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笑って泣いて、心が動く傑作映画
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悲しい時、嬉しい時、思う存分泣いたり笑ったりしたくなりませんか?
自分の気持ちを我慢せず思いっきり泣いて笑える映画、それが『パコと魔法の絵本』です。
主人公・大貫(役所広司)は、ひどいかんしゃく持ちの老人。
かつては、ひとりで会社を立ち上げ、大企業に成長させた敏腕社長でした。
そんな彼は、今や入院先の病院で患者に当たり散らす嫌われ者です。
ある日、大貫は記憶を1日しか保てない少女・パコ(アヤカ・ウィルソン)に出会い、自分の考えを改めます。
彼女の記憶に残ることがしたい。
大貫は病院スタッフ・入院患者達を動かし、全員で劇をすることを提案します。
絵本を開いた時のワクワクが伝わってくる劇中劇、自分本位だった主人公が少女に尽くす姿は感動もの。
たった1人の子が人の心を豊かにする過程の描写、絵本の主人公と大貫との対比。
各々の背景の掘り下げが上手く、見入ってしまう魅力あふれる映画、それが『パコと魔法の絵本』なのです。
一人の少女と絵本が紡いだ奇跡の物語
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原作は、舞台『MIDSUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人』。
舞台『ダブリンの鐘つきカビ人間』『人間風車』を産み出した後藤ひろひとが手がけ、個性あふれるキャラクターが繰り広げるコメディと感動に溢れたステージで高く評価されてきました。
2004年の初演以来、4回にわたり公演され、2008年に映画化。
『下妻物語』や『嫌われ松子の一生』などの監督を手がけた中島哲也がメガホンをとり、3DCGと実写を駆使したビビッドでユニークな映像に仕上げました。
興行収入は、23.6億円を記録。
大人から子どもまで幅広い世代の心を掴み、感動の渦を巻き起こした作品です。
仕事中に心臓の発作で倒れた大貫は、甥・浩一の妻が働く病院に入院中。
他の患者たちは、ヤクザや消防車にひかれた消防士、オカマ、自殺行為を繰り返す元人気子役など個性的な人ばかり。
大貫は、そんな世間のはぐれ者達と一緒にいることに嫌気がさし、彼らに当たり散らしていました。
病院に居場所がなく嫌われ者の大貫は、天真爛漫な少女・パコの頬を叩いてしまいます。
パコは、交通事故の後遺症で記憶が一日しかもたず、眠ると次の日の記憶が失われてしまうというのです。
「ねえおじさん、前にもパコのほっぺに触ったよね?」
彼女の優しさに触れ、申し訳なくなった大貫は、彼女が母から貰った大切な絵本を毎日読み聞かせることにしました。
その絵本の名は『ガマ王子VSザリガニ魔人』。
ワガママで他人を傷つけてきたカエルの王子・ガマ王子が自分の非礼を反省しながら、水中を脅かす悪人・ザリガニ魔人と戦う物語です。
ガマ王子と自分を重ねた大貫は彼女のために、絵本を元にした舞台を企画します。
この映画は、昨日を忘れてしまう少女の心に特別な思い出を残そうとした、大人たちの心温まる奇跡の物語です。
有名俳優勢ぞろい!ハチャメチャで温かい登場人物達
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まるで童話のようなファンタジックな世界観に、個性が強いキャラクターが登場するユニークな作品『パコと魔法の絵本』。
出演俳優陣の豪華さと奇抜な衣装・メイク、熱演にも注目してください。
大貫を演じるのは、役所広司。
毎朝暗いうちから現場に入り、3時間かけてメイクを施していたそうです。
「これだけの扮装があれば、歩き方や喋り方をおじいさんぽくする必要はない」と語るほど偏屈じいさん・大貫をダイナミックに力強く演じています。
彼に影響を与えた少女・パコ役は、アヤカ・ウィルソンが担当。
NHK Eテレの『えいごであそぼ with Orton』で厚切りジェイソンの助手・アヤカとして出演中のカナダ人ハーフタレントです。
天使のように可愛く、無垢な演技がチャーミング。
大貫でなくとも彼女のために何かしてあげたいと思いたくなるほど、素直で愛らしいパコをナチュラルに演じています。
当時12歳だった彼女はパコ役で、日本アカデミー賞新人俳優賞を史上最年少で受賞しました。
他にもアクの強いキャラクターを豪華俳優達が演じ、物語をカラフルに彩ります。
子役時代の演技から脱却できず、自殺未遂を繰り返す元俳優の室町(妻夫木聡)
消防車にひかれた間抜けな消防士・滝田(劇団ひとり)
ジュディ・オングが大好きなオカマ・木之元(國村隼)
銃で撃たれて入院してきたヤクザ・龍門寺(山内圭哉)
イタズラ大好きな堀米(阿部サダヲ)
ピーターパン気取りの医者・浅野(上川隆也)
タトゥー入りの看護師・タマ子(土屋アンナ)
強面だけどお金に弱い看護師・雅美(小池栄子)
雅美の天然オトボケ亭主・浩一(加瀬亮)
俳優陣のぶっ飛んだ演技をこれでもかと個性的に描き出すストーリーと演出に釘付け。
パコの笑顔のために、自分と向き合いながら力の限り頑張る人たちの姿に勇気と元気が貰えます。
一度見たら、ハチャメチャだけど温かい登場人物達に心洗われるはずです。
変わろうと思えば何歳だって変われる!
