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【インタビュー】新星バーチャルシンガーユプシロン、3つの概念を悪魔に奪われてしまった素顔とは (1/2)

2020年4月18日に、突如バーチャルYouTube(V-Tuber)の世界に現れたバーチャルシンガーのユプシロン。性別や年齢を明かしていない謎だらけのシンガーだが、哲学的な歌詞と3オクターブの声域などの楽曲が魅力で、デビューから2か月で多くのファンから注目されている。そんなユプシロンが6月18日に初の1stシングル「ステレオタイプ」をリリース。今回UtaTenでは、ユプシロンにインタビューを敢行。新曲に纏わる話や、ユプシロンとは一体何者なのか?多彩な角度から、ユプシロンに迫った。

バーチャルシンガー・ユプシロンとは


──ユプシロンさんはUtaTenに初登場なのでパーソナルな部分からお聞きしたいのですが、バーチャルシンガーになろうと思ったきっかけを教えてください!

ユプシロン:音楽活動をしていく上で、今まで自分が生きてきて出来たものに邪魔されたくなかったという気持ちが一番にありまして、どういう風に活動をするか考えていたときに、バーチャルシンガーというものを知ったんです。そこで活動してみたいと思ったのが始まりですね。


──なるほどです。バーチャルシンガーになることで、自分とはまた一味違った新たな表現が出来るのは面白いですね。 

ユプシロン:必要以上に自分を良く見せたりとか背伸びはしたくなくて。音楽をするにあたって、周りの目を気にせずに表現するには、ひとつ自分の中でバーチャルシンガーとしての自分がいて。ある意味自分自身だし、もう一人の自分みたいな感じでやりたいなと思いました。


──バーチャルシンガー(Vtuber) 界はSNSを通じてユーザーとやりとりをされる事も多い印象があり、ユーザーとの距離が近いと思うんですね。ユーザーとの距離が近いことの良さはありますか?

ユプシロン:僕自身、周りにバーチャルシンガーやVtuberがいたわけではないので、全然知らないところから初めたんですよね。もちろん好きになったから始めたんですけど、ファンの方のほうがVtuber界を知っているので、いろいろ教えてもらいました。


──ファンの方から教えてもらって作り上げていくのは素敵ですね。バーチャルシンガーをやっていての面白さや魅力を教えてください。

ユプシロン:バーチャルシンガーやVtuber界にある文化が好きです。まだ4年ぐらいの世界だと思うんですけど、文化が根付いているんですよね。

例えば、キャラクター原案の絵を描いてくれた人(原画担当イラストレーター)をお母さんとかママ、ママ絵師と呼ぶんですけど、でもその人だけが描くのではなくて、違うクリエイターさんが描いたものがミュージックビデオになったり、ファンの方が描いてくれたファンアートがYouTubeに載ったり。

クリエイター同士リスペクトがあって、そういうのがOKな文化ができあがっていて。それはもともとのバーチャルシンガーの先輩方がファンの方々と作り上げていった文化だと思うんですけど、そういうカルチャーみたいなものが面白いと思います。

あとは、他にお仕事をされている方が趣味でクリエイターをやっていることも多いんですけど、すごくクオリティが高くて。みんなファンでありクリエイターであり、その線引きが無いというのも面白いと思いました。

▲ユプシロン #01

──それはかなり面白い文化ですね。ユプシロンさんのお名前はギリシャ文字の「y」の読み方ということですが、これはどういったところから由来がきているのでしょうか?

ユプシロン:バーチャルシンガー(Vtuber)のカルチャーで中の人(※バーチャルシンガーをやっている本人)のことを魂って呼ぶんです。それで、魂の名前から要らないものを削ぎ落としてユプシロンになったんです。1文字だけ残ったという意味で、y、ユプシロンと読むことにしました。


──とても素敵な由来から来ているのですね!

