閉鎖的な教室で繰り広げられる生存競争
和田たけあきという名義でも活動するボカロP、くらげP。『わたしのアール』のような切ない曲や『ビースト・ダンス』のような皮肉を込めた激しい曲など様々な雰囲気の楽曲を生み出した、人気ボカロPです。
そんなくらげPが初めて100万再生を達成した楽曲が『チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!』。
主人公はなぜそんなにも罪を罰そうとしていたのでしょうか?
MVで描かれている結月ゆかりを主人公の少女として歌詞を考察していきましょう。
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ザッと数えて四十名 みんなが目を光らせる
どんな小さな罪も 見逃さないように
≪チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ! 歌詞より抜粋≫
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舞台は約40人の生徒が在籍しているクラス。
みんなが目を光らせお互いがお互いを監視していました。
その中でも少女は委員長や生徒会役員のような立場だったのでしょうか。
MVでは文字は書かれていませんが腕章をつけています。
もしかしたら少女はその監視を先導していたのかもしれません。
誰かがぼろを出し、密告する機会を虎視眈々と窺っています。
しかしそれは他の生徒も同じで、気を抜いたら自分も密告されて蹴落とされるかもしれない、そんな張り詰めた空気の教室でした。
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そうよ、絶対に本心は隠しきる。蹴落とすの。
わたしひとりだけ生き残るため!
≪チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ! 歌詞より抜粋≫
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そんな緊張感漂う教室で少女は上手く生き残っていました。
この隠しきる本心とは、自分以外を全て悪として密告し、最終的に自分ひとりだけ生き残りたい、というものでしょう。
他の生徒に感づかれたら真っ先に標的にされそうな本心をひた隠しにしながら少女は今日も誰を悪として密告できるか目を光らせていました。
正しいのは自分だと妄信する少女
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さァ!さァ!密告だ!先生に言ってやろ!
ほらほらこんなに 悪いやつらがひ・ふ・み・よ
さァ!さァ!抹殺だ!悪い子退場だ!
最後のひとりになるまで終わらないわ
チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!
≪チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ! 歌詞より抜粋≫
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標的を見つけると嬉々として少女は先生に密告します。それも1人や2人などではなく、4人以上を密告して退場、おそらくは退学させたのでしょう。
最後のひとりになるまで終わらない、という辺り何が何でも自分を除く全員を退場させたいという思いが見えますね。
----------------先ほどの密告から10人程度が退場させえられています。
ちょっと減ったわ三十名 閉鎖空間教室
緊張が走って ビリビリきちゃうわ
≪チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ! 歌詞より抜粋≫
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他のクラスメイトが別の人を密告した可能性もありますが、誰かがぼろを出したらすぐに密告する少女の行動力を考えるともしかしたら全て少女が退場させたのかもしれません。
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さァ!さァ!密告だ!先生に言ってやろ!
狂った頭にメスを入れたげる
≪チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ! 歌詞より抜粋≫
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少女はまた誰かがぼろを出したのを嬉々として密告します。
メスを入れてあげる、といっていることから自らの行いは正義で、あくまで悪い人を罰して正してあげている、と思っているようです。
密告を聞く側もされる側に
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さァ!さァ!密告だ!先生に言ってやろ!
あらまあ もう、いないの?クラスメイトはゼロ名
さァ!さァ!抹殺だ!先生もやってやろ!
最後のひとりになるまで終わらないわ
≪チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ! 歌詞より抜粋≫
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密告を続けた果てにクラスは遂に自分ひとりになりました。
笑顔のときは無邪気そうな表情だった少女は、初めて歪んだ笑顔を見せます。
自らを密告する悪い人もいなくなったため取り繕う必要も無くなった、ということでしょう。
しかしクラスメイトは居なくなりましたが教室にはまだ先生がいました。これでは最後のひとり、とは言えません。
最後のひとりになるため、先生のことも更に立場が上の学年主任や校長に密告し、教室には本当に少女だけとなりました。
少女の目的は本当に達成されたのでしょうか?
もしかしたらその後、自らは正義であると妄信する少女による制裁は学校全体に及んでいったのかもしれませんね。
TEXT Noah