魅力あふれる物語で愛を描くファンタジー!
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2004年に公開された、スタジオジブリ制作の長編アニメーション映画『ハウルの動く城』。
イギリスのファンタジー小説「魔法使いハウルと火の悪魔」を原作に、オリジナル要素も盛り込んで新しいエンターテインメント作品に仕上げています。
その人気は国内に留まらず、2008年の英エンパイア誌の「史上最高の映画500本」に選出されるほど高い評価を受けています。
子供から大人まで引き込まれる映画『ハウルの動く城』の人気の理由を紐解きます。
呪われた少女と魔法使いが世界を変える物語
父親の遺した帽子屋で働く18歳の少女・ソフィーは、生真面目な性格で退屈な毎日を過ごしていました。
そんなある日、町で2人の兵士に絡まれているところを、魔法使いの青年・ハウルに助けてもらいます。
ハウルは若い女性の心臓を食べるという噂のある人物ですが、ソフィーは彼の優しさと美しさに一瞬にして心を奪われます。
しかし、彼女の元にハウルを追う荒地の魔女がやってきて、呪いによって90歳の老婆にされてしまいました。
その姿で家にいることはできないため、彼女は帽子屋を飛び出してハウルの城に転がり込みます。
そこで出会ったのは、ハウルの幼い弟子・マルクルと炎の姿をした悪魔・カルシファー。
暖炉に縛られているカルシファーは、自分にかけられた呪いを解いてくれるならソフィーの呪いも解いてやると、彼女に取引を持ちかけてきます。
結局、ソフィーはハウルの城で掃除婦をすることに決め、彼らの身の回りの世話を始めることに。
そうして次第に心を通わせていきます。
一方、国は戦争の真っ最中。
ハウルも王の命令によって駆り出されることになり、そのことをきっかけに事態は思わぬ方向へと進んでいきます。
明らかになる様々な謎の真相と結末に、胸がじんわりと温かくなるファンタジー作品です。
豪華キャストによる声の演技に引き込まれる
『ハウルの動く城』では、豪華キャストが声優を務めたことでも話題となりました。
主人公のソフィー役を演じたのは、昭和を代表する名女優・倍賞千恵子です。
若者から老婆へと変化するという難しい役を1人でこなし、かわいさと美しさを声だけで見事に表現しています。
ハウル役を担当したのは、木村拓哉です。
自信に満ちているのに人間臭い弱さも見せるハウルの不安定な心を繊細に演じ、ジブリ1のイケメンキャラクターとして定着しました。
他にも、荒地の魔女役に美輪明宏、マルクル役に神木隆之介、カルシファー役に我修院達也など、数々の俳優を起用。
普段は全身で演技をする俳優たちが演じる声の演技に注目です。
世代を超えて楽しめる美しくもユニークな世界観
映画『ハウルの動く城』の大きな見どころの1つとして、ストーリーを支える美しい世界観が挙げられます。
19世紀のヨーロッパの風景を反映し、石畳の街道や木造建築様式の建物、のどかな草原など懐かしさを感じる景色がベースとなっています。宝石などの煌びやかなアイテムが随所に出てきて、幻想的な雰囲気を増していることもファンタジーらしいです。
世界観を感じる上で欠かせない存在となっているのが、主人公たちの生活の拠点となる「動く城」。
ガラクタを集めてできた巨大な城は、怪物にも見える外観をしてます。
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しかし、カルシファーのいる暖炉や物であふれたハウルの部屋など、内装は意外にもよく整えられています。
魔法で他の空間に繋がるドアは、観る人にとっても夢が広がるでしょう。
鶏の足のような4本足で移動する際には、今にも壊れそうなきしむ音が鳴り響き、見た目だけでなく音にもこだわって作られているそうです。
現実と幻想が合わさったようなこの世界観が、ストーリーに引き込んでくれます。
また、登場するキャラクターやストーリーに隠された多くの謎も、物語をより面白くしてくれています。
その筆頭は、呪いで老婆に変えられたはずのソフィーがシーンによって少女の顔に戻ること。
じっくり観ていくと、その変化が彼女の発する言葉がきっかけとなっていることが分かります。
かけられた呪いの真実と言葉の強さが見えてきて、物語の深さに気付かされるはずです。
また、ソフィーとハウルの関係の変化も見逃せません。
はじめはうまく噛み合わなかった2人が、徐々に心を通わせていく様子に多くの人が胸を打たれました。
その2人の関係も、真相が明らかになった時にきっともう一度初めから観たくなるでしょう。
言葉でははっきりと明言されない謎の答えを探しながら観ると、より楽しさが広がりますよ。
明るい別れを描く主題歌「世界の約束」
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『ハウルの動く城』の主題歌は、ソフィー役を務めた倍賞千恵子が歌う『世界の約束』です。
「千と千尋の神隠し」の主題歌を担当したことで知られる木村弓が作曲し、詩人の谷川俊太郎が作詞を担当しました。
この曲は、もともと木村弓のアルバムに収録されていた曲です。
曲を聞いた宮崎駿監督が気に入ったため、主題歌として起用させることになりました。
大切に思っていた人との別れの歌をイメージして作られた曲ですが、歌詞には前向きな想いが垣間見えます。
別れた後をどうするかを重視して書かれたそうで、人との別れの先にある人と世界の繋がりが表現されています。
ピアノの優しく雄大な演奏は、歌詞の想いに寄り添うような温かみを感じます。
別れの切ない気持ちを包み込む、癒しのメロディとなっています。
そして、倍賞千恵子の美しく豊かな声が切々と歌い上げ、映画のストーリーの儚さや穏やかさと相まって、心に沁み込んできます。
決して避けられない別れにもある希望に目を向けさせてくれる名曲です。
映画「ハウルの動く城」は自信を持つ意味に気付かせてくれる!
ジブリ映画の中でも高い人気を誇る『ハウルの動く城』は、独特な世界観とストーリーの面白さに加えて、魔法を持たない主人公の言葉の強さに魅せられる作品です。
誰しもコンプレックスや不安な気持ちから、後ろ向きな言葉を使ってしまうこともあるでしょう。
本作の主人公も決して強くはありませんでしたが、自信を持って言葉を発する時には意外な力を発揮することができました。
どんな境遇でも自信を失わず前向きな言葉を使えば、不安な未来も変えることができることをこの映画は教えてくれます。
映画『ハウルの動く城』を観て、言葉が与えてくれる力の強さを感じ取ってみてください。
TEXT MarSali