ユプシロン:ありがとうございます!リスナーの方にもユプシロンの「y」は魂の名前から来ていると話しています。


──ニックネームはユプちゃんだそうですが、これはユプシロンさんが作られたのでしょうか。

ユプシロン:違いますね。みんな好きに呼んでくれているんですけど、ユプちゃんって呼んでくれる人もいるし、ユプくんって呼んでくれる人もいるし、ユプユプって呼んでくれる人も(笑)


──可愛い(笑)

ユプシロン:好きに呼んでもらえたら嬉しいですね。ちゃん付けするのも、女の子だからじゃなく、苗字+ちゃんのイメージですね。「阿部ちゃ〜ん、みたいな(笑)」
くん付けも、教授が女子生徒に向かって「ちょっと○○くん」と言っているイメージもありますね。なので、どっちもOKです。


──好きなものは猫、紙の本、音楽だそうですね。この紙の本がすごく気になったのですが、これは小説とかではなく?

ユプシロン:漫画ですね(笑)電子書籍も読むのですが、紙が好きなんですよね。それにアニメも良いんですけど、紙の本から入ることが多くて。頭の中で世界が妄想できる感覚が好きです。本当にハマった作品は本で買い直しますね。家には、すごいいっぱい漫画があります。


──漫画好きなのですね。ちなみにどういった系の漫画がお好きですか?

ユプシロン:なんでも読みますね。昔の本も最近のも。でもトップ3をあげると「鋼の錬金術師」「るろうに剣心」「キングダム」です。最近は「キングダム」がとても好きですね。

年齢と、性別と、正解という3つの概念が奪われてしまった

──ユプシロンさんは3つの概念を悪魔に奪われてしまったということですが、これは具体的にどのような事でしょうか。

ユプシロン:僕は、年齢と、性別と、正解という3つの概念が奪われてしまったんです。
年齢というのは、子どもも大人も自分の中で同じ扱いというか。リスナーの方には小中学生から大人までいるんですけど、基本的にみんな魂は同じで年齢は無いと思っているので、この年齢だからこの音楽を聴くとか、この年齢だからこれをしなきゃいけない、というのが僕の中には無いんです。配信では誰にでもタメ口で話しますし、年齢の概念が無いので子どもであろうが大人であろうが、遠慮はしないっていう(笑)みんな平等に扱うのが自分かなと思っています。


──性別も奪われてしまったんですね。

ユプシロン:そうですね。元々僕は、異性との友情は成立すると思っていて。みなさん考え方が色々あると思いますけど、異性の中で友情は成立しないというのもそれはそれでいいと思うんですが、僕の中では異性との本当の友情が成立するからこそ、同性との愛情や恋愛があってもおかしくないという考えなので、そういう意味でも性別の概念が無いですね。


──そして正解とは?

ユプシロン:正解がないというのは、ルールとかマナーみたいなのはあるべきだと思っていて、僕の中にももちろんそれはあるんですけど、それイコール正解ではないです。
例え話ですけど、赤信号は止まらなきゃいけないというのはルールであったとしても正解ではないんですよね。


──確かにそうですね。

ユプシロン:渡ってみたらそれはもちろんルール違反なんですけど、それで生じるものが何かというのは、渡った人にだけに分かる正解だ、というのを毎日妄想しています(笑)


1stシングル『ステレオタイプ』はユプシロンが生まれる前からできた


──最新曲のお話しに行きますが、6月18日に1stシングル『ステレオタイプ』がリリースされましたね!おめでとうございます! 

ユプシロン:ありがとうございます!


──『ステレオタイプ』が生まれた背景をお聞かせいただけますか。

ユプシロン:僕のカラダができあがる前からこの曲は作り進めていていました。さくしゃ2かあさまに僕のカラダをデザインをしてもらったんですけど、そのときにこの曲を聴いてもらって、こういう曲を歌うというのを想定して僕を生んでほしいと伝えました。キャラクターデザインをしてもらうために書いた曲というか、始まりの曲として作りましね。なので、曲を聴いてもらいながら僕は生まれました。たぶん(笑)


──『ステレオタイプ』という曲名はどういう意味なのでしょうか。

ユプシロン:ステレオタイプというのは、思い込みとか先入観とか固定観念という意味なんですけど、そういうものによく疑問を持ってしまうんです。良い悪いではなく「これはなんでなんだろう?」というのが僕のスタート地点なので、それをまず1曲目に歌いたいと思ってこれを『ステレオタイプ』というタイトルにしました。


──いつも曲を作られるときは曲が先ですか?それとも歌詞が?

