自分と向き合うこと
『My Song』というタイトル通り、この曲は自分自身と向き合う歌詞が数多く登場します。----------------
「らしい」なんて
他人の言葉は もう
聞き飽きてる
本当の自分 知ってるの?
≪My Song 歌詞より抜粋≫
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「自分らしさ」「あなたらしさ」という言葉をよく耳にしますが「らしさ」とは一体なんなのでしょうか。
「らしさ」を求めてくる他人の声にうんざりしながら、“本当の自分を知りもしないくせに…”と周りが作り出したイメージ、押し付けにぼやく姿が目に浮かびます。
当たり前に飛び交っている「らしさ」とは何かということに、改めて切り込んでいるところが魅力的です。
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めぐりめぐる日々の 中で
少し溜まっていく 痛みだって
そう 抱えきれずにただ
壊れそうになってしまった
夜が来ても
≪My Song 歌詞より抜粋≫
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繰り返される日々の中で、少しずつ溜まっていくストレスやわだかまり。
人と関わり合いながら生きていくうちに、心がすり減ってしまうことはよくあります。
普段は気にならない小さな傷や痛みが、いつしか膨らみ、抱えきれないほどに大きく育ってしまったのでしょう。
夜に一人でいる時は、ついマイナス思考になりがち。
自分の心の内に目を向けたら、辛くて身動きが取れなくなってしまった…。
そんな心の叫びが聞こえてきそうです。
「好き」という難しさ
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好きなもの身につけてみよう Everyday
悪いこと してるわけじゃない 大丈夫
≪My Song 歌詞より抜粋≫
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世の中に溢れる様々な「らしさ」に縛られることなく、自分の好きなものを身につけ、自分の「好き」を自由に発信できたなら、心は解放されるでしょう。
しかし「悪いことしてるわけじゃない 大丈夫」という歌詞の通り、自分の「好き」を貫くことには勇気も必要です。
なぜかどこかで言い訳をして「大丈夫」と言い聞かせないといけない。世の中は、自由なようでいて、実は窮屈なものだと気づかされますね。
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「好き」の言葉一つ伝えたいそれだけなのに
苦しくて もう
本当の愛の意味 わからなくて
生きづらさを抱えてしまっても
≪My Song 歌詞より抜粋≫
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そして「好き」を伝えることも、非常に難しいものです。
自分の「好き」を貫くだけでも勇気が要るのに、誰かに「好き」と伝えることは、なぜこれほどまでに難しいのでしょうか。
たった2文字の短い言葉、けれど難しい言葉。何度も出かけたその言葉を飲み込むうちに、愛の意味さえ分からなくなってしまう。
自分の中にある気持ちを吐き出せずに苦しんでいる人は、きっと大勢います。それでも「大丈夫」なんだと、そっと背中を押してくれる歌詞ですね。
自分を受け入れた先にあるもの
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恋してずっと 最高の人に出会えたんだから
幸せだって 胸張っていいって 伝えたくて
行き場のない思いが
溢れ出してまた邪魔して
喉が詰まるの
割れた雲間一つ
光差し込んでくるような
瞬間を探して
≪My Song 歌詞より抜粋≫
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「行き場のない思いが溢れ出してまた邪魔して喉が詰まるの」
いじめ、差別、辛いこと、苦しいことなど消化できなかった思い、コンプレックスを思い出しては、喉が詰まる思いをするかもしれない。
そのような苦しさにもがきながらも、曇り空に差しこむ光のように、幸せな未来が待っているはず。
その瞬間を探し求めて。
“明けない夜は無い”
まるで自分自身に言い聞かせるような歌詞が印象的です。
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あなたがそっと
くれた 言葉は
ずっとここにある
「ありのままのあなたが
一番好き」
≪My Song 歌詞より抜粋≫
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「らしさ」に囚われ、自分らしさを見失っていた時。
大切な人に、思いを打ち明けられずに苦しんでいる時。
「ありのままが好き」と言ってもらえたら、どれほど救われるでしょう。
大好きな人からもらったその言葉は勇気を与え、心の奥底でずっと輝き続けているのです。
気張らずに、ありのままの自然な気持ちを解放すれば、案外小さな悩みなんて消えてしまうのかもしれません。
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恋してずっと 最高の人に出会えたんだから
自分を抱きしめたい
雲のように 流されてしまっても
変わらずに
流されてしまっても 変わらずに
≪My Song 歌詞より抜粋≫
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何度となく繰り返される、「ありのまま」「そのままの自分」という歌詞。
世の中は移ろいやすく、流行も人でさえも変わっていってしまいます。
それでも、時の流れに翻弄されながらも「芯」だけは曲げずにいたい。
そんな願いが込められているのではないでしょうか。
自分を愛して抱きしめてほしい。
性別、人種を超え好きな人、気持ちを大切にしてほしい。
『My Song』は恋の歌であり、自分を見失いかけている人への応援歌でもあります。
自分の「好き」を大切に、誰でもない自分「らしさ」を見失うことなく、生きていきたいものですね。
TEXT 岡野ケイ