングとして発表された『ブームに乗って』。
世界中から注目のアーティストを招き良質なスタジオライブを収録・配信するYouTube企画「Audiotree」にて日本出身アーティストとしては初となる出演を果たした際にも、セットリストの1曲目で披露されました。
2017年より加入し、当時新メンバーであった吉田雄介によるドラムの存在感が楽曲全体を支配しており、細部まで考え抜かれた変拍子の構成を鮮やかなテクニックで牽引していきます。
加えて中嶋イッキュウの存在感はもちろんのこと、華麗にコーラスワークをこなしながら複雑なリフを弾きまくるキダ モティフォのギターも魅力の一つ。
活動を重ねてたどり着いた「鋭くも柔らかい」極上のトーンをまとったその音色は、まさに現代邦楽ロックの最先端を彩るサウンドと言っても良いでしょう。
真っ黒
▲tricot「真っ黒」Music Video
2020年1月、メジャーデビュー初アルバムとして発売された同名のアルバムに収録の『真っ黒』。
現在進行形のtricotを堪能できる最新曲となっています。
ドラムのビートから一瞬の静寂を経て突入するクールなイントロからは、新たなtricotの始まりを象徴するような自信と新鮮さが感じられますね。
徹底して鋭いギターサウンドの追求を貫いてきた中嶋イッキュウ、キダ モティフォの二人ですが、今回の『真っ黒』では今までのイメージとは真逆をいくような温かみのあるギターサウンドを採用。
今までのどの時期にもない新たなtricotの魅力を生み出しています。
MVではタイトルの通り「黒」が象徴的に使われ、楽曲そしてアルバムを牽引する作品としての圧倒的な存在感を放っています。
2020年代もtricotがロック界をかき乱す!
独自の音楽性で今や海外でのツアーを成功させるほどの人気バンドへと成長したtricot。
しかしキャリアを積み重ねてもなおサウンドの中心にしっかりと根付いている「リズムの追求」や「クールな魅力」といった要素は全く衰えていません。
2020年にはメジャーデビューを果たし、今後もさらに活躍の舞台を広げていくことが期待される彼女たち。
唯一無二の魅力を持った楽曲の数々が今後さらに多くのファンを「虜」にしていくことでしょう。
今後もtricotの活動から目が離せませんね。
TEXT ヨギ イチロウ
tricot(トリコ)は、中嶋イッキュウ(Gt,Vo)キダ モティフォ(Gt.Cho)ヒロミ・ヒロヒロ(Ba.Cho)吉田雄介(Dr)による京都発のロックバンド。
2010年、中嶋イッキュウ、キダ モティフォ、ヒロミ・ヒロヒロの3人で結成。直後に自主レーベル「BAKURETSU RECORDS」を立ち上げる。8月に1stミニ・···