子どもを中心に人気!映画「崖の上のポニョ」とは?
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「ポーニョポニョポニョさかなの子」の主題歌が有名な宮崎駿監督映画『崖の上のポニョ』。
優しい少年・そうすけと人間になりたいさかなの女の子・ポニョのピュアな感情に心洗われる作品です。
今作は宮崎駿監督が常識にとらわれない自由な発想で作った作品で、王道展開は使わず、他に類を見ないユニークな演出で勝負。
波を魚に見立て、生きている波を表現したり、独特の描写で観ていて惹かれる面白さがあります。
第32回日本アカデミー賞・最優秀アニメーション作品賞・最優秀音楽賞などを受賞し国内外で高く評価されました。
金曜ロードショーでは、頻繁に放送されており、初放送時は29.8%を記録。
その後も2桁台を維持し続けているほど人気があります。
音楽も映画も子どもを中心に愛され続けている、そんな『崖の上のポニョ』の魅力を紹介しましょう。
恋心が世界を大きく揺るがすファンタジー!
そうすけは、内航貨物船・船長の父・耕一と、デイケアサービスセンター「ひまわりの家」で働く母・リサと3人家族。
父は仕事でなかなか帰って来れず、海辺の町の一番高い崖の上にある家にリサと二人で仲良く暮らしています。
ある日、そうすけは海辺でジャムの瓶に体がはまった赤いさかなの女の子を見つけて助け出し、ポニョと名前を付けました。
ポニョは心優しいそうすけが好きになり、そうすけも可愛いポニョが大好きでした。
一度は、ポニョの父・フジモトに海へ連れ戻されてしまったポニョですが、再びそうすけのもとへ行こうと決意します。
ポニョが逃げ出そうとした時、意図しないままに解き放ってしまった魔法の力で海は大荒れ。宗介の住む町が大変なことになってしまうのです。
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混乱を治めるためには「古い魔法」でポニョを人間にし、魔法を解かないといけません。
しかしこの魔法は人間になれる代わりに、愛する人に愛されなければ海の泡となってしまうというもので、そうすけのポニョへの気持ちが問われるものでした。
さらに嵐の中、リサは「ひまわりの家」のお年寄りが心配で家を離れてしまいます。
果たしてそうすけはリサと再会し、混乱を鎮めることができるのでしょうか?
『崖の上のポニョ』は、愛が物語を動かすワクワク満載のファンタジー作品なのです。
見どころ1 ダイナミックな映像・展開
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崖の上のポニョの魅力は、大きく2つあります。
ひとつは、型にはまらないダイナミックなストーリーと演出です。
人間になる代償として思いが叶わなければ、泡になってしまうポニョの運命は童話『人魚姫』と同じですが、『崖の上のポニョ』の物語は全く違います。
ポニョの強い意志が彼女の人間になりたい夢を叶え、津波に乗って大好きなそうすけのもとへ一直線。
荒れ狂う波の上を楽しそうに走り、リサの車に迫ってくる少女姿のポニョを見ていると、恋に落ちた女子のエネルギー、一途なあまり暴走する狂気のようなものを感じさせます。
それをCGを使わず手書きでいきいきと描かれており、スタジオジブリのセンスとクオリティの高さに脱帽してしまいますね。
不思議だけどどこか惹かれるユニークな映像、ハチャメチャで先が読めない展開にぐいぐいと引き込まれます。
魔法によるファンタジックな描写とリアルな人間の世界が折り混ざった不思議な世界観は、小さな子どもから大人まで釘付けになる魅力がありますね。
見どころ2 人から人へ伝わっていく優しさ
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ふたつめの見どころは、登場人物達の温かい愛情です。
特に、嵐や津波が襲う大混乱の中、母・リサの子ども達への愛情に心を動かされます。
リサは初めて出会った少女ポニョも自然と受け入れ、そうすけと同じように温かい飲み物と美味しい食事を与え、普段通りの笑顔で優しく接していました。
子ども達の不安を取り除き、惜しみない愛情をふたりに注ぐリサ。
観ているこちらも優しい気持ちで胸がいっぱいになってきますね。
ポニョとそうすけがリサを探しに行くシーンにも、心温まるシーンがあります。
ポニョがボートで立ち往生している赤ちゃん連れの夫婦に、サンドイッチとスープをあげるシーン。
ポニョが初めて他の人に親切にしている場面で、彼女の成長も感じられるシーンにもなっています。
不安と隣り合わせな現代社会に、思いやりや愛情の大切さをもう一度教えてくれる。
『崖の上のポニョ』は、そんな人の温もりにあふれた作品なのです。
ピュアで魅力あふれる登場人物達を紹介!
