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「フラガール」フラダンスで地元を救え!実話を基にした感動作

2006年に公開後、日本中を感動させた映画『フラガール』。炭鉱の町に住む地元の少女たちがフラダンスで町を活気づけていく感動ストーリーです。この記事では本作のモデルとなったフラガールたち、そして映画の魅力を紹介します。

実在する日本唯一のフラガール養成学校が舞台


2006年に公開された映画『フラガール』は、福島県いわき市にある「スパリゾートハワイアンズ」を舞台にした作品です。

活気を失った炭鉱の町が、町おこしのために計画したレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」。

そこの目玉であるフラダンスショーの立ち上げに関わったダンス講師と、地元の炭鉱娘たちの葛藤と成長が描かれたストーリーとなっています。

フラガールのモデルとなったのは「常磐音楽舞踊学院」です。

「常磐音楽舞踊学院」は日本唯一のフラガール養成学校であり、新人のフラガールは常磐興産の社員として入社すると同時に常磐音楽舞踊学院に入学し、2年間ダンスを学びます。

卒業後は1人のプロダンサーとして認められ、スパリゾートハワイアンズと契約。

ソロダンサーに選ばれると、ハワイアンネームが授与されます。

映画『フラガール』は公開後、口コミで評判が広がり大ヒット。

最終的には観客動員130万人、興行収入15億円超えを記録しました。

「第80回キネマ旬報ベストテン」で日本映画第1位、「第30回日本アカデミー賞」では最優秀作品賞など、数々の映画賞を受賞。

日本中にフラガール旋風を巻き起こしました。

フラダンスで廃れかけた町を立て直す!


昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町・常磐。時代の移り変わりで閉山が相次ぎ、町の活気は失われていました。

そんな廃れていく町を救うため、町おこしのために地元の温泉を利用したレジャー施設「常磐ハワイアンセンター」が作られました。

その施設の目玉は、フラダンスショー。

地元でフラダンスショーのダンサー募集が行なわれますが、集まったのは盆踊りしか知らない炭鉱娘たちばかりでした。

そこにフラダンスの教師として東京からやってきたのが、元花形ダンサーの平山まどか。

果たして平山は、ダンスど素人の炭鉱娘たちを無事一人前のダンサーに育てることができるのかーーー?

フラダンスで町を救った、感動の実話です。


本作の見どころは、フラガールたちを指導する主人公・平山まどかを演じる松雪泰子と、蒼井優、山崎静代、徳永えり演じるフラガールたちのダンスシーン。

初めはまったく踊れなかった田舎の少女たちが、平山の厳しいレッスンにより、1人のダンサーとして成長していく姿は感動ものです。

実際にキャスティングされた役者陣も、実話のフラガール同様に数ヶ月に渡って、一からフラダンスのレッスンを受けて撮影に臨んでいます。

本作品はもともとは舞台となった「常磐ハワイアンセンター」の創設者・中村豊を主人公にドキュメンタリー作品が制作される予定でした。

しかし、プロデューサーの石原仁美が取材をしていくなかでフラガールの存在を知り、ダンス教師とフラガールの舞台に立つまでの感動ストーリーを描くことにしたのです。

本作で大注目!炭鉱娘を演じる蒼井優


主人公は松雪泰子が演じた、フラガールたちを指導したダンス教師・平山まどかです。

廃れかけている田舎で地元の人から反対されながらも、フラダンスを情熱をかけて教える姿に胸を撃たれました。

平山のモデルとなっているのが、常磐音楽舞踊学院最高顧問のカレイナニ早川。

その他にも、当時はまだ新人だった蒼井優や徳永えり、さらにはお笑い芸人・南海キャンディーズのしずちゃんこと、山崎静代がフラガールとして出演しています。

<キャスト一覧>
平山まどか:松雪泰子
吉本紀夫:岸部一徳
谷川紀美子:蒼井優
木村早苗:徳永えり
熊野小百合:山崎静代
谷川洋二朗:豊川悦司
谷川千代:富司純子