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横暴な主人公が考えを改めるストーリーは王道ですが、俳優陣の演技力と絵本のような鮮やかな演出に引き込まれます。
特に大貫は、自分の中に芽生えつつあるパコへの献身的な愛情への戸惑いや、クライマックスで動揺する姿は、さすがと言いたくなるほど。
登場人物達がそれぞれ劇に向かうまでのドラマも、心洗われる展開満載で心が揺さぶられっぱなしです。
絵本と何度もリンクし、登場人物それぞれが絵本の主人公・ガマ王子と同じように一歩踏み出していきます。
劇を通して役と自分と向き合う登場人物達。
彼らの成長を見ていると「変わろうと思えば変われる」「進もうと思えば前へ進める」と思えてくるでしょう。
また、彼らが紡ぎ出す劇の世界をフルCGで描かれたカラフルなキャラクター達が動き回り、無邪気に楽しむパコと同じ気持ちが味わえますよ。
童心にかえってワクワクドキドキできるアニメーションにも注目です。
主題歌は木村カエラのハートフルポップナンバー!
主題歌『memories』を歌うのは、木村カエラ。
2009年に、代表曲『Butterfly』で紅白歌合戦に出場した人気実力派シンガーです。
彼女の楽曲はすべて自身で作詞しており、メッセージ性の高い歌詞に共感するファンが多く存在します。
『memories』は、この映画を見て感動した彼女が、子供に分かる言葉で映画の世界観を表現したくて作った楽曲。
他者への思いやり、信じる心など、大人になると薄れてしまうものを取り戻せるような歌詞を心がけて作ったそうです。
遊園地で流れるマーチ風のポップなメロディーと、弾むような木村カエラのボーカルは、聴いていて楽しい気持ちになってきませんか?
まるで童謡のようにメロディーがキャッチーで楽しくて、何度も口ずさみたくなりますね。
歌詞も「ボクがカギをかけた やさしさの宝箱 開いてみて気がついたよ 今までごめんね」「君がいるおかげで 花が咲いたよ 覚えていようよ 今日の日のことを」のようにパコと出会って優しくなれた大貫の気持ちとリンクしたフレーズが盛り込まれていて、聴いているだけで映画のワンシーンが目に浮かんでくるでしょう。
エンディング映像も、ガマ王子のアニメと強烈な登場人物達の見せ場が賑やかで観ていて楽しい気持ちにさせてくれますよ。
ファンタジックな映画に相応しいおもちゃ箱のように楽しくてハートフルな楽曲です。
観たら心洗われる!自分の良さを思い出せる
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『パコと魔法の絵本』は、感動ストーリーですが、元気と笑いを貰えて、ありのままの自分らしさに気付ける作品です。
キャラは全員個性が強烈ですが、不可思議な調和力でファンタジックな世界感を醸していて、純真なパコを筆頭にぐいぐいと世界観に引き込まれますよ。
疲れた時、元気がない時、自分に自信がもてないとき、楽しい気持ちになりたい時、そんなときはこの映画を観て思いっきり泣いて、笑ってみてください。
観たらきっと、絵本を読んだときのように子どもの頃のピュアな気持ち、勇気や優しさを思い出させてくれることでしょう。
ぜひ『パコと魔法の絵本』を観て、心温まる体験をしてみてくださいね。
TEXT Asakura Mika