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『崖の上のポニョ』は、登場人物も不思議とピュアな愛情の持ち主が集まり、魅力的な声優陣が揃っています。
ポニョ(cv.奈良柚莉愛)は、天真爛漫でそうすけ一筋。
バイタリティにあふれていますが、疲れた時は熟睡してしまうなど小さな子どもらしい愛らしさがありますね。
演じる子役の奈良柚莉愛のまっすぐで生き生きとした声からもポニョの持つエネルギーと純粋さが感じられるでしょう。
そうすけ(cv.土井洋輝)は、5才児ながら思いやりにあふれた少年。
いつもポニョや両親のことを思いやっていて、ポニョでなくても惹かれますよね。
そうすけを演じる子役の土井洋輝の演技からも優しさや包容力がにじみ出ていて、ポニョでなくても好きになってしまいそうです。
彼の母・リサ(cv.山口智子)も家族愛にあふれた女性です。
船乗りの夫・耕一(cv.長嶋一茂)が帰ってくる日には腕によりをかけた料理を作り、家族を喜ばせようとしていました。
夫が帰って来れなくなった時、取り付けてあるライトで「BAKA」とモールス信号を送るなど、思ったことがすぐ言葉に出るところに親しみが持てる母親です。
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ポニョの父・フジモト(cv.所ジョージ)は娘のポニョが心配で、妻のグランマンマーレ(cv.天海祐希)が大好き。
彼女と会える瞬間を楽しみにしていると語っていたことからも、二人はなかなか会えなません。
それでも一途に彼女を愛し、男手一つでポニョ達を育てており、魅力的な男性キャラの素質を持っています。
彼が愛する海の女神・グランマンマーレは自分の娘のやりたいことを尊重する優しい女性です。
天海祐希の優しくて穏やかでしっかりとした声からも、彼女の心の広さが見事に表現されていますよ。
他にも、魅力があふれた人物が登場します。
俳優陣の味わい深い演技に注目してご覧くださいね。
心に沁みる壮大な海の歌「海のおかあさん」
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『崖の上のポニョ』は、エンディング主題歌が有名ですが、オープニング主題歌も負けない魅力があります。
オープニング主題歌『海のおかあさん』を歌うのはオペラ歌手の林正子。
作詞は、映画『千と千尋の神隠し』の主題歌『いつも何度でも』の作詞をした覚和歌子と宮崎駿監督が担当。
作曲を久石譲が担当しています。
海の情景を描いた詩ではなく、海そのものの詩が書きたかった宮崎監督は、覚和歌子の詩『さかな』を見て衝撃を受け、『海のおかあさん』を作詞しました。
『海のおかあさん』は、聴くだけで母のように包み込むような温かい歌声、どこまでも伸びていく歌声に心奪われます。
ゆったりとした美しいメロディー、心に響く歌声に癒されませんか?
まさに母なる海を象徴するような曲ですよね。
歌詞も”みんな「きょうだい」で「いっしょにくらしていた クラゲもウニもサカナもカニも みんなきょうだいだった”と過去形で書いてあることで、在りし日を懐かしむような切なさが伝わってきます。
全ての命の源である海の偉大さ、私達人間が海や生き物のために何かできないかと考えさせられますね。
心に沁みる歌声と訴えかけてくる歌詞が胸に響く、感動的なオープニング主題歌です。
口ずさむのが楽しい!ED主題歌「崖の上のポニョ」
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「ポーニョポニョポニョさかなの子」の歌い出しで有名なエンディング主題歌『崖の上のポニョ』を歌うのは、藤岡藤巻と大橋のぞみ。
藤岡藤巻は、コミックバンド「まりちゃんズ」のメンバー二人から結成された二人組ユニット。
大橋のぞみは、映画本編でそうすけの通う保育園の園児・カレン役で出演した子役です。
2008年の『第59回NHK紅白歌合戦』に、藤岡藤巻と大橋のぞみとして出場しました。
幼稚園や保育園、小学校でもよく歌われる『崖の上のポニョ』ですが、魅力はずばり楽しい気持ちにしてくれる歌詞と歌いやすい音楽です。
大海原が広がるような壮大なイントロ、歌い出しの「ポーニョポニョポニョ」のインパクトは抜群。
童謡のように温かく、楽しい気持ちにさせてくれる歌は、子どもも大人も思わず口ずさんでしまう不思議な魅力がありますね。
大橋のぞみの9歳のあどけない歌い方は、無邪気なポニョの性格を表しているようで曲にぴったり。
彼女が作り出すピュアで楽しい世界に藤岡藤巻のふたりが父のように寄り添いながら歌っています。
彼らの声を聴いているだけで楽しくなったり癒されたりで、日常のイヤなことも吹き飛びそうですよね。
聴けば童心に帰り、心を晴れやかにしてくれる。
ポジティブでピュアな気持ちが詰まった映画主題歌です。
大好きな気持ちが不安に打ち勝つ!
ワクワクと優しさで胸をいっぱいにしてくれる映画『崖の上のポニョ』。
宮崎駿監督は『崖の上のポニョ』を“神経症と不安の時代”に立ち向かう作品であるといいました。
では、どのように不安に立ち向かうのでしょうか?
それは、物語を通して描かれていた「思いやり」ではないかと思います。
身近な人たちが互いに支えあい、優しくすることで、ひとりひとりが抱える不安も小さくなる。
その優しさの源こそが、親からの愛情や子どもの頃の純粋な「大好きな気持ち」なのではないでしょうか。
この映画を見れば、子ども時代に置いてきた大切な気持ちをきっと思い出せます。
気分が沈んだ時、悩んでいるとき、この映画を見れば、パワフルなポニョの一途な愛、そうすけの献身的な愛情があなたの心を温かく、晴れやかにしてくれるでしょう。
ぜひこの映画を見て、その感覚を味わってみてください。
TEXT Asakura Mika