とくに蒼井優は本作の出演での演技が高く評価され「第30回日本アカデミー賞」で最優秀助演女優賞を受賞しました。

山崎静代も本作が女優初作品ながら、それを感じさせない演技で注目を浴びます。

本作の監督を務めたのは、映画『悪人』の李相日(り・さんいる)。

昭和40年の廃れた炭鉱の町と華やかできらびやかな常磐ハワイアンセンターの世界観を作りあげたのは、映画『パッチギ!』で撮影を担当した山本英夫と、映画『キル・ビル』の美術を担当した種田陽平。

また舞台となった地元・いわき市も撮影に協力しており、地元のシンボル的作品となっています。

英語版と日本語版で歌われる主題歌


映画『フラガール』の主題歌『Hula Girl』を担当したのは、ウクレレ奏者で作曲家のジェイク・シマブクロ。

歌唱は英語版と日本語版とあり、英語版はジェニファー・ペリ、日本語版を照屋実穂が担当しています。

作詞作曲を担当したジェイク・シマブクロは、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル出身の日系5世のアメリカ人。

4歳からウクレレを始め、高校卒業後にはPURE HEARTというバンドでデビューしました。

ハワイのグラミー賞と呼ばれる「ナ・ホク・ハノハノ・アウォーズ」で、新人賞や最優秀アルバム賞などを受賞し、注目を浴びました。

その後はソロとして活動を始め、2007年に本作の音楽を手掛けました。

▲3分で分かるジェイク・シマブクロの15年

英語版の歌唱を担当したジェニファー・ペリは、アメリカ合衆国ハワイ州ホノルル出身の歌手。

アメリカ人の父と日本人の母を持つバイリンガルで、幼いころからハワイのテレビやミュージカルに出演していました。

2001年に日本とハワイでアルバムデビューをします。

本作の英語版歌唱では、ジェイクに実力を認められ抜擢。

また、映画の劇中歌『WISH ON MY STAR』でも歌唱を担当。主題歌同様に、伸びやかでさわやかな歌声を披露しました。


日本語版の主題歌を担当しているのは、シンガーソングライターの照屋実穂。

幼いころから歌うことが大好きだった彼女は、大学時代から作詞作曲活動を始めます。

2003年「Sony Players Audition」で、自作曲『雨のことば』が萩原健太賞を受賞。その後、ピアノ弾き語りでライブ活動を始めます。

2006年には、透き通って艶のある彼女の歌声にジェイクが惚れこみ、主題歌の日本語版の歌唱に抜擢されたことで注目を集めます。

一時活動休止をしていたが現在は活動を再開しており、育児を通して知った童謡の素晴らしさを広めるため、童謡のカバー曲を中心としたアルバムをリリースしています。

とくに日本語版「Hula Girl」はおすすめ!

英語版と日本語版、どちらの主題歌も素晴らしいですが、ここでは日本語版の魅力を紹介しましょう。


照屋が歌う『Hula Girl』には、映画の舞台となった炭鉱の町・常磐やそこに住む人々、そして彼らが目標としたハワイの風景や想いが込められているように感じます。

とくに印象的なのが繊細だけど伸びやかで、すべてを優しく包み込んでくれるような高音のメロディー。

しかも日本語版の訳は、照屋本人が手がけたとのこと。

ぜひ美しいメロディーとともに、彼女が訳した歌詞にも注目して聴いて欲しいです。



復興のシンボルとなったフラガール


日本中にフラガール旋風を巻き起こし、感動させた映画『フラガール』。

地元のシンボルになった彼女たちですが、2011年3月11日に悲劇が起きます。

東日本大震災により舞台となった福島県いわき市は、地震や津波被害だけでなく、原発事故の風評被害に苦しみます。

スパリゾートハワイアンズも大きな被害を受けました。

そこで立ち上がったのが、当時在籍していたフラガールたち。

地元の人を、日本中の人を勇気づけたい……。彼女たちフラガールは、46年ぶりに全国キャラバンを復活するのです。

▲映画『がんばっぺ フラガール!』予告編

2011年10月には、当時のフラガールの活動を記録したドキュメンタリー映画『がんばっぺ フラガール!~フクシマに生きる。彼女たちのいま~』が公開されました。

歴代フラガールたちの意思を受け継いだ、現代のフラガールたちの強い決意が描かれた作品をぜひご覧ください。


TEXT あるこ

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