ユプシロン:どっちもありますけど、ほとんどは曲が先ですね。この曲に関しても曲が先で、こういう曲が書きたいというイメージが自分の中にあったので、作曲家・編曲家・ベーシストのsachiさんに一緒に作ってほしいと相談しました。sachiさんは自分の世界観をしっかり持っていて、どういうアレンジをする人か知っていたので、僕の世界観とマッチするなと思ったんです。

最初からどういう曲にしたいかを細かく伝えて、相談しながらオケを作ってもらって、そこにメロディと歌詞をつけたという感じです。



──歌詞には「例えばポストが赤いとか空は青だとか」というような日常生活に感じる固定された自然な表現が出てきますが、こういう歌詞は日ごろから感じることを反映されているのでしょうか。

ユプシロン: そうですね。「空は青い、海は青い」とよく歌詞にあったりしますけど、子どもの頃から、同じ青じゃないよな、と疑問に思ったりしてました。そういう何気ないことに疑問を持ってしまいます。あとは常に色んなことを妄想をしながら歌詞を書いています(笑)


──曲の冒頭にセリフのような言い方の部分がありますが、これは曲を作る上で登場人物の心情を表現しているんですか?

ユプシロン:実は最初はここの部分もメロディーをつけていたんですけど、sachiさんの作ってくれたオケがすごく綺麗だったので、メロディーが邪魔に思えてきて、「メロディー無しで語りにします!歌うように言葉を並べるだけにします」と伝えました。メロディーが無いからこそ美しい音楽、みたいな。結果としてそんな風になりました。ここは語ろうと最初から思っていたわけではなく、メロディーが無いからこそ表現できる音楽もあるんだな、と思いました。


──そうなんですね。ここの冒頭は、とても言葉の一つひとつが突き刺さりますね。

ユプシロン:ある意味プロローグみたいな感じです。1stシングルなので、最初に自分の言葉が届くところだとも思っていて。実はここ何テイクも録り直しましたね。

▲『ステレオタイプ』-予告編- / ユプシロン #04

──主観的な感想になりますが、「時計の針が乱れることなく」というハモリのところがとても綺麗だなと思いました。

ユプシロン:ハモリに気付いてくださったのは大変嬉しいです!ハモリのメロディもすべて僕が作りました。2番の「感性すら~」は普通のハモリにしたくなくて、もう一つのメロディを作るように考えて大変でした。ただハーモニーを作るだけではなく、カオス感をどう出すかとかをすごく考えて作りました。2人いるように聴こえるようにわざとした箇所もありますね。


──「Mary」という言葉がサビの中に必ず出てくるんですけど、これはどういう意味ですか?

ユプシロン:「Mary」がサビの冒頭で出てくるのは、色々な意味を込めているので考察してもらえると嬉しいんですけど、聖母マリアを意味してて。すがるものと捉えてもいいし、美しさとか純潔さ。様々な意味が込められているので、色々な意味を考察してもらえたら嬉しいです。


──歌詞にある「- 僕が生きているのは誰の世界だ? -」というのは、キャッチコピーというか重要なところだと思うんですけど、これはユプシロンさんの軸としているところですか?

ユプシロン:はい。この歌詞は全部自分の思っていることなんですけど、誰かのためではなく自分自身を思って書いたので。自分が自由に生きていたり、概念が無くても、周りにはあるので、それに従わなければいけないときもありますけど、そこに疑問があることも大事なんじゃないかなと思います。

次ページ : ユプシロンお気に入りの歌詞をピックアップ

ユプシロン 少年のような少女のような歌声を持つVsinger。 性別・年齢・正解の〝概念〟を失い、音楽を通じて欠けたものを探している。 作詞作曲を自身で行い、VOCALOID楽曲の投稿や、他アーティストへの楽曲提供も行う。変わった角度から描く、哲学的な歌詞には定評がある。 クールなク···

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