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Kinki Kids「青の時代」は青春時代に鋭く切り込んだ1曲

Kinki Kidsの『青の時代』は、1998年にTBS系列で放送された、堂本剛主演のドラマ「青の時代」のエンディングテーマとして起用。不良少年の複雑な青春模様を描いたこのドラマ。その内容にマッチしたノスタルジックな雰囲気がこの曲の特徴です。さっそく、その内容を見ていきましょう。

対極のイメージが1枚に詰まったシングル

Kinki Kidsの4枚目のシングル『全部抱きしめて/青の時代』は、1998年7月29日に8センチCDでリリースされました。

彼らにとって初めての両A面リリースだったこの作品。

初回盤では、それぞれの曲をイメージした赤と青のジャケットが採用され、通常版と合わせて3形態で発売されました。

楽曲のイメージが正反対のこの2曲。

まるで陰と陽を組み合わせたような作品になっています。

ご存じの方も多いと思いますが『全部抱きしめて』を作曲したのは、Kinki Kidsと共演経験の長い吉田拓郎です。

フォークソングのカリスマである彼が手掛けた楽曲をKinki Kidsが若々しく歌い上げたことで、新しい化学反応が起きたのではないでしょうか。


一方『青の時代』の作詞・作曲を手掛けたのは、ボーカルの谷中たかしとキーボードの周水から成る「canna」という音楽グループです。

彼らは、独自に音楽活動を行っている他、Kinki Kidsをはじめとしたジャニーズグループに数多く楽曲を提供しています。

特に、周水が個人名義「Shusui」で制作に参加した楽曲の量は膨大です。

代表曲に修二と彰のヒットソング『青春アミーゴ』があげられます。

cannaとしても『青の時代』をセルフカバーしており、2000年にリリースした自身の1stアルバム『無人島』と、2017年に発売したBestアルバム『蜃気楼』に収録しています。

『青の時代』では、Kinki Kidsとしては非常に珍しい構成になっています。

実は、この曲の中にはソロパートが無く、全てのフレーズをユニゾンで歌い上げているのです。

彼らの楽曲でも特徴的なこの曲。その歌詞の内容を見ていきましょう。

「青」が指すイメージとは。


画像引用元 (Amazon)

デビュー前から話題性の高いドラマに次々と出演していたKinki Kids。

特に、堂本剛は難役を演じることが多かったにもかかわらず、繊細な演技が評価され、役者としても認められる存在となりました。

この曲が起用されたドラマ『青の時代』でも、堂本剛は主人公の不良少年、リュウを演じています。

彼は早くに父親を亡くし、母親に捨てられてしまうという恵まれない家庭環境で育ちました。

後に、心から信頼できる仲間と出会い、恋愛や友情を通して更生の道を歩もうとします。

しかし、大人達の複雑な人間関係に巻き込まれ、翻弄されてしまいます。

主題歌の『青の時代』では、まさにリュウが味わったような青春時代の苦悩と解放が描かれているのです。


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砂に書いた あの文字は 僕への励ましの言葉
海に流す 青い涙 悲しい過去の記憶と共に…
≪青の時代 歌詞より抜粋≫
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過去に訪れたであろう、海の風景が広がります。

悲しみの涙を海に流しながら、過去の辛い思い出も水に流そうとしているようです。

曲全体を通して「青」という色に、悲しみのイメージを抱いていることが分かります。

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激しい 怒りの中で さまよい また傷つけあう
生きてく 意味など捨てて 変わらぬ場所で
≪青の時代 歌詞より抜粋≫
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抑えられない感情をどうコントロールしたらよいのか分からない青年。

その勢いのまま、他人を傷つけてしまう自分の鋭さに戸惑っています。

自分も他人も大事に出来ないことに苦しみながら、彼が辿り着いた答えとは一体何なのでしょうか。

彼は「生きてく意味」を捨てて「変わらぬ場所」を見つけようとしています。

人間はいつしか、生きることに意味や目的を持たないといけない。そんな暗示をかけているのではないでしょうか。

それが自分自身を導く道しるべになることもあれば、苦しめる呪縛になることもあると思います。

だから、余計な考えを全て取っ払って、最後に残った「変わらぬ場所」を見つめなおす事が必要なのではないでしょうか。

そうすれば、その人にとって一番大切にしたいものが必然的に浮かび上がるはずです。

過ぎ去る日々に想いを馳せる


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吹きぬける 風に手をあてて
すぎゆく 日々を想い
雲間から ひとつぶの雨が かれた花をぬらす
≪青の時代 歌詞より抜粋≫
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「吹き抜ける風」とは、止めることの出来ない「時間」ではないでしょうか。

決して止めることもコントロールすることも出来ません。だからこそ流れを感じ、大切にしなければなりません。

不安な心を映し出したような曇り空から、ひとつぶの雨が落ちてきます。

この雨はかつて海辺で流した涙ではないでしょうか。巡り巡って「かれた花」つまり、萎れかけた心を潤したのかもしれません。

過去に苦しんだ経験が、未来の自分を救う事を示唆しているように感じました。

有限の中で愛を紡ぐということ


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おとずれる 時代の中で 小さな愛を運ぶ
限られた 時間の中で 愛の意味を知る
≪青の時代 歌詞より抜粋≫
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時代という大きなくくりで見てみると、自分の生きている時間はあっという間に感じるかもしれません。

しかし、その時代に置かれた自分の立場を背負って、他人を愛することは、決して簡単なことではないでしょう。

人1人の人生は無限ではありません。

その有限の時間の中で「愛」とは何かを知っていくことは、この上なく尊いことではないでしょうか。


TEXT kawer

この特集へのレビュー

男性

テッチャン

2024/01/15 18:04

26年も前だなんてとても思えない色褪せない名曲ですね。
苦悩・迷いに苛まれている少し暗さ・悲しみから始まる曲が、中盤から希望の様な光が差し込んでいくかのような中盤・後半の盛り上がりは圧巻です。

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